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知っておきたい年金のはなし    第144号 2007年4月1日発行

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今日から始まる年金分割。
しかし、年金をもらう妻にとって、分割できる年金は少ないものです。
詳しいことは、「妻も年金 夫の年金」を読んでください。
夫婦の年金がよくわかります。
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バラ色ではないしくみをバラ色のしくみだと勘違いしたり、年金には思わぬ落とし穴がいっぱいです。
今回登場する重夫さんも、落とし穴にはまったひとりです。

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第143号 ボーナスと年金
★★★ もらわないほうがよかった? ★★★
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重夫さんは昨年の11月に60歳になりました。
いよいよ年金をもらう年になったのだと、感慨深いものがありました。
誕生日を迎えて、すぐに年金の手続きをしました。
「働いていると年金は減額されますよ」と社会保険事務所で説明があり、年金額も教えてもらいました。
年金は減額されますが、仕事は辞められません。
家のローンもあるし、子どもはまだ大学生です。

しかし、減額されるといっても、現在の給料プラス年金。これでなんとか生活していこうと計画をたてていました。
ところが、年金証書を受け取ったあと、年金額の変更通知が来ました。
最初に社会保険事務所で計算してもらった金額よりも、かなり少なくなっています。
12月末にもらったボーナスが影響しているようです。

●在職老齢年金とは?

60歳以降も働き続けて厚生年金に加入していると、年金額と給与の額によって年金は全部、あるいは一部カットされるというしくみです。

●28万円を境に

年金月額と総報酬月額相当額が28万円を超えると、年金はカットされます。
28万円以下だと年金がカットされることはありません。

●総報酬月額相当額とは?

これが曲者です。毎月の給料(標準報酬月額)だけではなく、過去1年間のボーナスも計算に入るのです。

●1年間とは?

重夫さんは11月で60歳になったので、年金は12月分からです。
12月分の年金は、その年の1月から12月までにもらったボーナスが影響します。
ボーナスを月割りにして、加算して在職老齢年金を計算するのです。

●36万円のボーナス

重夫さんの会社は大変厳しい経営状態でしたが、やっと利益も出て、ここ数年なかったボーナスが12月末に支給されました。
重夫さんは36万円のボーナスでした。同年代の男性にすれば少ない金額でしょうが、これまでがんばってきたかいがあったとうれしいボーナスでした。

●年金が減る!

ところが、お知らせをみてびっくり!
年金が1ヵ月で15,000円も少なくなっているのです。
つまり、1年間で18万円。
36万円のボーナスをもらって、18万円も年金額が少なくなるとは!

●納得できない!

ボーナスからはしっかり社会保険料が引かれています。税金も引かれています。
それなのに、年金が減額なんて、重夫さんはどうしても納得できません。たった36万円のボーナスなのに!
こんなに働き甲斐のないしくみになっているなんてと、重夫さんはがっかりしてしまいました。

●夏のボーナスをもらったらどうなる?

会社の経営は上向きです。夏のボーナスも期待できそうです。しかし、夏のボーナスをもらったら?
また減額されます。常に過去1年間のボーナスが計算に入るので、7月に夏のボーナスをもらったら、冬と夏の2回分のボーナスが計算に入り、もっと年金は少なくなります。
あるいは、全額支給停止になるかもしれません。

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重夫さんは思いました。こんなことならボーナスはないほうがいい、その分、分割して手当としてもらったらどうなるだろうかと。
しかし、それでも結局は、同じことになります。
36万円を12ヵ月で分割して3万円ずつ毎月の給与に上乗せしたとします。
固定的な賃金が3万円上がることによって標準報酬月額が変更されると、やはり、年金のカット額は増えます。ただ、少し変更になる時期は遅れますが。(詳しいことは省略していますので、個別のケースで確認してください)
ボーナスで一喜一憂しないために、ボーナスなしの給与体系にした方がすっきりするかもしれません。会社にとっては基本給を少なくし、ボーナスで調整したほうがいいでしょうけれど、60歳以降働く人にとって、ボーナスがあると、そのたびに年金額が変わり、非常に生活設計をたてにくいものになります。
それでも、たくさんボーナスがあると問題ないのでしょうけれど、重夫さんの場合は、なんとも中途半端な金額です。

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