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知っておきたい年金のはなし    第165号 2007年11月21 日発行

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急に寒くなってきました。
あわてて灯油を買いに行きました。
昨年に比べると、ずいぶん高くなっています。
18リットルで1650円のスタンドもあり、1450円のスタンドもありました。
結局、1450円の安いところで購入しましたが、給油はセルフです。
キャップをきちんと締めていなかったこともあって、灯油をこぼしてしまい、これが200円の差なのだなと思いました。
安くあげるために自分で給油するか、安心して購入するためにお金を出すか。
何に対してお金を出すのか、ですね。

さて、今日は、この時期に質問が多くなる社会保険加入基準のお話です。

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第165号 健康保険の扶養家族・第3号被保険者の条件
★★★ 130万円未満の意味は? ★★★
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澄子さんは11月末で退職します。
フルタイムの仕事を続けてきましたが、職場の人間関係に疲れたり、更年期で体調がよくなかったりで、仕事をやめることにしました。しばらく、働くつもりはありません。

勉強したいこともあるので、しばらくは講座に通い勉強です。また、スポーツで体力を回復したいと思っています。だから、雇用保険の手続きはしません。
今年の収入は200万円ほど。

退職後の健康保険はどうしようかと思います。
「130万円未満でないと、扶養に入れないのよ」と会社の同僚に言われました。
今年は、すでに200万円ほど収入があるので、12月だけ任意継続して、来年1月から夫の扶養になればいいのかしらと澄子さんは思います。

澄子さんが退職するので、11月から正子さんが入社しました。1ヵ月間、仕事の引き継ぎです。正子さんは、健康保険・厚生年金保険に加入するように言われて、
「今年は130万円にならないから、扶養のままでいいです」と言っています。
このふたり、間違っていますね。

●130万円未満が条件

健康保険の扶養に入る、国民年金の第3号被保険者(20歳から60歳未満)になれるのは、収入130万円未満が条件です。(障害等級1、2級の人や60歳以上の人の場合、180万円未満。)

●見込みとは?

130万円未満というのは、今後の見込みであって、過去の実績は関係ありません。

●澄子さんは?

澄子さんは今年の給与は200万円ありますが、11月末で退職するので、12月からは、収入見込みはゼロです。雇用保険ももらいません。
つまり、「130万円未満」という条件に該当します。
だから、12月から健康保険の扶養にも、第3号被保険者にもなれます。

●真紀さんは?

真紀さんの基本給は15万円です。フルタイムで働きます。
入社したばかりで、今年の給与収入は少ないですが、1年間働いた場合の給与見込みは130万円以上になります。
ですから扶養からはずれることになり、フルタイムで働いているので、健康保険・厚生年金に加入となります。

●所得税と社会保険は違う

所得税は過去を問題にするのです。今年、1年間どうだったかということです。
103万円以下であれば配偶者控除の対象になるというのは、実際の収入を問題にしています。平成19年中に103万円以下であれば配偶者控除の対象になるし、103万円を超えていれば、対象になりません。
社会保険は未来を問題にします。これから1年間、どうなるかです。

●予定は未定?

予定なので、結果として、働く時間が少なくなった、収入も少なくなったということはありますね。
しかし、結果が違ったから、社会保険の加入もやり直そうということにはなりません。

●澄子さんはどうなる?

12月から夫の健康保険の扶養家族、国民年金の第3号被保険者の手続きをしてください。
平成19年は給与収入が200万円あるので、夫は配偶者控除も配偶者特別控除も受けられません。まちがって、19年分の扶養控除申告書の配偶者欄に妻の名前を書かないように。

●正子さんはどうなる?

11月から健康保険・厚生年金に加入してください。
しかし、今年は103万円未満ですので、夫は配偶者控除を受けられますので、健康保険の扶養の削除や第3号被保険者に該当しなくなったという手続きは必要ですが、扶養控除申告書から正子さんを削除する必要はありません。
来年、平成20年度は扶養控除申告書に妻の名前を書いてはいけません。

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この勘違いはよくあるのです。
過去と未来、どちらを問題にするのか、そう考えると、わかりやすいと思います。
所得税は過去を、社会保険は未来をというふうに考えてください。

今回登場した澄子さんは雇用保険からの失業給付を受給しないということにしていますが、
失業給付である基本手当をもらっても、1日分が3611円以下であれば、年収130万円未満となり、健康保険の扶養家族にもなれるし、第3号被保険者にもなれます。

澄子さんの場合、今後は収入がありませんから、第3号被保険者となれますが、健康保険は扶養家族にならず、任意継続するということもできます。
もちろん、澄子さんはそんなことをしたって何の得にもならないので、する必要はありませんが、中にはまれに、健康保険を任意継続した方が有利なケースもあります。
そんなときは、健康保険だけ任意継続し、国民年金は第3号被保険者になるということもできます。(もちろん、130万円未満という条件を満たしていることが前提です)

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