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知っておきたい年金のはなし    第108号 2005年3月11日発行

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「マイ年金 ネットで確認」
これは3月5日の朝日新聞の見出しです。
インターネットで、自分の年金加入期間や標準報酬月額などを確認できるようになります。
3月31日から社会保険庁のホームページで受付がはじまります。
ただし、ネットで申し込みをし、ID・パスワードが届いてからの利用となります。
大変便利になりますが、気をつけておきたいことは、その情報を正しく理解することです。「これでは年金をもらえない!」と思っても、サラリーマンの妻の期間などのカラ期間でもらえることがあります。そういう情報まで入っていないということをわかった上で、利用しましょう。
3月31日には、私も申し込みしてみようと思っています。

このメルマガは、「裏技で得をする」というような情報をお伝えするのが本来の主旨ではありませんが、今日は、知っている人だけが利用できる「お得な方法」を紹介します。
60歳以降退職し、老後の年金と雇用保険からの失業給付(基本手当)を両方もらえる場合であっても、実際にもらえるのはどちらかひとつです。
だから、年金が多い人は、失業給付をあきらめるしかありません。
しかし、たった1月ですが、年金と失業給付を両方もらうことができるという方法があります。

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第108号 年金と雇用保険
★★★ 数日分だが、両方もらえることもある! ★★★
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60歳をすぎた達也さんは、一部カットされた年金をもらいながら、会社勤めをしています。
達也さんは退職の時期について考えています。現在は1年毎の嘱託契約で、毎年、3月31日までが契約期間です。
今退職しても年金は2階の部分だけ。それだけでは生活が大変なので、1階と2階の年金がもらえる63歳まで働こうと思っています。
実は、58歳で以前の会社を退職し、再就職しました。
以前の会社では年収も多かったのですが、再就職先は小さな会社で、収入は半分以下。
雇用保険からの失業給付の金額は、退職前6ヵ月間の給与で計算されます。達也さんのように給料がダウンしてしまったあとの退職では、基本手当も少なくなってしまいます。
年金と基本手当、両方もらえないと理解していましたので、達也さんはどちらが多いか、調べてみることにしました、もちろん、退職するまで同じ給料だと仮定しての話です。
調べてみると、雇用保険のほうが少なくなりそうなことがわかりました。
これでは、雇用保険をあきらめて、年金をもらうしかないのでしょうか。長い間、保険料を払ってきたのに!

●働く気持ちがある場合のみ!

最初にちょっと注意しておきましょう。
雇用保険は、保険料を払ったからといって、誰でももらえるものではありません。
あくまでも、仕事をする気持ちがある場合です。
仕事をする気持ちがない場合は、もらえませんよ。

●年金か、雇用保険か

金額を比べてみましょう。
雇用保険からの失業給付が多い場合は、ハローワークで手続しましょう。
比べてみて、金額が同じくらいという場合は、雇用保険が有利です。
なぜなら、雇用保険は非課税だからです。
課税対象になると、所得税ばかりではなく、住民税、国民健康保険の場合は保険料にまで影響します。

●年金が多い場合は、雇用保険をあきらめる?

そういうことになります。
しかし、年金を選んでも、数日分ですが、雇用保険からの失業給付を同時にもらうことができるのです。

●年金の支給停止は、求職の申し込みの翌月から

ハローワークへ手続(求職の申し込み)に行くと、その翌月から年金はストップされます。

●3月末退職すると

たとえば、達也さんが、契約期間の終わる3月末で退職したとしますね。
すると、在職老齢年金のしくみで一部カットされていた年金は、5月分からカットなしの本来の金額にもどります。
5月分から年金は増えるのですが、もし、4月にハローワークに行って求職の申し込みをすると、その翌月5月分から年金は支給停止になります。

●5月にハローワークで手続すると?

翌月ですから、6月分から支給停止です。

●なぜ両方もらえることに?

5月1日に手続にいくと、ハローワークによって異なりますが、月末までに、初回の失業認定日がやってきます。
そこで、求職の申し込みに行った日から、待期期間7日をのぞき、その間の約2〜3週間について、失業の認定を受けることになります。つまり、基本手当がもらえます。
5月分の年金はもらえるし、雇用保険からの基本手当ももらえる、つまり両方もらえることになります。

●6月は?

2回目の失業認定日は、その4週間後で、6月になっています。6月に第2回目の失業の認定を受けると、6月分の年金はもらえません。つまり、少ない雇用保険からの給付金をもらい、より多い年金はもらえないことになります。 ですから、2回目は、失業の認定を受けるのをやめておきます。

●5月は両方?

そのとおりです。
数日分ですが、結果として、両方もらえることになります。

●ハローワークへは月初めに

ベストは1日に手続に行くことです。
月半ばに手続に行って、初回の失業認定日が翌月になってしまうと。この手は使えません。
少しでも多くもらいたいと思う場合は、月初めの1日に手続に行くことです。
達也さんが3月末に退職し、4月の中ごろに会社から離職票が届いても、5月1日まで待ちましょう。
もしなんらかの都合で5月1日に行けないのなら、6月1日に行く方がいいでしょう。

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これは、雇用保険からの失業給付よりも年金が多い場合ですよ。
年金の支給停止は求職の申し込みをした翌月からとなっています。申し込みをした月については停止されないので、このようなことが起こります。両方もらえないことになっているけれど、両方もらえる期間ができるのです。 同じもらうのなら1日分でも多いほうがいい。そのために、月初めに手続します。
初回の失業認定日はハローワークによって異なるので、1日ではなく、2日に行っても3日に行っても変わらないこともあるでしょう。1日でなければ絶対に損だということではありません。
かなり複雑です。この方法を使う場合は、事前によく確認してくださいね。

また、達也さんの場合は契約期間満了で退職したことを想定し、3ヶ月の給付制限なしで考えていますが、自己都合で退職すると、3ヶ月の給付制限があり、そうなると、話は違ってきます。

さらに、60歳前に退職するとき、65歳近くなって退職をするとき、年金との関係で、雇用保険の手続を急ぐ方がいい場合と、急がない方がいい場合があります。自分の場合はどうなるのか、よく確認してください。

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