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知っておきたい年金のはなし    第136号 2007年1月4日発行

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新年おめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。

さて、あるところで、総務省作成のポスターをみかけました。
動物のゾウと、魚のタイが会話しています。 いったいどうすれば、ゾウとタイが会話できるのかと思いますが、どんな会話をしているかというと、
「所得税・住民税が変わるゾウ」
「どう変わるのダイ?」

そのあとには説明が書いてありますが、住民税の税率が上がるけれど、所得税の税率は下がるので、結局、負担は変わらないということを説明しています。
でも、ほんとにそうでしょうか。
住民税が増えるということは、単に所得税とのプラスマイナスだけではなく、介護保険料の所得区分にもかかわってくることです。所得税と住民税を計算すると、結局、合計は変わらない人もいるでしょうけれど、どこまで影響するか、もっと考えなくてはいけません。
ゾウとタイには悪いけれど、「だまされるのではないゾウ!」といいタイです。

年金のしくみも変わります。
2007年に実施が予定されている遺族年金の改定についてお話しましょう。

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第136号 2007年4月から遺族厚生年金が変わる
★★★ 何がどう変わる? ★★★
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美恵子さんは59歳です。5年前に夫がなくなりました。当時、18歳だった娘を大学まで出しました。お金がかかりました。夫が残してくれて生命保険で学資をまかない、ふたりの生活は、遺族年金と美恵子さんのパートの収入でやってきました。娘が無事に大学を卒業し、ほっとしていました。
しかし、安心したのもつかのま、娘が結婚すると言い出しました。しかも妊娠していました。
相手はフリーターで、生活力がありません。
「いったいどうして生活するの?」と、美恵子さんはこの結婚に大反対でしたが、親が反対してもどうしようもありませんでした。
心配したとおり、フリーター夫婦に生活力はありませんでした。娘夫婦が同居するようになり、孫も生まれるという状況で新しい年を迎えました。

美恵子さんは、正直言って、このような生活に耐えられません。夫が残してくれた家があるものの、美恵子さんのパートの収入は多くないし、遺族厚生年金をもらってやっと生活している状態です。夫の生命保険は娘の教育費で使ってしまいました。
娘夫婦や孫のめんどうまでみることはできません。

美恵子さんも今年はいよいよ60歳です。
遺族年金が変わるということも聞いて、美恵子さんは心配になってきました。
これからの生活はどうなっていくのでしょう。まさか、年金がもらえないってことにはならないでしょうね!

●遺族年金が変わる

2007年4月から遺族年金が変わります。
まず、30才未満の子のない妻に対する遺族厚生年金は、5年の有期年金になってしまいます。
子どものいる人は関係ありませんよ。夫死亡当時に妊娠している人も、子どもが生まれれば、子のある妻となりますので、心配ありません。

●それから、他には?

2007年4月以降に遺族年金の権利が発生した場合、65歳以降は、まず、自分の老齢厚生年金をもらい、さらに遺族厚生年金が老齢厚生年金より多い場合は、その差額を遺族厚生年金としてもらうというしくみになります。
●どういうこと?

老齢厚生年金と遺族厚生年金のふたつの権利がある場合は、現在は、自分で受取り方を選択しているのですが、老齢厚生年金を優先してもらうということになります。

●美恵子さんはどうなるの?

まず、60歳になったときに、過去に厚生年金に1年以上加入したことのある美恵子さんは、自分の老齢厚生年金か、夫死亡による遺族厚生年金か、どちらを選択します。これは、現在と同じで変わりありません。

●65歳以降は?

老齢厚生年金が優先され、差額を遺族厚生年金としてもらうというように、自動的に改定されます。 結局もらう金額には変更ありませんが、ソウとタイの話のように、金額が同じでも、老齢厚生年金は課税対象、遺族厚生年金は非課税など、課税関係が異なるので、手取りが少なくなる可能性があります。 ●中高齢寡婦加算も変わる

美恵子さんは、現在、中高齢寡婦加算がプラスされた遺族厚生年金をもらっています。中高齢寡婦加算をもらうには条件があります。
たとえばサラリーマンの夫が在職中に死亡した場合、夫死亡当時35歳以上の妻であれば、中高齢寡婦加算を遺族厚生年金にプラスしてもらうことができます。

●35歳から40歳へ

中高齢寡婦加算を実際にもらうことができるのは40歳以降です。
また、遺族基礎年金をもらっている間はもらえないなど、条件はいろいろありますので、詳しいことは個別に確認しましょう。
このしくみが変わります。「35歳」が「40歳」になります。

●遺族年金は縮小される方向性?

こういった改定の裏側には、遺族年金の範囲をせばめていこうという考えがみえます。
「遺族年金に頼らず、働いてね!」と、思っているのでしょう。

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しかし、心配なのは、美恵子さんの娘の方です。
娘の夫は、国民年金の保険料を払っているのでしょうか。生活もできないので、払っているようには思えません。では、納付猶予(30歳未満の場合)の手続きをしているのでしょうか。
何の手続きもせず、滞納していれば、死亡しても、残された妻や子に遺族年金はありません。美恵子さんの娘は小さな子どもをかかえて、遺族年金なしに生きていかねばなりません、
そうなると、美恵子さんの生活にも影響が出てきます。

美恵子さん自身の年金よりも、娘夫婦の年金については、対策を取らねばなりません。そうしないと、美恵子さんのライフプランも成り立たなくなってしまいます。そこまで子どもたちのめんどうはみないと突き放してしまうのなら別ですが・・・
こういうケース、たまにあるのですよ。

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