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知っておきたい年金のはなし    第125号 2005年9月11日発行

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最近のことです。
育児休業を終えて復職した人がいたので、「育児休業等取得者終了届」と「厚生年金養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出するために、社会保険事務所へ行きました。
ところが、「特例申出書」は受け付けられないと窓口で言われます。この特例は、実際に給料が下がってから提出するものだというのです。それはおかしいと窓口で話をしたのですが、「受け付けられない、入力できない、あなたが間違っている」と言われます。
いろいろとやり取りがあったあと、その場はいったん帰ったのですが、あとで連絡がありました。
「先ほどは間違いでした」

社会保険事務所の間違いを責めているわけではありません。
窓口の担当者でも間違うほど、まだ、この手続は少ないということなのでしょう。
制度のスタートは昨年、2005年4月です。しかし、今でも間違ったことを説明するというのは、実際の手続きが多くないということでしょう。

この特例は、3歳未満の子育て中の人には有利な制度です。子育てのために働く時間が少なくなり、賃金が少なくなっても、せめて年金は、子どもが生まれる前の高い方の報酬で計算してくれるというものです。
男女に違いはありません。
思い当たる人は、手続きしましょう。

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第125号 育児休業と年金
★★★ 年金で損をしないように! ★★★
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今年の4月に出産した夏美さん、子どもが1歳になるまで育児休業を取るつもりでしたが、9月に職場復帰しました。
保育園に空きができたからです。
夏美さんの住む町では、保育園は満員状態。特に、ゼロ歳児は大変です。
空きがあったこの機会が逃すと、保育園に入れないかもしれないので、通常より早めて職場復帰です。
最近は、お産のできる病院も減り、その上、保育園にもすぐに入れないでは、ますます、子どもの数が減ってしまいますね。
夏美さんは、職場の育児時短制度を利用することにしました。当面、6時間で働きます。
これなら、無理なく、働けるでしょう。
ただし、給料は減ります。夏美さんの会社では、6時間の育児時短を利用している場合、基本給は8分の6で計算されるのです。
しかし、このようなケースでも、保険料や年金で支援があるのです。

●保険料はどのように決める?

健康保険・厚生年金の保険料は、毎年7月の「算定基礎届」でその年の9月分からの保険料が決定されますが、それ以外にも、基本給や手当が変更になったりで、固定的な賃金が変動した場合、保険料も変更されることになっています。ただし、連続して3ヵ月経過後、2等級以上の差が生じた場合となります。

●育児休業復帰の場合は

ところが、育児休業の場合は、職場復帰後、休業前より賃金が下がった場合、特例があります。
固定的な賃金が変更しなくてもよい、また、1等級の差でもよいというのがメリットです。
変更月は、育児休業終了後4ヶ月目からとなります。
夏美さんのように、時間が短くなり、賃金も下がる場合は該当します。
少ない給料にあわせて保険料も下げ、子育て中の人を支援するしくみです。

●保険料でも年金額でも

保険料が下がるということは負担が少なくなっていいことのように思えますが、将来受け取る年金額も下がるということです。
しかし、育児休業の場合は、保険料は下げるけれど、年金の計算では、マイナスにならないようにするというしくみです。

●特例申出書を出すこと

これは、今後、賃金が下がっても、子どもが3歳になるまでは、育児休業前の高い報酬で年金を計算するようにしてくださいという申し出です。
これを出しておけば、その後、賃金が下がっても安心です。

●育児休業が終了した時点で出しておくこと

育児休業が終了して賃金も下がるのなら、出さなければならないということに気がつきますが、その時は下がらなくても、後になって下がることもあります。
しかし、いつ下がるかわからないので、下がった時に、出し忘れることも起こります。だから、下がらなくても、出しておくのです。
何があるかわかりません。

●育児休業をとらない夫でも

職場近くに引越しして通勤手当が減った、残業が少なくなったなど、理由は問いません。
育児休業を取らない夫でも、この特例に該当します。
夫も、子どもが生まれたときに、特例申出書を出しておきましょう。

●育児以外の理由で賃金が下がったら?

会社の経営が厳しく、減給となった場合でも、この特例を出している3歳未満の子を養育している人は、保険料は下がったのに年金はそれまでの高い報酬で計算されることになります。
賃金の下がった理由はいちいち問われないので、特例に該当します。

●届出方法は?

会社を通じて行います。
住民票、子の戸籍抄本が必要です。具体的な添付書類については、もよりの社会保険事務所で確認してください。

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3歳未満の子を養育していれば、どんな理由で賃金が下がっても年金は高い報酬で計算されるというのは、ちょっとおかしいような気がします。
育児を支援するしくみなので、育児のために下がった場合というのが本来の趣旨でしょう。
しかし、実際には、どんな理由で下がったか、そこまで、チェックできないため、このようになるのだと思います。
育児時短で働き続ける夏美さん、きちんと手続きしてくださいね。
それから、夏美さんの夫も手続しておきましょう。
すでに該当しているかもしれないと思う人は、今からでもまにあいます。
たとえば、2005年4月時点で、2歳の子どもを養育していたというケースでも特例に該当しますので、今、気がついても、さかのぼって申出できます。(ただし、さかのぼりは2005年4月以降の期間で、2年前まで)
届出もれとなって、年金で損をすることがないようにしたいものですね。
過去にさかのぼる場合、具体的な事例で、確認してください。

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■□■ お知らせ ■□■ 
● FPらぼ〜5時間でわかる公的年金制度〜FPのための年金達人への道
10月14日(土)10:00−16:00(福岡)都久志会館 601
http://61.126.30.194/school/school922_nenkinseido_apply.html

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9月13日(水) 13:00〜15:00 福岡県北九州市 小倉駅そばKMMビル
http://www.chukonen.org/new/index.html

講師はいずれも菅野美和子が担当します。

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