★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第104号 2005年2月1日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 今年の4月から、また、年金額は下がります。 消費者物価指数が下がったことによる引き下げです。 今年、所得税は上がるし(定率減税が20%から10%になったことによる)、年金は下がるしで、暮らしは大変です。 景気が回復してきていると言われていますが、年金暮らしの人は、「年金」が下がれば、収入が減ってしまい、どうしようもありませんね。 ほんとにあてにできる年金であってほしいと思います。 さて、今回は、59歳の正一さんが登場します。 …………………………………………………………………………………………… 第104号 ふたつの年金がある場合 ★★★ 損をしないように選択を! ★★★ …………………………………………………………………………………………… 正一さんは有限会社の取締役です。 妻の郁子さんもいっしょに仕事をしています。 その他に社員はふたりという小さな会社です。 有限会社を立ちあげた時に、厚生年金に加入しました。正一さんは、長い間、仕事一筋でがんばってきましたが、昨年、心臓にペースメーカーを入れ、現在、3級の障害厚生年金をもらっています。 あまり無理はできないのですが、仕事は続けていかねばなりません。 2ヶ月前のことです。妻の郁子さん(55歳)が過労で倒れました。幸い、しばらくの休養で元気になりましたが、郁子さんがいない間、会社の仕事もうちの中のことも、正一さんには大変なことばかりでした。あらためて妻のありがたさを感じました。 正一さんは自分の身体には気を配っていますが、元気だった妻が倒れて、いろいろなことを想定して準備しておかないと大変だいうことに気がつきました。 これからのお金のことも考えるようになり、もうすぐ60歳になることもあって、年金について詳しく知りたいと思います。 60歳になったら、障害年金はどうなる? 自分の老後の年金は? もし妻が先に亡くなった場合、年金はどうなる? いろいろと疑問が出てきました。 ●60歳になると 現在59歳の正一さんには、国民年金加入10年(保険料を納めた期間)、厚生年金加入25年という年金の加入期間があります。 ですから、老後の年金は60歳からもらえます。 60歳から老後の年金の2階部分(報酬比例部分)がスタートします。 ●障害年金と老後の年金 60歳から、3級の障害厚生年金と老後の年金は両方もらえません。 どちらか多い方を選びます。 ●多い方がいいね! 多い方がいいに決まっていますが、正一さんは60歳をすぎても厚生年金に加入しますので、老後の年金は、在職老齢年金のしくみにより、カットの対象になります。 現在の役員報酬は50万円なので、このままだと、年金の支給はゼロ。つまり、全額支給停止です。 しかし、障害年金には働いているからといって年金をカットするようなしくみはありませんので、正一さんの場合は障害厚生年金を選ぶのがいいです。 (20歳前障害による障害基礎年金には所得制限があるので注意してください。) ●それでは、老後の年金の手続はしないでいいの? 手続は必要です。必ずしておきましょう。 そして「選択届」を出します。 ●次の見直し 一度選択したら変更できないということはありません。 次の見直しは、老後の年金に、1階の年金がプラスされるときです。 昭和21年生まれの正一さんは、63歳から1階の年金(定額部分)と加給年金がプラスされますので、そこでもう一度、年金額を比較して、多い方を選びます。 在職中で年金が全額カットになる場合は、もちろん、そのまま障害年金をもらいます。 その場合は、何も手続する必要はありません。 ●その次の見直し 65歳です。 65歳になると、在職老齢年金のしくみがかわります。この時点で自分の老後の年金と障害年金、どちらが多いのか、また比べます。 社長としての報酬が多ければ、あいかわらず年金カットの対象になりますので、どのように選択すればよいのか、きちんと調べましょう。社会保険事務所で計算してもらいましょう。 ●これ以外にも 報酬を下げた、役員をやめて厚生年金からはずれたというときも、見直し時期です。 ●もし妻が先になくなったら 妻の郁子さんも厚生年金加入です。 厚生年金加入中の妻が死亡すれば、55歳以上の夫は遺族厚生年金の対象となります。 ただし、年収850万円未満という条件がありますが、役員報酬は50万円なのでこの点は大丈夫です。 ●夫が遺族厚生年金もらえるのは60歳から 正一さんが59歳である現在、妻が亡くなっても、遺族厚生年金は60歳からです。 ●60歳から3つの年金 老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金という3つの年金の権利ができることになりますが、全部もらうことはできません。どれかを選ぶことになります。 ●男性はもらえない中高齢寡婦加算 妻がもらう遺族年金には約60万円の「中高齢寡婦加算」がプラスされ(条件必要)これは遺族年金額として大きいです。 しかし、女性だけ。男性にはありません。 ですから、正一さんの場合、遺族厚生年金が一番多くなるということは、まずありません。 つまり、正一さんは遺族年金をあてにできないということです。 …………………………………………………………………………………………… ふたつ以上の年金がある場合、最初はどちらか多い方を選択します。 しかし、そのあとで事情が変わってくることもあります。 事情がかわり、もう一方の年金を選択した方が有利になっても、自分で手続しなければ、年金はそのままです。 正一さんのようなケースを考えると、もう年金をもらっているから何もしなくていいというのではありませんね。 節目節目で年金を検討します。 どこが節目なのか、わかっていないといけませんが、情報をしっかりつかんで、自分で気をつける以外にありません。 世の中には知らないで損をしていること、たくさんありますよね。 …………………………………………………………………………………………… ■□■ お知らせ ■□■ 福岡高齢期雇用就業支援センター 職業生活設計セミナー ライフプラン(菅野美和子が担当します) 2月18日(土)15:00〜17:00 (会場は福岡市博多区博多駅前) ライフプランの作り方、考え方をお話します。定年後の生活が気になる方、ご夫婦で参加しませんか。 http://www.chukonen.org/new/main.html …………………………………………………………………………………………… 女性に贈るみわ子さんの年金絵本 「年金、もっと知りたいな。」 全国の書店で好評発売中! ネット書店も便利です。送料無料で利用できるものもありますので、ご利用ください。 詳しくはこちらから → http://homepage2.nifty.com/miming2 |