★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

知っておきたい年金のはなし    第152号 2007年7月1日発行

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

年金に続いて、今度は住民税に苦情が殺到しているようですね。
このメルマガでもご紹介した「所得税と住民税が変わるゾウ。どんなふうに変わるんダイ?」のポスターは、あれから、あちこちでみかけました。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/061027_3_1.pdf

「税源移譲。税金の移し替えなので、所得税と住民税とを合わせた税負担が変わることは基本的にありません」と大々的に宣伝をしていましたね。
でも、これはどう考えても間違っています。

所得税が10%から5%へ、住民税が5%から10%へ、これだけみると同じことのように見えますが、そもそも税率を掛ける「課税総所得金額」が所得税と住民税では違います。
所得税と住民税では、控除額が違うのです。住民税の場合、所得税よりも控除額が少ないのです。たとえば、生命保険控除は所得税では最高5万円の控除なのに、住民税は最高3万5千円です。住宅ローン減税は住民税にはありません。だから、「増税ではない」というのは違います。
「税源移譲」という名の増税だと思いますよ。

税金が必要なこともわかります。すべての人が納得いく税金のしくみはないと思いますが、困っている人がもっと困らないようなしくみでありたいものです。

さて、今日は、前回に続き、ふたつの年金についてのお話です。

……………………………………………………………………………………………
第152号 障害基礎年金と遺族厚生年金
★★★ 選択のしかたは難しい! ★★★
……………………………………………………………………………………………

敦子さんは障害基礎年金2級をもらっています。
身体が不自由で、ずっと夫の扶養家族になっていました。
ところが、たよりにしていた夫が突然、心筋梗塞で亡くなりました。
あっというまのことで、敦子さんは、言葉もでません。自分の方が先に逝くと思っていたのに、夫が先に逝くなんて・・・

敦子さんは途方に暮れる思いでしたが、生活していかねばなりません。夫亡き後の生活は、これまでの蓄えと年金で暮らしていくしかありません。敦子さんは働けません。

60歳の敦子さんには障害基礎年金に加えて、遺族厚生年金の権利が発生しました。子どもは独立しているので、遺族基礎年金はありません。遺族厚生年金のみです。

これから先、敦子さんは、このふたつの年金で生活していくことになるのでしょうか。

●原則はどちらかひとつ

複数の年金の権利が発生したとき、原則はどちらかひとつでしたね。

●障害基礎年金と遺族厚生年金

65歳になるまでは、どちらかひとつ。両方はもらえません。

●どちらがいい?

どちらも非課税なので、金額が多い方を選びます。
障害基礎年金2級は792,100円です。
遺族厚生年金には、亡くなった夫の給料・ボーナスの平均や加入期間によって異なります。
夫の報酬比例部分の4分の3です。
ただし、中高齢寡婦加算がつく場合があります。

●敦子さんの場合は中高齢寡婦加算つき

敦子さんの夫は厚生年金加入期間中に亡くなりました。
そして、敦子さんは40歳以上65歳未満の妻に該当します。
だから、遺族厚生年金には中高齢寡婦加算がつきます。

●中高齢寡婦加算とは?

在職中の夫が死亡したなど一定の条件で、40歳以上65歳未満の妻に加算されるものです。594,200円です。
これがあるのとないのでは大違い!

●中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算

65歳になると、中高齢寡婦加算はなくなり、今度は、経過的寡婦加算となります。
経過的寡婦加算は、昭和31年4月2日以降に生まれた人にはありませんし、金額も生年月日によって異なります。

●一人一年金の例外として

65歳になると、一人一年金の例外がいくつかあります。
敦子さんには65歳以降、ふたつの組み合わせがあります。

●老齢基礎年金+遺族厚生年金

遺族厚生年金は経過的寡婦加算付きです。

●障害基礎年金+遺族厚生年金

遺族厚生年金に経過的加算寡婦はつきません。

●比べてみると

障害基礎年金+遺族厚生年金が多くなりそうな気がします。
なぜなら、老齢基礎年金より、障害基礎年金が多くなりそうだからです。
しかし、経過的寡婦加算が関係してくると、これは計算してみないとわかりませんね。

●その意味は?

経過的寡婦加算は、老齢基礎年金が少ない人の年金を補うという役目があります。
障害基礎年金は誰でも一律、老齢基礎年金の満額と同じ年金額ですので、だから、障害基礎年金を選択した場合、経過的寡婦加算は必要ないだろうと年金制度は考えているのですね。

……………………………………………………………………………………………
実際に年金額は社会保険事務所で計算してもらえますので、多い方を選べばよいのですが、選択するときのために、正しい情報を持っておきたいですね。
年金は老後の暮らしのベースです。
だからこそ、正しく保険料を払って、正しく年金をもらいたいのです。苦しい思いをして払った保険料は、1円も無駄にしてほしくありません。
年金の記録を全員に通知するというのもよいことだと思いますが、その費用はどのくらいかかるのでしょうか。
結局、税金で、つまり、私たちが負担しているのですよね。

……………………………………………………………………………………………
□■ お知らせ ■□■ 
●エフピー研究所のセミナー(FP継続教育セミナー)
福岡市にて開催 7月22日(日) 講師:菅野美和子
5時間でわかる公的年金の相談実務 FPのための年金達人への道
https://www2.fplabo.co.jp/school/school922_nenkinseido_apply.html
年金についてしっかり学べます!

●くらしの知恵増講座
「ライフサイクルに合わせたくらしとお金の知恵」 講師:菅野美和子
7月12日(木) 10:00〜12:00
宗像市自治会館(宗像市東郷5-5-3)
主催:宗像市消費者生活センター 電話0940-33-5584

……………………………………………………………………………………………
「女性のための年金相談室」無料相談をご利用の方へ

最近、ご相談のお返事が送信できないことがあります。
ご連絡いただいたアドレスに返信できず、エラーとなってくることがあります。
ご相談の場合は、返信可能なアドレスを書いてください。
ご相談には必ず返信しています。
返事が届かない場合は、このようなことも考えられますので、1週間たっても連絡がない場合は、再度、お知らせください。
無料相談ですので、電話での対応はしておりません。