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知っておきたい年金のはなし    第129号 2006年10月21日発行

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年金証書を受け取った人が言いました。
「どうしてもっとわかりやすく書けないのだろう」
確かに、わかりにくいです。
金額が間違っていなければいいのでしょうけれど、もう少し、誰にでもわかるように書けないかと思います。
10月から年金分割の情報提供が始まりました。
「年金分割のための情報通知書」も大変わかりにくいと思いました。

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第129号 年金分割のための情報通知書
★★★ これではわからない! ★★★
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48歳の芳子さんは離婚を待つひとりの主婦です。
10月になり、年金分割の情報を受けたいと社会保険事務所へ行きました。
戸籍謄本や年金手帳を持って行ったのに、当日通知書を発行してもらうことはできませんでした。
待つこと、1週間。
自宅へ書留で送られてきました。「親展」となっていました。
芳子さんが在宅していたので、受け取れましたが、夫が受け取る可能性もあり、あぶない! あぶない! 
 夫には内緒だからです。
「郵送してもいいですか」という確認は事前にありました。もう一度、社会保険事務所へ行くのも大変だったので、郵送でお願いしましたが、危険性はありますね。
(即日発行しているところもあるようですし、できるようになりますので、念のため)
さて、芳子さんは通知書を見ましたが、いったい何のことやら、さっぱりわかりません。

●第1号改定者とは?

まず、一番上に氏名の欄があって、第1号改定者と第2号改定者とあります。芳子さんの場合は、第1号改定者に夫の名前、第2号改定者に自分の名前が書いてありました。
第1号改定者とは、年金分割によって、年金をもっていかれる人(年金が減る人)。
芳子さんの場合は、夫ですが、夫とは限りません。

●第2号改定者とは?

これは、年金分割によって年金をもらえる人(年金が増える人)。
第1号改定者と第2号改定者に名前が書かれていて、ここで始めて、誰から誰に、年金分割されるのかを確認します。
第1号被保険者、第2号被保険者とは関係ありませんので、誤解しないでくださいね。

●婚姻期間等

年金分割の対象となる婚姻期間が書かれています。「等」となっているのは、事実婚も含むからです。
いつからいつまでが年金分割の対象になるかという大事なところです。

●婚姻期間で注意したいことは?

たとえば、一度離婚して、また同じ人と再婚したような場合、最初の婚姻期間は対象期間となりません。
なんらかの事情でペーパー離婚しているようなケースでは、注意が必要です。

●対象期間標準報酬総額とは?

これは、年金分割の対象となる期間の標準報酬月額や標準賞与額を合計したものです。
年金の計算の元になる、給料やボーナスの総額と考えてください。
標準報酬月額や標準賞与額は千円単位なのに、なぜ、総額が1円単位になっているのかと芳子さんは思いましたが、再評価をした後の金額だからです。

●再評価とは?

再評価とは、現在の価値に置き換えて評価しなおすということです。
昔と今では物価も賃金の水準も違います。当時の金額で年金の計算をすれば、年金額が低くなってしまうので、現在の水準に置き換えた後、計算するというものです。
対象期間標準報酬総額とは、再評価率を掛けて計算した後の合計額です。

●按分割合の範囲

対象期間標準報酬総額によって、按分割合の範囲が決まります。
按分割合とは、年金の分け方です。
最大50%と決まっています。年金を半分に分けるということは、按分割合を50%で決定するということです。

●ずっと専業主婦だった人

婚姻期間中、ずっと専業主婦をしていた妻は、収入がゼロですから、按分割合の範囲は0%〜50%となります。
その範囲内で決定します。

●共働き期間のある人

按分割合の下限は0%にはなりません。なぜなら、妻も働いていて自分の収入があり、年金分割は、その収入の差(つまり年金の差)に該当する部分を分割することになるからです。
ですから、按分割合が30%〜50%などとなっていると、その範囲内で決定することになります。この場合は、20%と決定することはできません。

●40%と決めたら?

夫の年金の40%をもらえるのではありません。
自分の持ち分があるので、上記の事例で説明すると、40%〜30%を引く、結局、増加分は10%となります。

●実際に増える年金は?

按分割合から、改定割合を出して、その改定割合によって計算していくという、一般の市民には計算できないような複雑な計算方法で年金を計算します。
いくら増えるのかを、自分で計算するのは困難です。
社会保険事務所で計算してもらいましょう。

●計算してくれるの?

50歳以上の場合です。
年金の見込額を照会できるのは50歳以上なので、離婚時の年金分割でどうなるかという見込額についても、具体的な金額を提示してもらえるのは、50歳以上の場合です。

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情報提供はまだ始まったばかりですので、今後、不都合なことは改善されていくと思います。
しかし、今のところは、何の説明もない、たった1枚の通知書です。(社会保険事務所によっては、説明書があるのかもしませんが・・・)
48歳の芳子さんのところへ送られてきたのは、たった1枚の通知書でした。
芳子さんは、これだけをもらっても、いくらぐらい年金が増えるのか、さっぱりわかりませんでした。

私は離婚する気がありませんが、情報提供を受けました。
忙しい社会保険事務所に、離婚する気のない人が問い合わせにきて、迷惑だったかもしれませんが、通知書を受け取りました。

もちろん、芳子さん同様、たった1枚の通知書でしたが、おおよそ計算できました。
公正証書や裁判などというのに値しないくらいわずかな金額でした。
でも、離婚したいと思うようになれば、このわずかな金額であっても、相手から取りたいと思うかもしれませんよね。

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■□■ お知らせ ■□■ 
離婚時の年金相談についてのご相談はお受けします。
社会保険事務所の資料をみてもわからない場合、説明します。
また、50歳未満の方の年金額についても、資料があれば、おおそよの額を計算できます。
ただし、資料を分析してのアドバイス・年金計算は、有料相談となります。
まずは、メールでご連絡ください。
通常のご相談であれば、無料ですので、お気軽にどうぞ

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