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知っておきたい年金のはなし    第161号 2007年10月11日発行

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もらえないと思っていた年金がもらえるようになるのは、うれしいことです。
本人にとっても、相談を受けた私にとっても。

最近の年金相談。
国民年金年金加入期間が25年ないので、もらえないものとあきらめていた年金。
しかし、サラリーマンの妻としてのカラ期間を使うと、もらえることがわかりました。 難しい事例ではありません。
ちょっと相談してもらえばすぐにわかったのに、もらえないものと思い込んでおられたようです。
こんなケースがたくさんあるのでしょう。
とにかく、相談してみること、そこから始まります。

今回は、定年後も働き続ける人からよく質問されることについてお話しましょう

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第161号 60歳以降の厚生年金加入
★★★ 年金は増える? ★★★
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晴信さんは現在61歳です。55歳で退職し、自営業を始めました。
仕事は順調に伸びて、株式会社を立ち上げることを考えています。
しかし、人から、「会社組織にすると自分の年金が少なくなる」と聞きました。それに、今後厚生年金の保険料を払い続けても、年金は増えないのではないかという人もいます。
会社を作るかどうかを年金だけで決めるのではありませんが、法人化した場合に、自分の年金がどうなるか、晴信さんは知っておきたいと思っています。

●法人は厚生年金へ強制加入

個人事業を株式会社へと法人化すれば、社会保険(健康保険・厚生年金)へは強制加入となります。
社長ひとりの会社でもそうですね。
たったひとりだから加入しないというのは、法律違反になりますので、法人化するときは、加入しなければならないと考えて準備をしてください。

●在職老齢年金

晴信さんは60歳から報酬比例部分の老齢厚生年金をもらっています。
個人事業主の場合は、どんなに所得があっても年金はカットされませんが、法人化して、厚生年金に加入すると、在職老齢年金のしくみで、年金カットの対象となります。

●年金や給料で

晴信さんの場合、年金を12等分した基本月額と、役員報酬(標準報酬月額)が28万円を超えると、年金がカットされます。役員なので、ボーナスはもらっていません。

●役員報酬は50万円の予定

これでは、まったく年金をもらえません。

●厚生年金の保険料はいつまで?

厚生年金の保険料は、晴信さんが常勤の役員として仕事をするのなら、70歳まで納め続けることになります。
●その分、年金は増えるの?
年金は増えます。まず、2階の年金は、加入期間が長ければ長いほど増えるしくみになっていますので、増えることになります。

●いつから増えるの?

65歳です。それまでに役員を降りたら、退任後1ヵ月経過したときから年金額は再計算され増えることになりますが、働き続ける場合、次に再計算されるのは、65歳です。

●1階の年金は?
60歳以降厚生年金に加入しても、65歳から支給される老齢基礎年金(1階の年金)は増えません。老齢基礎年金は20歳から60歳未満の期間が対象です。(60歳以降の国民年金任意加入期間は対象となります)

●2階の年金しか増えないの?

晴信さんの場合は、厚生年金加入期間が30年です。ですから、40年になるまでは、経過的加算(差額加算)としてもらえます。老齢基礎年金は増えないけれど厚生年金で差額をもらえるので、1階の年金についても増えているのと同じです。

●40年以上の人は頭打ち

しかし、厚生年金加入期間が40年以上ある人は、差額加算もありませんので、増えるのは2階の年金だけ。つまり、増え方が少ないことになります。
高い保険料を払っているのに!

●65歳以降の在職老齢年金

しかし、そのように年金は増えても、65歳以降の在職老齢年金のしくみでカットされることもあります。 役員報酬の高い人は要注意です。
●70歳まで厚生年金に加入したら、どうなるの?



70歳で年金は再計算されます。65歳以降加入した期間について増額することになります。しかし、退職しない限り70歳以降も在職老齢年金のしくみは続くので、いつまでたって全部の年金をもらえない人もいます。

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何か得で、何が損か、それはわかりません。
年金が全額支給停止されても、他に収入があるから停止されているのであって、年金に頼らなくてもよい生活が出来ていると考えていいのかもしれません。晴信さんのように、役員報酬で50万円あるのなら、年金をもらうよりも役員報酬が多いのです。
年金の保険料がもったいないといえば、もったいないのですが、年金は積立ではなく、保険ですから。
何を得と思い、何を損と考えるか、その人しだいですね。
私はこのようなメルマガを書いていますが、実は、私の公的年金は少ないです。
若いときはよくわからず、保険料を払っていませんでしたし、なぜか、督促がくるということもありませんでした。
60歳まで加入しても、老齢基礎年金額は満額の3分の2ぐらいにしかなりません。
厚生年金も加入期間が10年ほどです。いやになるぐらい少ないのです。
だから、その他の対策として、個人年金(60歳から70歳までの10年確定)と小規模企業共済に加入しています。他にも終身保険があるので、その解約返戻金で老後資金になると思っています。
あとは、働き続けることでしょう。でも、働き過ぎではなく、ちょっとのんびりしたいなと思いますね。
さて、どうなることやら。

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■□■ お知らせ ■□■ 
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https://www.jafp.or.jp/tbb/?hojin_cd=940
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雇用保険改正、医療保険制度、年金制度についてお話しする予定です。
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※詳しくは、FPジャーナル9月号をみてください。


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第3回は11月7日。菅野美和子が担当します
「これからの働き方を考える」ライフプランづくりは、お金、健康、生きがいから
イイヅカコミュニティセンター(福岡県飯塚市)
連絡先:福岡県筑豊労働福祉事務所 TEL0948-22-1149  FAX0948-22-4118