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知っておきたい年金のはなし    第126号 2006年10月1日発行

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何度同じ手続きをしても納得できないことがあります。
60歳以上の妻を夫の健康保険の扶養に入れるケースです。
60歳未満の妻なら問題ないのですが、60歳以上の妻なら年金をもらっている可能性があります。
60歳以上の場合、年金を180万円以上もらっていれば扶養家族にはなれないので、確かめる必要があります。そのために、年金証書や年金額通知書のコピーを持っていきます。

ですから、あらかじめ、確認しておきます。
先日も、新しく就職した方が、60歳の妻を扶養に入れたいというので、「年金もらっていませんか」とたずねると、「もらっていません」とのこと。
しかし、社会保険事務所に行くと、「この人は年金もらっていますよ」と言われるのです。
コンピュータで検索すればわかるのですね。
「180万円もないでしょう?」と尋ねると、問題にならないくらい少ない金額のようです。調べてわかるのであれば、扶養家族として認定してくれてもいいようなものの、「年金額のわかるものを持ってきてください」と言われ、その場で扶養家族の手続きはできません。

確かに、共済年金など社会保険事務所で確認できないものであれば必要でしょうけれど、コンピュータで調べて金額までわかっているのに、コピーを持ってこないと扶養家族の手続きをしないという対応が、いつもどうしても納得できません。
調べてわかることなら、添付書類を省いていいと思いますが・・・
さあ、どうでしょう?

確かにそうであるという証拠が、添付書類です。
時と場合によって、いろいろなものが要求されます。
手続きとは、添付書類をいかにきちんとそろえるということです。
さて、こんな時はどうなるのでしょう。

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第127号 離婚時の年金分割
★★★ 按分割合の確認は? ★★★
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海外暮らしが長くなった律子さん。
現在、ヨーロッパのある国で暮らしていますが、ここの暮らしが気に入っています。
友達もできたし、日本に帰ろうとは思いません。
しかし悩みのたねは夫との仲。
離婚しようと思っています。
夫は日本の企業で働いていましたので、厚生年金加入期間があります。律子さんは第3号被保険者にもなっていました。
このような夫婦が海外で離婚となったら、年金分割はどうなるのでしょか。

●年金分割で大切なことは

按分割合です。年金をどのような割合で分けるかを決めて、社会保険事務所に分割改定の請求をします。
そのときに証拠書類が必要です。
その添付書類とは、公正証書、私書証書、裁判所の決定書(審判、調停、判決の謄本または抄本)のいずれかです。

●私書証書

私書証書(作成人の書名または記名押印がある私文書)には、公証人の認証を受けること必要です。夫婦ふたりの約束ではだめ、証人が必要ということなのですね。

●公正証書

これは日本の公証人役場で作成しなければなりません。公正証書を作成するのには、費用もかかりますよ。数万円です。

●裁判所の決定

これも日本の裁判であることが必要です。
裁判手続きには、家事手続、家事調停手続、人事訴訟手続きがあります。

●外国の裁判の決定書は?

外国の裁判所が日本の年金分割のしくみを把握しているとは考えられません。
ですから、日本の裁判所による決定書であることが必要です。

●裁判で何を決めるのか

年金の按分割合です。
按分割合は最高50%です。しかし、下限があります。
たとえば、40%〜50%の間で按分割合を決めないといけない夫婦は、30%と決めることはできません。仮に30%と決めたとしても、これは無効になります。
ですから、年金分割のしくみがわからないと、決定できないのです。

●日本は遠くて帰れないよ

年金分割をするのなら、日本へ帰って公正証書を作成しましょう。
なんとしてでも、日本で書類を作成する必要があります。
ぐずぐずして2年を過ぎると、時効です。

●なんとかならないの?

これでは海外で暮らしている人には不利ですね。
日本に帰ってくる予定のある人はいいでしょうけれど、そうでない人は、泣き寝入りということにもなりかねません。

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外国での裁判の決定書は、年金分割において、有効かどうか、実は、なかなかわかりませんでした。
現時点での解釈では「有効ではない」
これが厚生労働省の見解でした。やはり、日本に帰ってきて、しかるべき手続きをしないといけないのですね。
どう考えても、海外に住んでいる人には不便な話ですものね。
さて、律子さんは年金分割のために日本へ帰ってくるでしょうか。
旅費のほうがたくさんかかるかもしれません。
ただし、今後どのように判断されることになるかわかりませんので、該当する方は、個別の事例で確認してください。

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