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知っておきたい年金のはなし    第110号 2005年4月1日発行

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もう登録しましたか?
3月31日よりインターネットで自分の年金加入記録をいつでも閲覧できる「年金個人情報提供サービス」が開始されました。
社会保険庁のサービスです。
登録はこちらから http://www.sia.go.jp/topics/2006/n0324.html
私もさっそく登録してみましたよ。

このサービスのいいところは、厚生年金の標準報酬月額、標準賞与額も確認できることだと思います。
自分の年金の加入期間は一度確認しておくと、そうたびたび確認しなくてもいいのですが、標準報酬月額や標準賞与額(ボーナス)は、その時々に確認しておきたいものです。
つまり、将来の年金額につながる給与やボーナスの金額が、どのように届け出されているのか、正確に届出されているのかどうか、知っておくことは大切なことです。
特にボーナスの金額です。将来の年金にきちんと反映されるように、間違いがないかどうかを確認しておくことは、年金で損をしないために大切なことです。

さて、今回は、4月から始まる新しいしくみについてお話しましょう。
2004年の年金制度改革で決定していましたが、今月から実施されるしくみです。
障害基礎年金と老齢厚生年金、障害基礎年金と遺族厚生年金という組み合わせでもらえるようになりました。
年金は一人一年金が原則ですが、その例外とも言えるものです。

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第110号 障害基礎年金の場合
★★★ 新しい組み合わせで年金をもらう! ★★★
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育子さんには大変な出来事が続いています。
育子さんは58歳。病気がだんだん悪化して、障害基礎年金2級に該当することになりました。
子どもたちが成人し、社会人になってほっとした矢先、今度は自分の病気です。
毎日の生活が大変です。夫はサラリーマンで忙しい毎日でした。育子さんを助けてくれましたが、夫がどんなにがんばっても限度があります。
また、就職したばかりの子どもたちも仕事で大変です。
育子さんは、自由契約でヘルパーさんにきてもらうことにし、家事や身の回りのことを手伝ってもらうようになりました。ほんとに助かります。
お金はかかりますが、自分の障害年金があり、きちんと年金制度に加入していて良かったなと思います。
そんな生活が続いていましたが、2ヶ月間、突然夫が亡くなりました。
脳梗塞で、病院に運ばれましたが、手遅れでした。
元気で長生きするだろうと思っていた夫が先に死亡し、病気を持っている自分があとに残ることになり、育子さんは悲しみから立ち上がれません。
しかし、やっとこれからのことを考えるようになり、遺族年金の手続をしました。
夫は40年近くも会社員でした。ずっと厚生年金です。
遺族年金を手続したところ、130万円ほどの年金がもらえることがわかりました。
しかし、社会保険事務所の窓口で言われたのです。
「遺族年金をもらうと、障害年金はもらえませんよ」
障害年金は約80万円。遺族年金は約130万円。確かに遺族年金のほうが多いですが、育子さんには、どうしてもこのしくみが納得できません。だって、育子さんはこれからも働けないし、子どもたちには親のめんどうをみるゆとりがないし、自分の病気で何かとお金がかかるのです。お金が必要なのです。

●育子さんの遺族年金

サラリーマンの夫の死亡により、育子さんは遺族厚生年金をもらえます。
この遺族厚生年金には「中高齢寡婦加算」というプラスがついています。
金額は約60万円。大きいですね。

●遺族基礎年金はもらえない

年金制度は2階建て。遺族厚生年金は年金のしくみでいうと、2階の年金にあたります、1階の年金はどうなっているかというと、育子さんの子どもたちはすでに成人しているので、1階の遺族年金に該当する遺族基礎年金はありません。

●ふたつの権利

もともと障害基礎年金をもらっている育子さんが、あらたに遺族厚生年金をもらえるようになりました。育子さんにはふたつの年金の権利があることになります。
二つあっても実際にもらうのは、ひとつ。これが原則です。
どちらか有利な方を選ぶことになりますね。

●育子さん自身の老後の年金は?

育子さんはすっと国民年金でした。会社勤めの経験はありません。
ですから、老後の年金は、65歳から、老齢基礎年金のみです。

●65歳からはどう選ぶの?

「障害基礎年金」を選ぶか、「自分の老齢基礎年金と夫死亡による遺族厚生年金」
このどちらかを選びます。
老齢基礎年金と遺族厚生年金は、「老齢」と「死亡」というまったく違う理由での年金ですが、これは両方もらえることになっています、一人一年金原則の例外です。

●何が変わったの?

老後の年金を選ぶと、自分の障害基礎年金はもらえません。
そこで、この4月から、障害基礎年金と遺族厚生年金を組み合わせてもらうことができるようになったのです。
ただし、これは65歳以上の場合ですよ。65歳未満は、今までと変わりなく、どちらか選択です。

●育子さんには有利です。

65歳以降の育子さん自身の年金についてみてみましょう。
育子さんは自分の老齢基礎年金をもらうことができますが、カラ期間があるので、年金額は満額になりません。
もらえるけれど、老齢基礎年金は60万円ほどです。
しかし、障害基礎年金は約80万円です。
ですから、同じ1階の年金であっても、障害基礎年金を選んだほうがいいですね。
育子さんには障害基礎年金と遺族厚生年金という組み合わせが有利です。
こんなふうに選べるようになったのです。

●他のケースでも

育子さんは 働いてはいませんが、障害を持ちながらずっと働き続けるという人もいますね。
そのような場合は、自分の老齢厚生年金ももらう権利ができます。
今までは、障害基礎年金を選ぶか、自分の老後の年金を選ぶか、どちらかでしたが、 4月以降は、障害基礎年金と老齢厚生年金をもらえるようになります。
●簡単にいうと

言葉で説明すると、なんだか、ややこしいですね。
障害基礎年金は1階の年金です。1階の年金が障害基礎年金という場合には、2階の年については、1階と異なる理由の年金を組み合わせることができるようになったということです。

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これは、年金をもらう側からみると、「改正」です。
すでに65歳以上の人で、このような条件に該当している人には、お知らせが届くことになっています。しかし、何らかの事情でお知らせが手元に届かないこともあるかもしれませんので、該当する人は、もう一度年金額を調べて、有利なほうを選択しましょう。

でも、こんなふうにどんどん変わっていくと、ますます年金が複雑になりますね。
どこかで、もっとわかりやすい制度にしないと、年金屋敷は、複雑怪奇な「お化け屋敷」になってしまいそうです。

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