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知っておきたい年金のはなし    第138号 2007年1月21日発行

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昨年の話になりますが、「Dr、コトー」というドラマがあって、中島みゆきさんの「銀の竜の背に乗って」という歌が最後に流れていました。
ひさしぶりに中島みゆきさんの歌を聴いたのですが、彼女の歌は、いつも同じ雰囲気なんですよね。 でも、私はそれが好きなのです。最近でこそ、コンサートには行っていませんが、昔は、福岡でのコンサートにはよく行きました。
いつも、暗い感じの歌。何年も何年も、その雰囲気は変わらない。でもそれがいいのです。

私の書いた文章をみて、
「いつも同じような文章書いてるね」
とちょっと意地悪なことをいうのが、うちの家族です。
「華麗なる一族」を見ながら、いつか、私も山崎豊子さんのような小説を書けたらいいなと思わないでもありませんが、私が山崎豊子になれるわけもなく、私は私の持ち味で書いていきましょう。
さて、今日は、フリーターの美由紀さんが登場します。

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第138号 若年者納付猶予制度と免除制度
★★★ フリーターの私はどうすればいい? ★★★
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数日前、美由紀さんに社会保険事務所から封書が送られてきました。
なんだろうと思ってあけてみると、国民年金の案内でした。
「国民年金資格取得届・回答書」という用紙が入っていました。
年金なんてまだ関係ないし、入りたくないなあ、それに保険料を払えないしと、美由紀さんは思いました。
来月20歳になる美由紀さんは、現在、フリーターです。高校卒業後、アルバイトしたり、しなかったり。親に世話になっているのはわかりますが、自分でも何がしたいのかわかりません。
国民年金のお知らせには、知らないふりをしておこうと思いました。
自分では払えないし、これ以上、親に払ってくれとも言えません。
そう考えて、美由紀さんは、そのまま、ゴミ箱へ捨ててしまいました。
ところが、それをお母さんが拾っていました。
「20歳になれば国民年金なのよ」とおかあさんは美由紀さんに言います。
でもそんなこと言われたって、どうしたらいいのでしょうか。
お金は降ってきませんよね。

●20歳になれば強制加入

国民年金資格取得届を提出するように案内がありますが、これを出しても出さなくても、20歳になれば強制加入です。
ゴミ箱へ捨ててしまっても、問題は解決しません。

●高校を卒業して就職した人は?

高校卒業後、会社に勤めていて厚生年金に加入している人は、20歳未満で国民年金にも加入しているので、20歳になったからといって手続きする必要はありません。

●第3号被保険者に該当する人もいる

すでに結婚していて、配偶者が厚生年金に加入していれば、専業主婦や一定の収入以下のパートであれば、第3号被保険者に該当するので、その場合は、国民年金の保険料を払う必要はありません。
第3号に該当すると記入して、提出しておきましょう。

●保険料が払えないとき

20歳になったときに、学生であるなら、学生の納付特例の申請ができますが、フリーターは、学生の納付特例には該当しません。

●まず、免除制度を検討します

所得が少なく、保険料を払えない場合、全額免除、半額免除、4部の1免除、4分の3免除を検討します。
ところが、本人の所得がゼロでもこういった免除を認められない人がいます。
免除に該当するかどうかは、世帯でみるので、本人の所得がゼロであっても、親(世帯主)の所得が多ければ免除を受けられないということにもなるのです。

●30歳未満の人は、若年者納付猶予制度を利用できます。

本人が払えないからといって、親が国民年金の保険料を払ってくれるわけではありませんね。
こういった人を救済するため、若年者納付猶予制度が作られました。
本人とその配偶者の所得だけで判断されます。
結婚していない人は本人の所得だけですよ。
保険料を払わなくてもよいというのは、免除も納付猶予も同じですが、このしくみには大きな違いがあります。

●どう違うの?

保険料免除では、まったく払わなくても、その一部は、払ったものとして、老齢基礎年金に反映されます。
ところが、納付猶予は、そのまま払うことがなければ、将来の年金額には、まったく反映されません。

●じゃあ、免除のほうが得ですね

納付猶予と免除を比べると、免除を受けたほうがあきらかにお得です。
3年間全額免除を受けたとします。3年間保険料を払わず、追納する(後で払う)ことがなくても、3分の1にあたる1年分は、保険料を払ったものとして、年金をもらえるのです。(詳しい説明は省きますが、今後、段階を経て2分の1となります)
しかし、納付猶予制度では、年金の計算をするときには、その3年間は、ゼロなのです。

●免除にも該当する、納付猶予に該当するという場合は選択

どちらかを選択します。選択ができるのなら、通常の免除がいいですね。

●学生も?

学生の場合はどちらか選択ではなく、学生の納付特例が優先されます。全額免除を申請することはできません。

●美由紀さんは

親の所得が影響して、普通の免除を受けられないのなら、若年者納付猶予制度を利用するしかありません。

●どちらに該当するの?

これは直接調べてください。住民票のある市町村役場の国民年金課へ行って調べましょう。

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若年者納付猶予制度は、いわゆるフリーターの国民年金未納対策として、2005年4月からスタートした、10年間の時限措置です。
確かに、同居している親の所得が多くて、免除にならない、かといって、親にも払ってもらえず、結果として国民年金の未納期間となっていたという人にとっては、よい制度でしょう。年金の権利を確保する制度です。 ただし、もともと免除を受けられる人は全額免除などを受けたほうがいいのです。
あとで払わなくても、老齢基礎年金に反映されますからね。
若年者納付猶予制度では、追納しない限り、年金額には反映されないのです。

20歳の若者にとって45年先の年金制度を考えられないかもしれませんが、払わないともらえないということを心に刻んでおく方がよいでしょう。
美由紀さんも、よく考えてください。
少なくとも、ゴミ箱に捨てて解決しようとは思わないでくださいね。

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