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知っておきたい年金のはなし    第151号 2007年6月21日発行

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毎日のように報道される年金問題に目を奪われがちですが、4月に「改正」となった雇用保険法は、知れば知るほど、「改正」ではないように思えます。

今年の10月以降、基本手当(いわゆる失業給付)は1年以上勤めていないともらえないようになることをご存知でしたか。

正社員(週30時間以上働いている人)は普通に6ヵ月勤務していれば、退職後、基本手当の対象になりますが、10月以降に自己都合で退職した場合は、1年のお勤め期間がないともらえなくなります。
ただし、解雇などで退職した場合は6ヵ月です。

ほかにも育児休業給付がトータルで10%アップしますが、育児休業を取得した期間は、基本手当の対象となる「被保険者であった期間」からマイナスすることになります。
つまり、育児休業を取ったことによって、場合によっては、基本手当の日数が少なくなることもあるのです。

年金の陰にかすんでいますが、要注意です。
1年未満で自分の都合で退職する場合はもらえないので、退職の時期には気をつけましょう。

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第151号 障害年金のある場合
★★★ ふたつの年金はどちらかひとつ  ★★★
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保夫さんは心臓が悪く、障害厚生年金をもらっています。病気をもちながらも働き続け、もうすぐ定年を迎えます。
会社には継続雇用制度があり、働き続けることはできますが、あまり無理はできないので、退職します。近くの福祉施設でボラティアをしたり、趣味の家庭菜園で野菜を育てたりしようと、退職後の生活を考えています。

収入は年金だけになります。
障害厚生年金と老齢厚生年金は両方もらえないと聞きましたが、保夫さんの場合はどうなるのでしょうか。
障害年金と老齢厚生年金の関係をききたいのですが、最近の年金ダイヤルは、いつも話し中でつながりません。

●障害厚生年金と老齢厚生年金

保夫さんは2級の障害基礎年金と障害厚生年金をもらっています。
そして、保夫さんは60歳から報酬比例部分の老齢厚生年金をもらうこともできます。
しかし、どちらかひとつ。
障害厚生年金+障害基礎年金をもらうか、報酬比例部分の老齢厚生年金をもらうか、です。

●障害者の特例

ところが、保夫さんは老齢厚生年金の障害者の特例にも該当します。
保夫さんは60歳から報酬比例部分の年金(2階の年金)、64歳から定額部分の年金(1階の年金)をもらえる人です。
障害者の特例とは、64歳からの定額部分(1階の年金)を60歳からもらうことができるという特例です。

●条件があります

3級以上の障害等級に該当していること、退職していることが条件です。

●金額の多い方を選ぶ

障害者の特例による特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分+定額部分)
あるいは、障害基礎年金+障害厚生年金か、
年金額を調べて、選択します。
もちろん、多い方がいいですね。

●障害年金は非課税

金額が同じくらいなら、非課税である障害年金を選択したほうがお得です。
所得税、住民税、国民健康保険へと影響します。

●再び働くことになったら?

保夫さんは今は働くつもりはありませんが、もし、また、お勤めし、厚生年金に加入することになれば、障害者の特例に該当しなくなります。
また、働くことになったら、そのときは、障害年金を選択したほうがいいですね。

●障害年金は在職老齢年金の対象外

60歳以降厚生年金に加入して働く場合、給料が多くなると、年金がカットされることがあります。これが在職老齢年金のしくみです。しかし、障害年金は関係ありません。
ですから、厚生年金に加入している人は、障害年金を選択したほうが、カットの心配もなくてよいということです。

●高年齢雇用継続給付をもらっても

高年齢雇用継続給付は、60歳以降賃金ダウンして働き続ける人に対する雇用保険制度からの給付金です。高年齢雇用継続給付をうけると、またまた年金がカットされますが、障害年金なら大丈夫です。
もともと、障害年金をカットするというしくみはありません。

●65歳以降は?

またしくみが異なります。
老齢基礎年金と老齢厚生年金
障害基礎年金と老齢厚生年金
障害基礎年金と障害厚生年金
保夫さんにはこの3つの選択があります。
一番金額が多いもの、税金も考えて選択します。
なんだか、ほんとに複雑ですね。

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障害年金をもらっているから、老後の年金は関係ないと思っている人もいますが、そうではありません。
障害年金の場合は、症状が良くなると、減額になることもあるのです。喜ばしいことですが、1級が2級になり、2級が3級になり、もっと良くなると、支給停止です。
そうなると、老齢厚生年金・老齢基礎年金も大切です。
法律も改正されて、障害基礎年金と老齢厚生年金という組み合わせで、厚生年金の保険料納付が生かされるようになりましたので、少し改善されたようです。

最後に、ちょっとお知らせです。
日経新聞21日夕刊に、少しだけ登場します。生活文化面の「年金」記事です。よかったらみつけてくださいね。

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□■ お知らせ ■□■ 
●くらしの知恵増講座
「ライフサイクルに合わせたくらしとお金の知恵」 講師:菅野美和子
7月12日(木) 10:00〜12:00
宗像市自治会館(宗像市東郷5-5-3)
主催:宗像市消費者生活センター 電話0940-33-5584

●職業生活設計セミナー
退職後の生活設計(ライフプラン)基礎編 講師:菅野美和子
7月21日(土)10:00〜12:00
福岡県高齢期就業支援センター 電話092-433-1068

●前回も紹介しましたが、おすすめの本です
「24歳・時給750円の私がベンチャー経営で劇的成長できた理由」
都築博志著 アスカ・エフ・プロダクツ出版
採用面接では「正解のないことを質問してみる」という著者。正解はありませんが、その人を見ることができるそうです。これはおもしろいアイデアです。
もっと知りたい人は、本を買って読んでみてくださいね。
http://www.bk1.co.jp/product/2789795