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知っておきたい年金のはなし    第111号 2005年4月11日発行

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インターネットで自分の年金加入記録をいつでも閲覧できる「年金個人情報提供サービス」
が始まり、「登録しましたよ」というメールをたくさんいただきました。
会社が年金手帳を預かっているので、基礎年金番号がわからないという人もおられます。
そういう場合は、会社で確認してください。
個人に年金手帳を返すと紛失するからということで、年金手帳を預かっている会社もありますが、会社での年金手帳の保管は、私としては、おすすめできません。
会社にとって、「年金手帳の保管」という余分な仕事が発生するからです。
何が起こるかわからない世の中です。
どちらにしても、自分の基礎年金号をメモに残しておきましょう。
また、配偶者の年金手帳(基礎年金番号)はコピーして自分の年金手帳と合わせて保管しておきましょう。
思わぬところで、必要になるかもしれません。

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第111号 遺族年金をもらえるように
★★★ 死ぬまぎわの入籍 ★★★
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62歳、会社の代表取締役である和夫さんが亡くなりました。
1年前の健康診断で再検査となり、検査入院をした結果、末期がんだと宣告されました。
この間の和夫さんの苦しさは言葉につくせないものでしたが、和夫さんは、会社を創業当時からの部下にまかせ、できるだけの治療を続けてきました。
そして、いろいろ考えた結果、あと少しの命なのですが、これまでつきあってきた正美さん(58歳)と入籍しました。和夫さんはずっと独身で、子どももいませんでした。正美さんにも子どもはいません。
もし、病気にならなければ、お互いにそのままでもよかったのですが、ひとりで残る正美さんのことを考えて、和夫さんは入籍をのぞみました。
入籍後、1月ほどで、和夫さんは亡くなりました。もちろん、正美さんは、入院中の和夫さんにつきそい、夫婦として過ごしました。
短い期間でしたが、戸籍上の妻である正美さんが和夫さんの法定相続人となります。
しかし、その事実は、和夫さんの親戚には知らされていませんでした。
亡くなったあと、自分たちが相続人だと思っていた和夫さんの2人の兄から、正美さんはいろいろなことを言われました。
和夫さんがかなりの財産を残していたからです。
正美さんは「財産や遺族年金のための入籍した、結婚詐欺だ」とまで言われました。
めんどうなことになるのなら、財産は二人の兄に分けてもいいけれど、遺族年金はどうなるのかと正美さんは考えました。
正美さんは、これまでの生活にゆとりがなく、国民年金保険料を滞納していたので、自分の年金はもらえません。25年の期間を満たすことができません。
ですから、遺族年金だけでももらえればいいと思っていますが、入籍して1ヶ月では、もらえないのでしょうか。

●遺族厚生年金

和夫さん自身は自分の老齢厚生年金をもらえる人です。30年以上、厚生年金に加入してきました。
ですから、和夫さんの妻は、遺族厚生年金の対象遺族となります。

●妻の条件

どんな妻であってもよいかというとそうではありません。
夫と生計維持関係があったこと、それから、妻の収入が850万円未満という条件があります。

●正美さんは

戸籍上の妻です。住民票も同一です。
そして、収入もそんなにありません。
ですから、遺族厚生年金をもらえる妻です。

● 入籍してすぐであっても?

そうです。期間の長い、短いは問題ではありません。
国民年金の遺族給付のひとつである寡婦年金には「婚姻期間10年以上」という条件がありますが、遺族厚生年金にはそのような条件はありません。

●事実婚であっても

仮に和夫さんと正美さんが入籍していなくても、事実婚の関係にあれば、遺族厚生年金の対象となります。
しかし、事実婚の場合は、事実婚であるという証明が必要なので、住民票も別、いっしょに暮らしていないなどとなると、証明が大変難しくなります。

●和夫さんは考えた

実は亡くなる前に和夫さんは考えたのです。
このままでは、正美さんは遺族年金をもらえないだろう、何もしてやれなかったので、せめて遺族年金だけでももらえるようにと、入籍を考えました。

●遺族年金目当ての結婚

和夫さん、正美さんの場合がそうだと言っているわけではありません。
しかし、正美さんは、まわりから「財産目当ての結婚、遺族年金目当ての結婚」だと言われました。
世の中、遺族年金目当ての結婚をする人がいないとも限りません。
しかし、それは当人でないとわからないのです。

●条件を満たせば

まわりがどんなに「遺族年金目当ての結婚だろう」と言っても、戸籍、住民票など、必要書類が全部そろい、条件を満たせば、遺族年金はもらえます。
仮に遺族年金目当ての結婚だったとしても、結婚しているという事実にかわりなければ、遺族年金の対象となります。

●また反対に

逆のケースもあります。
実際には婚姻関係があったけれど、それを証明できず、遺族年金をもらえないというようなこともあるのです。

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実際にこういうケースに出会った方から、年金目当ての結婚なんて、許されないと思うと言われましたが、どうでしょうか。
年金が目当てであったかどうか、それとも、最後は夫婦としてすごしたかったのか、死ぬまぎわの入籍について、ほんとのことは当人だけが知っています。

条件に該当すれば、遺族年金はもらえるのです。
それは「ずるい」ことなのでしょうか。
偽装結婚となれば問題でしょうか、和夫さん、正美さんのようなケースでは、ふたりが選んだライフプランと考えていいのではないでしょうか。
こんなこともありますよ。
実際には別居していて、もう別れるつもりだけれど、夫が死亡すれば、遺族年金だけはもらいたいというケース。 こういう場合であっても、必要な書類がそろえば、遺族年金の対象になります。

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