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知っておきたい年金のはなし    第137号 2007年1月11日発行

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なんと(710年)きれいな平城京
鳴くよ(794年)うぐいす平安京
いい国(1192年)作ろう、源頼朝

こんな語呂合わせで歴史の勉強をしませんでしたか?
私は、今でも忘れられないのです。
しかし、歴史は、語呂合わせで、学ぶものではありません。
遠い昔、やはり受験のために歴史の勉強をしている最中、「歴史って、過去のことを学ぶけれど、未来のために、同じ過ちを繰り返さないために勉強するものだな」と気がつきました。
どうしても、暗記する、試験に合格するということで勉強してしまいますが、学生であった私がそんなふうに思ったということは、きっと、おもしろい歴史の授業を受けていたのかもしれません。

今でも2度と同じ過ちを起こさないために、過去を知る必要があるのだと思っています。
年金の歴史もそうです。
年金制度がどのようにして生まれ、どのように変わってきたか、それを知ることで、「国」が何を考えてきたかということがわかります。
「歴史」というと、過去の受験勉強を思い出して、なんとなく、苦手だなあと感じるかもしれませんが、未来を考えるのに、実は大切なことなのです。

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第137号 年金の歴史から
★★★ これからどんな制度に? ★★★
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今年、定年を迎える明さんは、60歳以降の働き方を迷っています。会社には継続雇用制度があります。
フルタイムで今までと同じように働くコースと、短時間で働くコースです。短時間コースにもいくつかあります。
他にやりたいこともあるので、週4日という短時間コースを選択しようかと考えています。
1日7時間、週4日ですと、社会保険(健康保険・厚生年金)には加入できません。厚生年金に加入しないような働き方ですので、在職老齢年金による年金カットの心配もありません。
しかし、気になるのは、これからの法改正です。
パートタイマーも厚生年金に加入する方向で検討がすすんでいると聞きます。パートタイマーも厚生年金に加入するようになれば、結局、短時間労働を選んでも年金がカットされることになるのではないかと。
これからどう法律が変わるかわかりません。短時間だから、年金カットの心配はないとは言えません。
さて、どうすればよいのか、明さんはわからなくなってしまいました。

●厚生年金保険の始まり

厚生年金保険は、最初から厚生年金保険という名前ではありませんでしたが、昭和17年にスタートしました。
当時は、工場などの現場で働く男性が対象でした。
そして、事務職の男性や女性も対象となったのは、昭和19年です。

●戦争末期に対象者が広がった

戦争(第二次世界大戦)中に、しかも日本が負けると予想される時に、年金制度が拡充されたのは、戦費調達のためだと言われています。
保険料でお金を集めて、戦争の費用に使うというのです。

●国民年金は昭和36年4月から

戦争中に年金制度が拡充されたとはいえ、公務員や会社員など、お勤めする人が対象でした。自営業や無職の人には、公的年金はありません。そこで、日本国民全部を対象として、昭和36年4月に国民年金がスタートしました。

●3つの家が並ぶ時代

そして、共済年金、厚生年金、国民年金、この3つの「家」が別々に存在する、年金制度がしばらく続きます。
一番大きい家は共済年金です。

●これは不公平!

会社員になるか、公務員になるか、自営業者になるか、選択する職業の違いで、もらえる年金が違うのは不公平だと、3軒の家を1軒にまとめる大改革が行なわれました。

●2階建ての年金制度は昭和61年4月から

昭和61年4月から2階建ての年金制度が始まりました。これは、どのような職業の人であっても、1階は同じというしくみです。
2階は異なっても、1階は全国民同じというしくみが始まったのです。

●専業主婦は?

全国民といっても、専業主婦の扱いは異なっていました。
昭和36年4月に国民年金がスタートしたのちも、サラリーマンの妻は任意加入でした。入ってもよかったし、入らなくてもよかったのです。
なぜ、そんなふうにしたかというと、収入のない妻から保険料を取るしくみは作れなかったのだろうと思います。

●第3号被保険者は昭和61年4月から

その後、2階建ての年金制度を組み立てる時にも、サラリーマンの妻の扱いには困ったのでないでしょうか。
強制的に保険料を取ることに反発もあって、第3号被保険者というしくみを作ったのでしょう。

●第3号被保険者がだんだん負担になっていく

少子高齢化が進み、年金財政が厳しくなる中、第3号被保険者が負担になってきたのは事実です。
また、働く女性から、どうして、サラリーマンの妻だけば優遇されるのか、第3号被保険者のしくみは不公平だという声も上がってきました。
今、国がなんとかしたいのも、第3号被保険者でしょう。

●第3号被保険者を減らす

そこで1案として、「パートタイマーも厚生年金に加入」という案が出てきたのです。
そうなれば、第3号の数が減りますね。

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こういう流れをみていると、まったく違った政党が政権を取るなどということがない限り、第3号被保険者の数を減らしていく政策が取られることには間違いありません。
第3号被保険者のしくみを廃止するとなると、それこそ、国民の大反対にあうでしょうから、パートタイマーの厚生年金加入という方法になるのでしょう。
パートタイマーの厚生年金加入も、悪いことではありません。
しっかり、自分の年金という家を作るという点では、いいことに違いありません。
ただ、私は大事なことを見逃さないでほしいと思います。
それは、国民からの視点です。
弱いものどうしが、損だ、得だと言い合うのではなく、誰もが安心して暮らしていくためには、どのような制度がよいのかということを、もっと考えなくてはならないと思います。

パートタイマーの厚生年金加入基準によっては、明さんのような人も出てくるでしょう。
厚生年金に加入しない働き方を選択したのに、結局、法律が変わって、厚生年金に加入することになり、年金がカットされるということになりかねません。
明さんには、自分がこれからどうしたいのかを第一に考えて、納得できる選択をしてほしいと思います。

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