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知っておきたい年金のはなし    第112号 2005年4月21日発行

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インターネットで自分の年金加入記録をいつでも閲覧できる「年金個人情報提供サービス」に申し込んでいましたが、10日ほどで、IDとパスワードが届きました。
さっそく自分の情報を確認しましたが、加入記録、標準報酬月額など、わかりやすい内容になっています。
これなら、自分のパソコンから簡単に確認できるので、大変便利です。
ところが、同じ日に申し込んだのに、いつまでたっても、何の連絡の来ない人がいます。
どうやら、原因は「住所変更届」を出していないこと。
転居した場合、「厚生年金被保険者住所変更届」を提出するようになっていますが、これまでは、出しても出さなくてもあまり影響がなかったので、出していない人が多かったのではないでしょうか。
でも、これからこんなふうに影響するのですね。
「年金個人情報提供サービス」に申し込んだのに、いつまでたってもID・パスワードが届かないという場合は、住所などの情報違いということもありますので、確認してください。

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第112号 年金制度、夫妻の違い
★★★ 私はまだ死ねない! ★★★
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50歳の哲夫さんはサラリーマン、48歳の菊子さんは自営業という夫婦です。
ふたりは最近家を買いました。菊子さんの収入は哲夫さんより多いのですが、住宅ローンを菊子さん名義で組むのはむずかしく、哲夫さん名義で組みました。
もちろん、2人で働いて返済していきます。
新しい家に落ち着いてほっとしたある日、菊子さんが倒れました。仕事も忙しく、引越しも大変だったので、無理がたたったようです。
救急車で運ばれた菊子さん。1週間ほど入院しましたが、検査の結果は異常がなく、退院しました。 菊子さんは言うのです。
「私はまだ死ねないからね!」 まだ死ねないというのには、実はいろいろ意味があるのです。

● 菊子さんが死亡したら

自営業の菊子さんは現在国民年金の第1号被保険者です。保険料はきちんと支払っています。
しかし、菊子さんが亡くなっても、遺族年金の対象者は誰もいません。子どもはすでに18歳以上です。夫は対象になりません。

● 死亡一時金のみ

国民年金の第1号被保険者期間が3年以上ありますので、保険料を納めた年数に応じた死亡一時金を夫の哲夫さんがもらうだけです。
一時金ですので、一度だけ。金額も少なく、お葬式代にもなりません。

● 他にはないの?

そうなんです。もう他にはありません。

● 夫が死亡したら

会社員の哲夫さんが死亡したら、妻の菊子さんは、遺族厚生年金をもらえます。(現在の収入は850万円もありませんので、遺族年金の対象です)子どもが大きくなっているので、遺族基礎年金はありませんが、遺族厚生年金はもらえます。
しかも、中高齢寡婦加算付き!

●中高齢寡婦加算とは?

中高齢の女性(夫死亡当時35歳以上)には、プラスをつけてあげましょうというしくみです。ただし、実際には40歳からとなりますが、菊子さんは48歳なので最初からプラスされます。
(2007年4月より、死亡当時40歳以上となります)

● 中高齢寡婦加算は力もち!

金額としては約60万円です。あるのとないのとでは大違いです。

● 住宅ローンも

もし哲夫さんが死亡したら、住宅ローンの負担はその時点でなくなります。生命保険に加入しているからです。
菊子さんは遺族年金をもらえるし、住宅ローンを返済しなくてもよいということになります。

● 菊子さんが死亡したら、これは大変

菊子さん名義でローンを組んでいるのではないので、ローンはそのまま残ります。
つまり、哲夫さんは、遺族年金もなし、住宅ローンもそのまま、しかも、妻の収入がなくなってしまい、なにひとつ、いいことはありません。
これでは、菊子さんが先に死ぬことはできません。

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なんだか変なしくみですね。
夫婦で働いて生活を支えあってきているのに、夫が亡くなれば後に残った妻には保障があり、妻がなくなれば、あとに残った夫がたちまち困ってしまうなんて、おかしいですね。
妻より夫の収入が多いものとして組み立てられている制度なので、こんな矛盾も起こってきます。
やはり見直しが必要です。
条件の切り下げにならない見直しが必要です。
不公平だから見直しが必要という大義名分で、結果として、全体の条件が引き下げられてしまったということは、よくある話です。
男性でも女性でも、困った人を救済するしくみとして、「公平な」制度であってほしいと思います。

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