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知っておきたい年金のはなし    第153号 2007年7月11日発行

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年金時効特例法が成立しました。
年金記録の訂正による年金の増額分は、時効により消滅した分も含めて、本人または遺族へ全額支払われることとなりました。
考えてみれば当たり前でしょう。本人には責任がなく、社会保険庁が間違っていたのに、記録がみつかっても5年以上前の分はもらえないというのは、やはりおかしいですね。
年金を管理すべき国のミスなのですから。

とにかく、この法案の成立で、5年の時効でもらえなかった分ももらえることになり、時効による不利益は解消されることになります。

年金受給開始後に年金記録が訂正されている人には、手続きのための用紙が送られてきます。(平成19年9月以降)
今すぐに手続きしたい人は、社会保険事務所へ問い合わせてください。

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第153号 年金時効特例法
★★★ 請求もれの年金をみつけよう ★★★
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山崎一子(やまざきいちこ)さんは66歳です。
子どもがまだ幼いときに離婚。そのあと、ひとりで働いて、子どもを育ててきました。いろいろな仕事をしました。何度も転職しました。自営業だった期間もあります。失業期間もあります。国民年金加入期間については、保険料を納めたこともあったり、納めなかったこともあったり、自分でもよくわかりません。
60歳になって厚生年金の手続きをしました。
加入期間を調べてもらいましたが、勤めていたはずの会社がありませんでした。そのときは探してもみつからず、また昔のことなので、給与明細など残しているはずもなく、あきらめていました。

そこへ、この年金記録問題です。
一子さんは自分の記録も宙に浮いているのではないかと思います。
もう一度調べようと思いますが、自分の記憶もあいまいです。
どのようなことに注意して調べるといいでしょうか。

●自分でも準備!

社会保険事務所は混雑しています。
確実に記録をみつけるために、ある程度、用意してから行きましょう。
その方が時間も短くて済むでしょう。

●年金手帳

当たり前のことですが、年金手帳を持っていきます。
複数ある人は、全部持っていきましょう。
厚生年金基金の加入員証を持っている人は、役に立つかもしれないので、持っていきます。

●年金手帳は会社にあるよ

会社からもらって、持っていきましょう。
会社が年金手帳を管理していることもありますが、会社に年金手帳を管理する義務はありません。本来は、個人で管理するものです。

●年金手帳を失くしてしまった

心配ありません。再発行できますし、年金手帳がなくても、調べることはできます。

●職歴や年金加入歴の一覧表を作る

これまでの職歴や年金加入歴をまとめておきましょう。
一子さんのようにすでに年金をもらっている人も、どの期間が抜けているのか、書き出しておきます。
会社名があいまいなときは、覚えている限りのことをメモしておきましょう。

●会社名が変わっている

現在は会社名が変わっていて、みつからなかったということも考えられます。
勤めていた会社が存在しているのなら、現在の会社名を調べておきましょう。

●姓が変わった人

一子さんは、結婚、離婚で、姓が変わっています。旧姓でも調べてもらいましょう。

●名前の読み方

「一子」と書いて「いちこ」と読みますが、「かずこ」となっている可能性もあります。
「かずこ」でないかどうか、調べてもらいましょう。
また、姓の「山崎」も、「やまざき」、「やまさき」、どちらにも読めますので、間違いやすい読み方でも調べてもらいます。

●生年月日

昔は、就職ために、生年月日を若く偽っていた人もあったとか。
そういった場合も、間違いとなっている可能性があります。

●本人が知らないことも

親が、親心で国民年金の保険料を払っていて、子どもはそれを知らず、みつからなかったということもあります。
親心が無駄にならないようにしたいものです。

●いろいろな可能性から

宙に浮いた年金記録は、このような探し方でみつかることもあります。
あきらめずに、いろいろな角度から、探してみることです。
なお、共済組合加入期間については、そのすべてが社会保険庁のコンピュータに入っていませんから、各共済組合で確認してください。

●5年以上前の年金がまとまって支給された場合、所得税はどうなる?

今年まとめて年金を受け取ってとしても、今年の所得にはなりません。それは、現在の法律からみても明らかなのですが、どのような扱いをするのかは今後決定されるそうです。

(詳しいことは、私もまだ確認できていません)

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年金時効特例法の成立で、たった1ヵ月の加入期間であっても、過去にさかのぼって年金が支給されるのですから、金額としてはまとまったものになる可能性もあります。
ずさんな管理をしていた社会保険庁に責任はありますが、これ以上、損をすることがないように、自分でも年金をみつける努力をしましょう。
給与明細、家計簿、雇用保険の被保険者証、源泉徴収票など証拠があれば、なおよいのです。証拠がない場合でも調査することになりましたが、証拠があれば話も早いのです!

しかし、こんなことが起こると、領収書や給与明細は捨てられないなと思います。そして、家計簿も重要になりますね。

私は家計簿に大切な領収書や給与明細は貼って残すという方法を取って来ましたが、最近、パソコンで家計簿をつけるようになってからは、それもなくなり、引越しの時に、古い家計簿は全部処分してしまったので、何も残っていません。
私の年金記録は間違っていないので、いいのですが、それにしても、領収書などをいつまでも取っておくという人の方がめずらしいと思います。

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