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知っておきたい年金のはなし    第162号 2007年10月12日発行

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10月から始まったドラマ「働きマン」
「仕事ばかりしていないで、このドラマをみたら?」とすすめられてみました。
第1回目をみていると、残業あり、深夜残業(しかも徹夜)あり! 労働基準監督署が入ったら、大変なことになると、結局、そういう思考でドラマをみてしまいます。
やはり、私も働きマン?

最近の法改正のキーワードは「少子高齢化」
高齢者にきびしく、子育て中の家庭にはやさしくということです。
少子化対策もいろいろ取られていますが、「お金」面で少しだけ改善しても、少子化は止まらないと思います。
出産を機会にして退職する人もまだ多いです。「働きマン」のような環境では、子育てできないかもしれません。

退職にあたっては、少しもで有利にと思うのは誰しも同じ。有利な退職時期の相談もあります。
それでは、今日は、2月に出産予定の綾香さんのお話です。

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第162号 出産手当金と第3号被保険者
★★★ 有利に退職するのには? ★★★
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綾香さんは2月5日が出産予定日です。
雑誌の編集の仕事をしているので、締め切りがあると、深夜にも及びます。こんな調子では、子育てと両立できません。
綾香さんはフリーのライターになることが夢ですが、出産で退職することにしました。
退職後、健康保険や年金をどうしたらよいのか、迷っています。退職金もないので、少しでも有利に退職したいと思います。
「育児休業を取得したら給付金があるよ」と言われましたが、今の会社では復帰できそうにありません。育児休業は職場復帰が条件ですから。

それでは、綾香さんはいつ退職するのがよいのでしょうか。
また、退職後の健康保険・年金は、どのようにすれと有利でしょうか。

●退職後の健康保険は?

綾香さんの場合は、現在の健康保険(政府管掌)を任意継続するか、サラリーマンの夫の扶養家族になるか、どちらかです。
綾香さんの月給は、総支給で約26万円。任意継続する場合は、現在の2倍の保険料が必要です。
夫の扶養家族になると、保険料の負担はありません。

●年金は?

退職後は、国民年金へ加入しなければなりませんが、綾香さんは第3号被保険者になることもできます。

●健康保険の扶養・第3号被保険者の条件は?

収入130万円未満です。
綾香さんは仕事を辞めてしまうので、今後の収入はゼロ。健康保険の扶養家族にも第3号被保険者にもなれます。

●あれ? 今年の収入は130万円以上あるよ!

130万円未満とは、今後の見込み。確かに今年(2007年)は130万円以上になりますが、税金のように、過去の収入を問題にするのではありません。
今年の収入が130万円以上だったとしても、それは関係ありません。

●じゃあ、第3号被保険者になればいいね!

しかし、ここで問題があります。
収入とは、給与だけではありません。
雇用保険からの失業給付や健康保険からの出産手当金も収入のうちです。

●失業給付は受けられない

綾香さんは、当面、失業給付は受けられません。出産を控えて働ける状態ではないからです。
無事に生まれて、仕事を探すときに、失業給付を受けましょう。(退職後すぐにハローワークへ行って、あらかじめ手続きしておかなければなりませんので、念のため。)

●出産手当金はどうなるの?

これが難しいのです。
2月5日が予定日の綾香さんは、産前42日前の12月26日を退職日とし、最後の12月26日を欠勤する、これで退職後に出産手当金をもらえます。

●出産手当金をもらうと第3号にはなれない?

出産手当金が3612円以上になると、健康保険の扶養や第3号被保険者にはなれません。
綾香さんはもっと多いので、出産手当金をもらうのであれば、健康保険の扶養家族にも第3号被保険者にもなれません。

●じゃあ、やっぱり損?

任意継続の健康保険料と国民年金保険料、合わせて4万円ほどになります。しかし、綾香さんの場合出産手当金はそれ以上あります。ちょっと高い保険料を払ったとしても、損をするということにはなりません。

●どうすれば有利?

12月末をもって退職し、出産手当金をもらい、出産手当金をもらい終わったところで、夫の扶養となり、第3号被保険者になる、これがいいでしょう。
12月26日で退職すれば、12月分の健康保険料(任意継続で2倍になる)も国民年金保険料も負担しなくてはならないので、末日退職が有利です。

●ここに注意!

出産後、仕事を探す場合は、雇用保険の失業給付を受けられますが、失業給付を受けている間は、第3号被保険者にはなれません。その間、健康保険も国民健康保険となり、かなり高額な保険料になるのを覚悟しておきましょう。
(実際の保険料については、市区町村の国民健康保険課で問い合わせてください。)

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たった1日のことなのに、大違いということが、たくさんあります。
綾香さんは12月26日を退職日にして、この日、出勤してしまうと、出産手当金はもらえません。最後の1日を欠勤にする、これがポイントです。

また、26日退職と、月末退職では、健康保険や国民年金の保険料の負担が異なります。
そして、保険料だけではなく、年金額においても差が出ます。厚生年金は1月でも多い方が有利です。
1月分はたいした金額ではありませんが、長く生きて年金をもらうことを考えると、少しの違いでも大きな違いになるのです。

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■□■ お知らせ ■□■ 
●FPフォーラムに参加しませんか
11月10日(土)10:00〜17:00

福岡市中央区天神 アクロスにて
相談会やミニセミナー(参加は無料です)詳しくはHPで
https://www.jafp.or.jp/tbb/?hojin_cd=940
主催:日本FP協会福岡支部

●筑豊労働福祉事務所
女性のためのステップアップセミナー
第1回は10月10日〜第5回12月5日まで 時間は19時〜21時
第3回は11月7日。菅野美和子が担当します
「これからの働き方を考える」ライフプランづくりは、お金、健康、生きがいから
イイヅカコミュニティセンター(福岡県飯塚市) 参加費無料
連絡先:福岡県筑豊労働福祉事務所 TEL0948-22-1149  FAX0948-22-4118

●福岡県筑後市サンコアで「ライフセミナー」
11月13日 「妻の年金、夫の年金、夫婦の年金」
11月20日 「ライフプランを考えよう」

時間:19:00〜21:00
菅野美和子が担当します。参加費無料
会場:筑後市勤労家庭支援施設「サンコア」
お問い合わせは サンコアへ 0942-53-2516