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知っておきたい年金のはなし    第167号 2007年12月11日発行

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平成17年4月から第3号被保険者の特例届出ができるようになり、届出もれの第3号被保険者期間が救済されるようになっています。
この制度ができて、かなりの人が救済されたかと思いますが、先日、まだ手続きができていないケースに出会いました。年金記録の確認作業中に発見しました。
本人は、まったく意識がなかったそうです。
そうですね、制度があっても、該当するということがわからなければ、手続きもできないですね。
そのままになっている人もまだまだ多いのだろうと思います。

それでは、今日は遺族年金についてお話しましょう。

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第167号 遺族厚生年金と老齢基礎年金
★★★ 65歳の前と後、たった1日でも大きな違い ★★★
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64歳の美智代さんは現在、定年退職した夫とふたりで生活しています。
定年後の夫は、ボランティア活動でいそがしく、毎日元気に過ごしていました。
ふたりはこれまでの蓄えと年金で暮らしています。

40年近くサラリーマンだった夫は、老齢厚生年金と老齢基礎年金をもらっています。
64歳の美智代さんは65歳から老齢基礎年金をもらうことができます。
この先もふたりの年金で生活を維持していけるだろうと話し合っていました。

ところが、元気な夫が脳梗塞で倒れました。
命はたすかりました。リハビリも始めています。
しかし、今回のできごとで、美智代さんは心配になりました。
もし、夫が死亡したら、年金はどうなるのかしら、遺族年金はどのくらいあるのかしら、生活していけるのかしらと、今ごろになって、気になってきました。

●遺族年金は報酬比例部分の4分の3

現在夫がもらっている老齢厚生年金のうち、報酬比例部分の4分の3を遺族厚生年金としてもらえます。
夫の年金全部の4分の3ではありませんので、間違わないようにしましょう。

●それだけしかないの?

夫の報酬比例部分は約120万円。それでは、遺族厚生年金は約90万円です。
しかし、夫は長年サラリーマンをしていましたので、亡くなった場合は、妻が65歳になるまで中高齢寡婦加算594,200円が加算されます。

●約150万円になる?

そうです。美智代さんは65歳になるまでは中高齢寡婦加算付きで、約150万円ほどの遺族年金を受け取れます。

●すぐに65歳になるけれど、そのあとは?

中高齢寡婦加算がなくなって、経過的寡婦加算となります。
経過的寡婦加算は生年月日によります。
中高齢寡婦加算に比べると、金額は減ります。
つまり、美智代さんは自分自身の老齢基礎年金と経過的寡婦加算付きの遺族厚生年金をもらうことができます。

●夫の年金の影響

夫の年金には、現在、加給年金額(年金の家族手当)が加算されています。この加給年金は妻が65歳になるまで加算され、妻が65歳になれば、妻自身の年金に振替加算として加算されます。

●65歳からは振替加算付きの老齢基礎年金

美智代さんが65歳になるまで夫が生きていれば、美智代さんは振替加算付きの老齢基礎年金がもらえます。

●そのあとに亡くなったら?

美智代さんの振替加算には影響はありません。
そして、遺族年金には、いきなり、経過的寡婦加算が加算されます。

●いったい何がどうなるの?

美智代さんのもらえる年金をまとめてみましょう。
美智代さんが65歳以降に夫が死亡すれば 振替加算付きの老齢基礎年金、経過的寡婦加算付きの遺族厚生年金を受け取れます。
美智代さんが65歳になる前に夫が死亡すれば、美智代さんは振替加算をもらえることはありません。

●ということは65歳以降のほうが有利だってこと?

そうなります。
夫の死亡に関して、有利、不利は言いたくありませんが、年金額からすると、そうなります。

●65歳の前々日

妻65歳の前々日に夫が死亡すれば振替加算はなし、前日以降であれば、振替加算もあると理解してください。

●付加年金はどうなる?

美智代さんは、数年、付加保険料を払っていたことがあります。
美智代さんの場合、付加年金については何の心配をすることもありません。
自分自身の老齢基礎年金と併せてもらえます。

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年金は実にいろいろと調整があって、複数の権利が発生すると、むずかしい話になります。
人の死亡で、有利、不利など考えたくありませんが、その時期によって、受け取れる年金が変わるのも事実です。
あるがままに受け入れるということですが、もともと少ない年金ですので、なるべく有利にもらいたいと思うのも、これまた当たり前の気持ちでしょう。

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