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知っておきたい年金のはなし    第122号 2005年8月11日発行

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会社を退職して、自営業を始めた方から、よくこんな質問があります。
「雇用保険から、何ももらえないのですか。長い間保険料を払ったのに、何もないなんてひどすぎる!」
確かにそうですね。長い間雇用保険料を払い続け、何もないのは悔しいです。
でも、自営業は「失業」ではありませんので、失業給付はもらえません。
まだ売上げが少なくて大変だという人もいますが、売上げが少ないことは失業ではありません。気持ちはわかりますが、もらえません。

「何ももらえない」人もいますが、事業を始めて人を雇用する場合、助成金に該当することもありますし、再就職手当に該当することもありますので、計画時によく相談してください。(条件が厳しいので、あまり期待しないほうがいいですよ)

雇用保険はまったくなしということもありますが、年金は、保険料を払うと確実に給付につながります。
しかし、25年(原則)の期間を満たさないと、すべてが掛け捨てになってしまうので、注意しましょう。

こんな相談がありました。
すでに、63歳。まだ、10年近く期間が不足。どうせもらえないのなら、過去に払った保険料を返してほしいという相談でしたが、それは無理な話です。
コツコツと準備していくしかないのです。

さて、今日は、そんな努力が実り、年金をもらう権利ができて、「加入期間のお知らせ」が届いた58歳の万寿夫さんのお話です。

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第122号 厚生年金加入期間
★★★ 退職日、たった1日でも大きな違い!年金で損? ★★★
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58歳になった万寿夫さんに、社会保険庁から加入期間のお知らせが届きました。
万寿夫さんは、これまで、6つの会社で働いています。
倒産でやむなく退職したこともあります。
次の就職が決まるまで、国民年金の保険料を払ったこともあるし、滞納したこともあります。
加入期間のお知らせはそういった期間がきちんと書かれていましたが、よくみていると、間違いに気がつきました。
二つ目の会社は倒産したのですが、その会社の退職日が違っています。
確かに月末まで働いていました。
しかし、資格喪失日が月途中の21日になっています。
これはおかしいと思って問い合わせましたが、すでに、倒産してしまった会社で、月末まで働いていたという何の証拠もないので、どうしようもないということです。
この退職日の違いでどのような影響があるのでしょうか。

●厚生年金にはいつから加入?

会社に勤め始めたその月から厚生年金に加入です。
8月31日に入社したとしますね。
その場合、厚生年金資格取得日は8月31日です。
8月はたった1日しかないけれど、8月は厚生年金加入となり、1ヵ月分の保険料が必要です。

●退職した場合は?

退職日の翌日が資格喪失日となります。
月末に退職した人は、翌月1日が喪失日です。
簡単に言うと、8月31日で退職した人は、9月1日が厚生年金の資格喪失日で、8月まで厚生年金に加入していたことになります。

●月末以外の退職

たとえば8月30日に退職した場合は、8月は厚生年金加入月とはならず、7月までです。
「30日まで働いていたのに!」と言っても、8月分は入りません。

●資格喪失日に注意

資格喪失日が○月1日となっていれば、月末に退職したということであり、退職月まで厚生年金に加入していたことになります。

●万寿夫さんの場合

21日が資格喪失日であれば、その月は厚生年金加入月ではありません。
月の途中で喪失していれば、1ヵ月分、老齢厚生年金が少なくなることになります。
ただし、その月の保険料は払っていませんので、損をしているとも言えません。
保険料は払ったのに、途中で退職になっていれば、これは問題です。

●1ヵ月分はいくらになる?

65歳までの1階の年金、定額部分は1月1676円×物価スライド0.985で計算します。
これは今年度の計算ですが、年間1600円程度、年金が少なくなることになります。
つまり、年間ではたった1600円程度ですが、長い間年金をもらうとなると、大きな金額になってきますね。
2階の年金は標準報酬に率をかけて計算しますので、人によってまちまちです。
万寿夫さんが当時20万円の給料で働いていたとすると、1月分1500円程度、年金が少なくなる計算です。(おおよその金額です)

●まだまだありました

万寿夫さんの加入歴をみていると、他にも問題がありました。
資格喪失日が昭和○年9月30日となっていました。
これは、月末まで働いていて、問題ないようにみえますが、退職日は9月29日で、9月分は厚生年金加入期間となりません。

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会社が倒産という場合、月末退職にせず、月末前1日の退職とすることはよくある話です。
倒産するぐらいなので、会社はお金に困っています。
月末退職にすると、その月まで社会保険料の会社負担が発生するので、1月分でも負担を軽くしたいと考えるのですね。
月末1日前の日とすると、最後の月の社会保険料負担はありません。
万寿夫さんの勤めていた会社もきっとこのような事情だったのでしょう。

しかし、働いていた人にとっては、有利ではありません。
月末1日前の退職では、たった1日のことであっても、その月分の健康保険料(任意継続保険料)を負担しなければなりませんし、将来の年金額も少なくなります。
ただ、万寿夫さんのように、ずっと昔の話を今ごろ言っても、どうしようもないですね。
月末までは働いていて、最後の月まで保険料を払ったと言っても、何も証明するものがありません。
やはり、その時その時に確認することが大切です。
あとで、1月分、損をしたということにならないように!

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