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知っておきたい年金のはなし    第155号 2007年8月1行

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引き続き、社会保険事務所出前相談の応援に行きました。
相談に来られる方は多いです。私はたった3日間の手伝いでしたが、3日目も400人近い相談者でした。
初日は、お昼ご飯を食べる暇もありませんでした。夕方まで飲まず食わずでは身体がもちません。ちょっと賢くなって、2日目からは、お茶とおにぎりを持参しました。パパッと15分ぐらいで食べて続けます。

「女性のための年金相談室」もご相談のメールが多くなりました。
複雑なご相談もあって、少しお待たせすることもありますが、必ず、お返事します。
今回は、年金記録問題で、よくある質問をまとめてみました。

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第155号 年金記録
★★★ よくある質問 ★★★
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睦子さんは55歳の専業主婦です。結婚前、私立大学で事務職員として働いていました。その後、民間会社で1年働きましたが、結婚のため退職しました。
夫はサラリーマン。ずっと同じ会社で働いています。

年金記録が問題になって、睦子さんも年金記録を確認してみました。
ところが、私学共済に加入していた期間がありません。1年あるはずの厚生年金期間もありません。それに、国民年金の保険料は、昭和61年4月から第3号被保険者としての保険料納付済期間となっていて、それ以前は何もありません。
結婚したのは、25歳のときです。
睦子さんの記録も「宙に浮いた年金記録」になっているのでしょうか。

●私学共済の期間

過去、共済組合に加入していた期間は、社会保険庁のコンピュータには登録されていません。
現在、共済組合に加入している人は、共済組合加入期間も登録されていますが、過去の期間については登録されていませんので、それが出てこなくても問題ありません。

●それでは損をするのでは?

厚生年金と共済年金では請求先が異なります。一元化も予定されていますが、厚生年金は社会保険事務所へ、共済年金は各共済組合へ手続きします。つまり2箇所から年金が支給されるわけです。
ですから、それぞれで記録が確認できれば問題ありません。損をするわけではありません。

●第3号被保険者は昭和61年4月からスタート

現在の2階建て年金制度がスタートしたのは昭和61年4月からです。第3号被保険者もそこから始まりました。
昭和61年3月までのサラリーマンの妻の期間は、第3号被保険者期間とは言いません。サラリーマンの妻として国民年金に加入していなかった期間は「カラ期間」です。ただし、年金記録を照会しても「カラ期間」などとは書いてありません。

●カラ期間はどうやって証明するの?

戸籍謄本です。婚姻期間が記載されていますね。それでカラ期間を証明します。
離婚した人は、婚姻期間が記載された戸籍謄本を取ってくださいね。
ただし、カラ期間は年金をもらうための資格にはつながりますが、年金額にはまったく反映されません。

●厚生年金加入期間が記録にない!

これは「宙に浮いた年金」になっている可能性があります。
まず、もう一度、社会保険事務所で調べてください。そのとき、旧姓で探すとみつかる可能性もありますね。旧姓も伝えて調べてもらってください。

●被保険者記録照会回答票

そして、正式な文書、「被保険者記録照会回答票」を受け取ります。(あとで送ってきます)
社会保険事務所の窓口で打ち出す「ハードコピー」ではなく、正式な回答票が必要になります。

●加入期間が出てこない

働いていたのに厚生年金の加入期間がない、どうしても納得できないという場合は、年金記録確認第三者委員会に審査を申し出ることができます。

●受付は社会保険事務所

第三者委員会への受付は、社会保険事務所が窓口となっています。
社会保険事務所は窓口となっているだけなので、社会保険事務所が受け付けてくれないということはありません。
第三者委員会へ直接申し込みをすることもできますが、調査の関係上、社会保険事務所で受け付けをしてもらう方が、調査期間が短縮できます。

●申し込みはどうすればいいの?

社会保険事務所から届いた「被保険者記録照会回答票」、年金手帳、印鑑を持って行きます。証拠になりそうなものがあれば、それも持っていきます。内容を簡単にまとめて書いておくといいでしょう。

●年金手帳記号番号重複取消届

調査の結果、記録がみつかり、複数の年金記録番号が出てくると、「年金手帳記号番号重複取消届」を出して、統一することが必要です。
「被保険者加入期間照会申出書」には、宙に浮いた年金記録がみつかった場合には、合わせて氏名変更や重複取消しができるように、あらかじめ申請しておく記載欄があります。

●それは便利ですね!

確かに、記録がみつかってすぐに統合してもらえるのはいいのですが、内容にもよりますよ。
重複取消は、記録がみつかって年金額が増えると確認した後にした方がいいでしょう。
かえって年金が減るということもあります。
特に、共働き夫婦は要注意! 夫が厚生年金加入20年以上、妻が厚生年金加入19年などというケースでは、妻の記録がみつかっても、本当に年金額が増えるかどうかよく調べて慎重にすべきです。

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ほんとに日本の年金制度は複雑になりすぎています。
だからこそ、もっとわかりやすく、安心できる年金制度に変えていかねばならないと思います。
「無関心」もよくない制度を作っていく一因ではないでしょうか。

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