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知っておきたい年金のはなし    第96号 2005年11月11日発行

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先日、あるセミナーでこんな質問を受けました。
「うちには娘がいるのですが、サラリーマンと結婚したほうがいいということですか?」
第3号被保険者は保険料を負担しなくてもよいということに関しての質問です。
それに対して同じく会場から、「若い世代は給料が少なくて、共働きしないと生活していけないわよ」という声が出ました。
確かにそうですね。
第3号被保険者は優遇されているようにみえますが、このまま継続していく制度とは思えません。近い将来、見直しされることになるでしょう。
しっかり自分で収入を得て家計を増やし、自分の年金も上乗せすると考えたほうがいいように思います。
人それぞれの考え方がありますが、あなたはどう考えますか。

セミナーで年金の話をすると、こういう質問もよくあります。
「18歳から58歳まで厚生年金に加入すれば、加入期間が40年になったので、もう加入しなくていいですか?」
老齢基礎年金は40年で満額というしくみに対しての質問です。
さて、どうでしょうか? 

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第96号 65歳からの年金
★★★ 同じ40年であっても違う! ★★★
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弘人さんは高校を卒業後、同じ会社で働き続けてきました。現在、58歳。長い間、よく続けてきたと思います。 定年後のことが気になってきました。
会社で55歳以上の人を対象にした「退職後の生活設計セミナー」があって、参加しました。そこで年金の話もききました。
老齢基礎年金は40年の加入期間で満額になると聞きました。
弘人さんは、18歳から厚生年金に加入していますので、加入期間はもう40年になります。
ここで退職したら、年金はどうなるのでしょうか。

●1階の年金と2階の年金を分けて考えましょう。

年金はこれが基本。1階の年金はいくら? 2階の年金はいくら?とふたつに分けて考えないと、間違ってしまいます。
その次に60歳からの年金と65歳からの年金に分けて考えましょう。

●65歳からの年金は?

まず、2階の年金(老齢厚生年金)は給料や加入期間によって計算されます。
1階の年金(老齢基礎年金)は加入期間によってのみ、計算されますが、原則として20歳から60歳未満の期間を対象とします。
(60歳以降国民年金へ任意加入した場合はまた別です。ここでは省略しますので、個別に確認しましょう。)
●40年の意味

老齢基礎年金は40年で満額です。(現在は794,500円)
しかし、弘人さんが年金制度に40年加入しているといっても、今のところ、20歳から60歳未満の加入期間は38年です。18歳から20歳までの2年間は老齢基礎年金の計算に入りません。
弘人さんの場合、老齢基礎年金は40分の38で計算されます。
(正しくは月数で計算しますが、わかりやすくするために、年数でお話ししています)

●58歳で退職したら

あと2年、60歳になるまで、国民年金に強制加入です。60歳まで加入して初めて、老齢基礎年金は満額になります。

●合計で42年も加入することになるけれど!

42年加入しても、老齢基礎年金は満額を上回ることはありません。40分の42にはなりません。18歳から20歳までの期間は対象外だからです。

●なんだか、損をしているみたい!

そんな気にもなりますね。
しかし、弘人さんの場合は、厚生年金に加入した20歳未満の2年間が1階の年金(老齢基礎年金)にはつながりませんが、経過的加算として、2階の年金にプラスされます。(58歳で退職した場合)
●経過的加算ってなに?

差額加算ともいいます。20歳未満の厚生年金加入期間や60歳以上の厚生年金加入期間は、65歳以降の1階の年金(老齢基礎年金)にはつながりませんので、経過的加算という計算方法で、2階の年金(老齢厚生年金)にプラスして支給されます。

●加入月数に上限あり!

ただし、経過的加算を計算するとき、生年月日によって上限が決められています。厚生年金に加入した月数が上限(最高で480月)を超えてしまうと、年金は増えません。
簡単にいうと、「せっかく保険料を払っているのだから、その分は年金として支給しましょう、ただし、上限を超える人には増やしてあげません」ということなのです。

●弘人さんの場合、65歳以降の年金は?

58歳で退職し60歳まで国民年金の保険料を納付した場合、満額の老齢基礎年金と、18歳から20歳までの2年間分含めた経過的加算と18歳から58歳までの40年分の報酬比例部分の年金をもらうことができます。
60歳まで勤めた場合は、満額の老齢基礎年金と42年分の報酬比例部分の年金をもらうことができます。経過的加算もありますが、この場合は、上限を超えているので、結果としてみると、18歳から20歳までの加入期間は年金につながらないのと同じことになります。
●同じ40年といっても

18歳から58歳、20歳から60歳、同じ40年でも年金額の計算方法は異なります。
弘人さんは昭和22年生まれの人なので、上記にようになりますが、生年月日が違うと話は違ってくるので、ご注意ください。

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メルマガを書きながら、このような制度、一般の国民にはわかりにくいとつくづく思います。
生年月日によって話は違ってくるので、どのように説明すればよいのかと、途中で考えこんでしまいました。
誰にでもかかわりのある年金のしくみは、もっとわかりやすくすべきです。
少なくとも、加入した期間がそのまま年金額にも反映されるというしくみにすべきでしょう。
社会保険事務所の担当者や、年金を専門に勉強している人でされも首をひねるようなしくみが、そもそも間違っているように思います。
年金はむずかしい! 私はいつもそう思います。

最後に、経過的加算は、20歳未満や60歳以上の加入期間だけではなく、老齢厚生年金の定額部分(65歳未満の1階の年金)の計算式と、老齢基礎年金(65歳以降の老齢基礎年金)の計算式の違いからくる差額を保障するものであることを付け加えておきます。

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