★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

知っておきたい年金のはなし    第139号 2007年2月1日発行

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

確定申告の時期になりました。
とにかく、使った経費はもれなく計算に入れるということにつきますね。
自営業の場合は、「事業主勘定」というものがあるので、自分のサイフから立て替えた経費のつけ忘れということが考えられます。

所得税はそんなに負担を感じませんが、今年怖いのは、住民税と国民健康保険料。
住民税は昨年の倍になります。
それに、国民健康保険料の高さには、泣きたい思いです。
少し所得が増えると、すぐに最高額になってしまいます。「この収入でこの保険料?」と疑いたくなります。

国民年金保険料は定額ですが、これも、所得の少ない人にとっては、きびしいですよね。
かといって、納めておかないと、将来の年金額が少なくなりますから、あとで泣きをみることになります。

今日は、前回登場した美由紀さんのお話の続きです。

……………………………………………………………………………………………
第139号 免除の基準と世帯主の収入
★★★ 誰でも世帯主になれる! ★★★
……………………………………………………………………………………………

美由紀さんのお母さんが大変なことになりました。
このところ体調が悪かったお母さん、病院で検査の結果、「シェーグレン症候群」という難病にかかっていることがわかりました。
美由紀さんはこんな病名を聞いたことがありません。
インターネットでいろいろと調べていると、現在は治療法がないけれど、命に別状があることはなさそうです。
しかし、疲れの激しいお母さんは、パートの仕事を辞めることになりました。

美由紀さんのおねえさんも心配しています。
おねえさんは社会人。大学卒業後、大手企業で働いています。そんなおねえさんは、いつまでも就職しない妹に、日頃から不満を持っています。
お母さんが難病と診断され、その心配や日頃の不満から、妹に言ってしまいました。
「いつまでもうちでぶらぶらしているから、お母さんに心配かけるのよ。お母さんの病気はストレスから来ているのよ」

美由紀さんだって、自分のことはわかっています。
ちゃんとした仕事につかず、かといって進学するでもなく、いわゆる「ニート」状態。家族に迷惑をかけていると感じています。
でも、何をしたいかよくわからないし、仕事も続きません。
「私だってつらいのよ、そんなことを言われたって・・・」
と、美由紀さんは、悲しくなって家を飛び出しました。

そのままハローワークへ言って求人情報をみましたが、なんだか、気持ちが乗りません。
すぐに家に帰りたくない気持ちのまま、区役所の前を通りかかりました。
「そうだ、国民年金のことを聞いてみよう」と美由紀さんは思いました。

20歳なった美由紀さん。いつまでも親には頼れません。お母さんが働けないとなると、国民年金の保険料ぐらい、自分でなんとかしないといけないと思います。
区役所の窓口で免除について、たずねてみました。

● 申請免除の基準 申請免除には4段階あります。全額免除、半額免除、4分の1免除、4分の3免除です。 所得によって該当するものと該当しないものがあります。 ●誰の所得?

本人とその配偶者、世帯主の所得です。
美由紀さんは未婚なので、美由紀さんと世帯主の所得です。
美由紀さんは昨年の所得はゼロ。世帯主はお父さんなので、お父さんの所得が関係します。

●お母さんは関係ないの?

関係ありません。
その配偶者とは、あくまでも、本人の配偶者であって、美由紀さんは未婚なので、関係ありません。

●他の人は関係ないの?

会社員のおねえさんも関係ありません。

●同じ家族なのに、なぜ?

国民年金の納付義務は本人と世帯主にあるからです。

●お父さんに請求がくるの?

美由紀さんが滞納すれば、お父さんの責任にもなります。
お父さんに督促が来たり、差し押さえにあうこともあります。

●お父さんは悪くないのに?

悪くないといっても、世帯主には納付義務があるのです。

●世帯主が変われば?

世帯主はお父さんでなくてもいいのです。誰でもなれます。
収入の少ないお母さんを世帯主にすれば、お母さんの所得で判断されるので、美由紀さんは免除を受けることができるでしょう。

●美由紀さんが世帯主になってもいいの?

それでもいいです。世帯主はいつでも変更できます。
世帯主はお父さんだとは決まっていないのです。
所得のない美由紀さんが世帯主になれば、全額免除を受けることもできます。

●なんだか変じゃない?

なんだか、変ですね。
でも、これが国の法律です。

……………………………………………………………………………………………
国民年金法第88条に確かに書いてありますね。
配偶者、世帯主が納付義務を負う者となっています。
子どもが国民年金の保険料を滞納して、世帯主がある親が差し押さえにあったという事例もあるそうです。
でも、収入の少ない人を世帯主にすればいいなんて、これもまた変なしくみですね。
本来の免除基準の考え方からはずれているような気がします。

美由紀さんは、これほど、申請免除にこだわらなくてもいいのですよ。
若年者納付猶予制度を利用できます。若年者納付猶予制度では、親の所得は関係ありません。
しかし、免除を受けられるのなら、全額免除を受けたほうがいいのです。
将来の年金額につながりますからね。

……………………………………………………………………………………………
■□■ お知らせ ■□■ 
公的年金実務テキスト 「年金分割」
マネーマーケット社 2000円。一般の書店では扱っていません。
「妻も年金 夫の年金」はわかりやすい解説で、小説感覚で読める本です。
もっと専門的に勉強したい方へはこのテキスト「年金分割」がおすすめです。
社会保険労務士やファイナンシャルプランナーの方へおすすめします。
お申しこみはアサヒSR年金研究会
大阪の社会保険労務士小林賢介氏が主催している年金研究会です。私も会員です。
http://www.asahi-sr.com/ 

……………………………………………………………………………………………
「妻も年金 夫の年金」全国の書店で好評発売中!
株式会社 企業年金研究所発行 1470円

セブンアンドワイ http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31804411
アマゾン http://www.amazon.co.jp/gp/product/4906454151/
楽天ブックス http://item.rakuten.co.jp/book/4219758/
書店にない場合は、こちらからご注文ください。
→ http://homepage2.nifty.com/miming2 

……………………………………………………………………………………………
女性に贈るみわ子さんの年金絵本 「年金、もっと知りたいな。」
全国の書店で好評発売中! オンライン書店も便利です。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4939051285/qid%3D1097655426/250-3166099-6622634
年金の基本を知りたいという人に、おすすめします。