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知っておきたい年金のはなし    第118号 2005年6月21日発行

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私たちの年金額は、年金制度への加入期間と給料やボーナスの金額によって計算されます。
1階の年金である国民年金に加入している人は、保険料を払った期間や免除を受けた期間によって年金額が計算され、2階の年金がある厚生年金に加入している人は、給料やボーナスが年金額に影響します。
4、5、6月に支払われた給料をもとにして、その年9月以降の「標準報酬月額」が決定されます。この標準報酬月額によって厚生年金の保険料が決まりますが、同時に年金額もこの標準報酬月額をもとに計算します。
その届を「算定基礎届」といって、7月に会社が社会保険事務所へ提出します。
ちょうど1年前にこのメルマガに書きましたが、実は、昨年はこの標準報酬月額の決め方が、社会保険事務所ごとに違っていたのです。何が違ったかというと、パートで働いている人の保険料の決め方です。
日本の国の健康保険・厚生年金に加入しているのに、各社会保険事務所で保険料の決め方が違うなんて、おかしいと思いました。
昨年、どうしても納得できなくて、厚生労働省に電話をしたり、社会保険事務局へ行ったりしました。

今年、どうやら全国的に統一されました。
当たり前ですよね。同じ日本の国の制度ですもの。保険料の決め方が違い、年金額も違ってくるなんて、おかしいですよね。
全国的に、なんとかしてほしいという意見があったのでしょう。

私が感じることは、それぞれの社会保険事務所には「うちのやり方」みたいなものがあって、「他の社会保険事務所では違いますよ」と言われると、気分悪いみたいです。
「他は他、うちはうち」という雰囲気を感じたことがあります。
今回の国民年金保険料免除不正問題も、そういう雰囲気と無関係とは思えません。
(私の感じ方ですから、事実は違うかもしれませんので、あらかじめお断りしておきます)

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第118号 時効は2年
★★★ 滞納した保険料を払いたい ★★★
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60歳の恭子さん。社会保険事務所で調べてみたら、年金をもらうためには、あと6年不足していることがわかりました。任意加入の手続をしましたが、それにしても、あと6年は長い。65歳時点ではもらえません。
サラリーマンの妻だった恭子さん。結婚した当初、国民年金に加入していませんでした。第3号被保険者のしくみができる直前、夫は会社を退職。自営業を始めました。しかし、そこからが大変でした。
事業はうまくいかず、借金が増えていきました。そんな生活に嫌気がさした夫は働かなくなりました。
恭子さんはパートの仕事で家計を支え、子どもを育ててきましたが、夫は変わらず、とうとう離婚しました。 そんな生活だったので、国民年金の保険料は払っていません。制度についてもよくわからず、免除の手続をしていませんでした。
途中で免除の手続をしたらよいと教えてもらい、手続をしましたが、その期間をあわせても年金をもらうのに必要な25年を満たしません。

実は、恭子さんは60歳になる前に再婚しました。
再婚した夫はまじめな人で、生活費に困ることはなくなりました。
夫は、恭子さんに年金をもらう権利がないのなら、過去の未納分を払ってあげようと言ってくれました。そこで、過去の未納分を全部払おうと思って相談に行きましたが、2年以上前の未納分は払うことができないと言われました。
これから、任意加入するしかありません。

そんなとき、恭子さんは、ニュースで知りました。
ある社会保険事務所で、普通は払うことができない過去の未納期間の保険料を払って、未納記録を抹消していたという事件です。
こんなことができるのなら、私だって保険料を払いたい、65歳から年金をもらいたいと恭子さんは思います。

●保険料を滞納すると

国民年金の保険料を滞納した場合、あとで払うこともできますが、2年1ヵ月を過ぎると、払いたくても払えなくなります。(2年1ヶ月となるのは、国民年金の保険料の納付期限が翌月末日だからです)

●保険料への割増は?

割増はつきません。2006年6月の保険料、13860円は、2008年7月末までは、そのままの金額で納付することができます。

●追納とは違います

保険料の免除や学生の納付特例などの場合は、10年以内であれば、払うことができます。
この場合は、2年以上前の分については、割増がつきます。
そうですねよね。10年前と同じ保険料でよいというのは、おかしいですものね。

●最近の事件、不正な処理とは?

これは新聞で読んだ内容ですが、2年よりも前の保険料納付を認めたという事件です。
なぜ、このようなことを認めたかというと、「説明不足で未払いになっていたので、払えなかったのは社会保険事務所のミスだ」という主張があり、認めたということです。

●この事例から

公務員である夫が65歳になりました。引き続き在職しています。当時60歳未満である妻は、夫が65歳になったときから、第3号被保険者でなくなりました。しかし、夫が65歳になれば、妻は第3号被保険の資格を失うということを知らずにそのままにしていて、滞納になってしまったというのです。社会保険事務所で相談したときも、そんなことは教えてくれなかったというのです。

●あれ? サラリーマンの妻は第3号被保険者じゃないの?

第3号被保険者とは、自分で国民年金の保険料を納付しなくても払ったことにして年金の計算をするというしくみです。
しかし、第3号被保険者になるのには条件があります。
20歳以上60歳未満で、「第2号被保険者」に扶養されている配偶者だということです。その他年収の見込みが130万円未満(障害ある場合は180万円未満)という条件もありますが、「第2号被保険者に扶養されている」というところに注目しましょう。

●夫が公務員なら第2号被保険者ではないの?

確かに65歳未満の夫ならそうです。しかし、65歳をすぎても、厚生年金(この事例では共済年金)に加入しなければなりませんが、国民年金の第2号被保険者ではなくなります。
65歳になってもまだ年金をもらう権利がないなどという場合は、第2号被保険者となりますが、この事例では、すでに十分な期間があるので、65歳以降は第2号被保険者ではなく、したがって、その妻は第3号被保険者ではなくなり、第1号被保険者として保険料を納めないといけないのです。
これを知らなかった、説明不足だというのです。

●知っている人のほうが少ないかも!

知っていましたか。60歳未満のサラリーマンの妻は、第3号被保険者だと思ってしまいがちです。
サラリーマンの夫が65歳以上勤めている場合であっても、60歳未満の妻は60歳になるまで国民年金の保険料を自分で払わないといけません。そうしないと滞納期間になってしまいます。
でも、こんなこと、みんな知っているでしょうか。

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恭子さんの気持ちもわかります。今は保険料を払えるので、払いたいのです。
払うから、65歳からの年金がほしいのです。
しかし、もう払えない!
確かにわざと払わない高額所得者もいますが、恭子さんのようなケースは、どこかで救ってあげてもいいような気がします。
これから任意加入してもらえるようになるので、まだいいのですが、任意加入してももらえない人だっているはずです。
きちんと手続しておかないから自分が悪いと言えばそれまでですが、知らないこともありますよね。
知らないことが悪いことだと言われればそうかもしれませんが、説明義務もあるでしょう。
だからといって、今回の事件のように、不公平な扱いはいけないと思いますが、もっと考えていかなければならないところです。

問題は複雑すぎる法律です。
法律は複雑になる、それにかかわる職員の人数が少なくなるでは、説明義務も果たせないでしょう。
社会保険事務所の職員を減らすのがいいとは思えません。もっと他にある無駄を省き、サービスが低下しないようにしてほしいものです。

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