★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

知っておきたい年金のはなし    第119号 2005年7月2日発行

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

新聞報道によると、福井日銀総裁の年金は「月額65万円」となっていました。
それをみて、なぜこんなに年金が多いのだろうと思いました。
同じように「年金がこんなに多いわけがない」という問い合わせが殺到したのでしょう。
翌日だったでしょうか、その内訳が書いてありました。
月額65万円という金額は、企業年金や個人年金を含めた金額でしたが、厚生年金が300万円を超えていました。
老齢厚生年金と老齢基礎年金を合計した金額でしょうけれど、これから年金をもらい始める人で、300万円を越す人はまれだと思います。
気になる年金額ですが、それだけで生活していけるでしょうか。

今回は、以外に少ない遺族年金にがっかりした妻のお話です。

……………………………………………………………………………………………
第119号 妻の遺族厚生年金
★★★ 少ないのはなぜ? ★★★
……………………………………………………………………………………………

いったいどうしてこんなに遺族年金が少ないのか、多恵さんにわかりませんでした。
67歳の夫が亡くなりました。多恵さんは58歳です。
遺族年金の手続をしました。
夫は25歳から38歳まで13年間会社に勤めていましたが、その後、自営業を始めました。38歳から60歳まで22年間国民年金の保険料を納めました。25歳で会社に勤めるまでは国民年金の保険料を滞納していました。
死亡当時は、約70万円の老齢基礎年金をもらっていました。若い頃に加入した厚生年金は、年間約30万円でした。夫はあわせて100万円ほどの年金をもらっていました。
多恵さんが遺族年金の手続をすると、遺族厚生年金は約22万円。思わず聞きました。
「それは1年分ですか? 1ヵ月分ですか。」
それは、1年分です。
どうしてこんなに少ないの? 多恵さんは専業主婦でしたので、今さら、他に収入といってもありません。
夫が残してくれた生命保険がありますので、それを取り崩して生活していくしかありませんが、遺族年金とはこんなに少ないものなのでしょうか

●遺族年金をもらえる人とは?

多恵さんの夫は、老齢厚生年金をもらっている人です。
その夫が亡くなった場合、残された妻は遺族厚生年金をもらえます。

●遺族基礎年金はありません

ただし、多恵さん夫婦の子どもはすでに成人しているので、遺族基礎年金はありません。
遺族基礎年金は18歳の年度末までなど、一定の条件に該当する子どもがいないと、もらえません。

●だから金額が少ない

多恵さんがもらえるには、遺族厚生年金だけです。
遺族厚生年金は亡くなった夫の2階の年金(老齢厚生年金報酬比例部分)の4分の3です。
だから少ないのです。

●確か、遺族厚生年金は300月で計算するのでは?

それは「短期要件」に該当する人。
在職中の死亡であれば、厚生年金加入期間が短くても300月加入していたのものとして遺族厚生年金は計算されますが、多恵さんのケースでは「長期要件」に該当するので、300月では計算しません。

●「長期要件」に該当すると?

長期要件に該当すると、実加入期間で遺族厚生年金を計算するので、多恵さんの夫のよ

●中高齢寡婦加算もない!

話が複雑になるので、子どもがいないという事例でお話します。
夫死亡当時35歳以上の妻が40歳になると、40歳から中高齢寡婦加算がプラスされます。
中高齢寡婦加算は、2006年度は594,200円です。(約60万円)
しかし、夫が厚生年金に加入していないときに死亡した場合は、20年(特例15年)以上の厚生年金加入期間が必要なので、多恵さんの場合はもらえません。

●遺族年金では中高齢寡婦加算がものをいう

約60万円。これがあるかないかは大きな違いです。多恵さんにはなかったので、非常に少ない遺族年金になってしまったのです。
しかし、このしくみは来年の4月から変わります。

●35歳から40歳へ

現在、中高齢寡婦加算の対象となるには、夫死亡当時35歳以上の妻となっていますが、2007年の4月からは、40歳以上となります。
たとえば、夫死亡当時39歳の妻は、40歳になっても中高齢寡婦加算はないということです。

●40歳から60歳まで25年間

1年約60万円で計算すると、25年間で、約1500万円です。
35歳から40歳へと、これだけの法律改定で、1500万円もの年金減額となるのです。

●気がつきませんね

2004年の年金制度の改定では、それほど話題にならなかった変更点です。
しかし、生涯に受け取れる金額として考えたとき、とても大きな金額ですね。

……………………………………………………………………………………………
遺族年金は残された家族の生活保障という意味を持っています。
しかし、それだけで生活できるでしょうか。
特に、多恵さんのように、中高齢寡婦加算のつかない遺族厚生年金では、生活していくにはほど遠い金額となります。
そういったことも考えて、死亡ということに対して、しっかり保障をつけておきたいものです。

……………………………………………………………………………………………
7月1日発行予定予定のメルマガですが、1日遅れの発行となりました。
わずかな傷が可能し、右手の爪を一部切り取るはめになってしまいました。右手4本の指でキーボードは使いにくいです・・・油断大敵でした。

……………………………………………………………………………………………
女性に贈るみわ子さんの年金絵本 「年金、もっと知りたいな。」
全国の書店で好評発売中! 
ネット書店も便利です。送料無料で利用できるものもありますので、ご利用ください。
詳しくはこちらから → http://homepage2.nifty.com/miming2