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知っておきたい年金のはなし    第147号 2007年5月11日発行

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4月から健康保険の標準報酬月額の等級が変更になっています。
一番低い等級が、これまでの98,000円から58,000円に下がりました。
でも、厚生年金については変更ありません。
どういうことでしょう?

例えば、賃金が6万円のパートタイマーであれば、健康保険料は58,000円を標準報酬月額として、厚生年金保険料は98000円を標準報酬月額として、計算するということです。
計算の基礎が異なるということです。
でも、考えてみれば、ちょっと変。
社会保険に加入しなければならない人の賃金が月額58,000円とは、最低賃金違反になりませんか?

これまで、標準報酬月額を最低の98000円として届け出るときは、最低賃金違反を疑われたり、社会保険事務所でも、けっこう厳しかったのですが、それより等級を下げるとは?
やはり、パートの社会保険加入基準を下げることを前提としての動きだったと思います。

以上は健康保険の話。
さて、4月から年金制度においても、新しい制度が実施されています。
そのひとつが、「年金の受給を辞退する制度」です。

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第147号 年金の受給を辞退する制度
★★★ 何を想定して? ★★★
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徳子さんは6月で60歳。
厚生年金加入期間は17年です。43歳でパート勤務。厚生年金に加入し、60歳で17年となります。
そんな徳子さんは社会保険事務所で年金額を調べましたが、60歳から61歳までは報酬比例部分(2階の年金)のみで、35万円ほどです。
年金額が少ない原因は、パートで賃金が低かったからです。
17年も働いたのに、2階の年金(報酬比例部分)はこんなに少ないのです。
さらにびっくりしたことは、この年金をもらうと、夫の加給年金約40万円がもらえなくなってしまうことです。

そんなのあり?
35万円の年金をもらって、40万円減るなんて。
そんなことなら、もらわない方がいいのに。

4月から年金を辞退できる制度がはじまったと聞いて、徳子さんも辞退しようかしらと思いました。

●年金の受給を辞退する制度

年金受給者が希望すれば、基礎年金、厚生年金とも全額支給停止を申し出ることができる制度です。自ら、「その年金は必要ありません」と申し出る制度です。

●辞退はいつでも撤回できる

やっぱりもらいたいと思ったら撤回できます。撤回後、年金は受け取れます。

●じゃあ、辞退しよう

徳子さんは思います。
世帯単位で考えたら、徳子さんが35万円の年金をもらうより、夫が加給年金をもらう方がいいのですから。
なにもわざわざ少ない年金をもらうことはないのです。

●ところがそうはいきません

徳子さんが自分の年金を辞退したとしますね。
しかし、辞退しても夫の加給年金はやはりもらえなくなるのです。
もらっていなくても、もらっているものとして判断されます。

●少ない年金をもらうしかないの?

そういうことになります。

●児童扶養手当と年金は?

徳子さんの友人に、孫を育てていて、児童扶養手当をもらっている真利子さんがいます。
真利子さんももうすぐ60歳。しかし、働いている期間が短いので、老齢厚生年金は年間で10万円もありません。
ところが、この少ない年金を受け取ると、児童扶養手当がもらえないというのです。

●そんなことなら、その年金、いらないよ!

しかし、そういうわけにはいきません。

●年金を辞退できないの?

辞退しても、それでももらえません。
辞退しても、もらったものとして判断するのですね。

●年金受給の辞退、いったい誰のためのもの?

年金をもらったら税金が増えるので、もらいたくないというようなケースでは、役にたちそうです。もらわなければ、所得には関係ありません。

●お金持ち助けみたいですね

そうですね。他にどんなケースがあるか、なかなか見えてきません。
誰が、このような制度を利用するのでしょうか。

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実際にどのくらいの人が、どのような場合に利用するのか知りたいものです。
徳子さんや真利子さんのようなケースでは辞退してもまったく意味がないので、注意しましょう。しかし、少ないとわかっていて、少ない方をもらうのは、かなり気分の悪いことですよね・・・

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5月11日のニュースです!
4月から始まった公的年金支給停止制度を利用し、自主的に厚生年金などの受け取りの辞退を届け出た人が、4月だけで18人いたことが、社会保険庁のまとめで10日、明らかになった。

返上者の内訳は、男9人、女9人。地域別だと、北海道2人、本州11人、四国3人、九州2人となっている。返上者の年金総額は年額約1500万円で、個別額では同約170万円が最高。いずれも5月分から支給が止まる。柳沢厚生労働相もこの制度を利用している。

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