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知っておきたい年金のはなし    第169号 2008年1月4日発行

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あけましておめでとうございます。
今年も「知っておきたい年金のはなし」を続けていきます。
どうぞよろしくお願いします。

「ねんきん特別便」がはじまりましたが、もともと予定されていたのは「ねんきん定期便」でした。
「ねんきん定期便」は一部先行実施され、4月から本格実施の予定でしたが、年金加入記録問題で、「定期便」に変わって、「特別便」を送付することになりました。

それでは、昨年はどのような人に定期便が送られていたかというと、35歳の人でした。
なぜ、35歳の人が最初に選ばれたのか、わかりますか。
35歳は、まだまにあうからですよ。

年金をもらうために必要な期間は25年。
35歳まで一度も年金の保険料を納めたことのない人であっても、60歳までまだ25年ある、今からでもまにあうということなのです。(年金額は別問題です)

ねんきん定期便を見て気がついて、保険料を納めてくれたらということで、最初に35歳という年齢が選ばれたのです。
気がついたときには、もう遅かったってことがあるからです。

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第169号 25年の期間がない!
★★★ 絶対にもらえない? ★★★
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吉雄さんは70歳になりました。
年金はありません。
30歳までは個人商店、その後、厚生年金のある会社に勤務して17年。
そのあと、自営業を開始しました。国民年金の保険料の免除を受けた期間がありますが、滞納のまま、60歳になってしまいました。
そこで年金相談をすればよかったのですが、まだまだ仕事がいそがしく、年金については考えもしませんでした。

そして65歳。
そのとき、社会保険事務所で年金はもらえないと言われましたが、もらえないならしかたがない、まだ仕事もしているからと、そのままになっていました。

70歳で病気をしました。店をたたむことになりました。
収入の道は途絶えます。
再度社会保険事務所で調べたら、年金をもらうまで、あと12ヶ月ほどの不足だというではありませんか。12ヵ月ぐらいなら、なんとかなりませんか。
今から過去の保険料を払ってもいいと吉雄さんは思います。

どうしても年金はもらえないのでしょうか。

●原則25年

保険料納付済期間、免除期間(納付特例なども含む)、カラ期間が25年ないともらえません。

●厚生年金加入20年、特例15年

吉雄さんに、厚生年金加入期間が20年あればよかったのです。
あと3年不足です。
厚生年金加入期間の17年が40歳以降であれば特例に該当しますが、吉雄さんの場合は、40歳以降ではありません。
どちらの条件にもあてはまりません。

●国民年金への任意加入は

吉雄さんのように65歳になっても老齢基礎年金をもらうことができない人は、もらう権利ができるまで任意加入することができました。

●任意加入はさかのぼれない

任意加入はその申し出をしたときからです。
過去にさかのぼって任意加入は出来ない相談です。
もっと早くに気がつけばよかったのです

●絶対にもらえない?

国民年金と厚生年金期間のある吉雄さんのようなケースでは、絶対に25年ないと年金はもらえません。

●カラ期間は探しましたか?

意外に見落としてしまいがちなのは、サラリーマンの「夫」の期間。
昭和61年3月までの期間で、吉雄さんの妻が厚生年金に加入している期間は、サラリーマンの夫して、カラ期間をとることができます。
しかし、吉雄さんの妻はずっと専業主婦でした。これも無理です。

●学生であった期間は?

20歳以上の学生であった期間はカラ期間となるので、(平成3年からは強制加入)、学生であった期間がみつかればいいのですが、吉雄さんは高校を卒業したあと、学校へは行っていません。

●あと12ヵ月、他に何か方法はないの?

ひとつだけ方法があります。
厚生年金の高齢任意加入被保険者になることです。

●高齢任意加入被保険者とは?

70歳以上の人のための厚生年金の任意加入制度です。
最後の救済方法だと言えるでしょう。
ただし、会社に勤めていて厚生年金に加入できるという条件が必要です。

●それは無理ではないの?

病気で働けない吉雄さんが今さら会社勤めは無理でしょう。
しかし、もし会社に所属することができれば、厚生年金に加入できれば、年金につなげることもできるということです。

●保険料は全額自己負担

高齢任意加入被保険者は保険料を全額自己負担します。
会社が半分負担すると言えばいいのですが、まず、そういうことはないでしょう。
しかし、全額自己負担しても、もらえない年金がもらえるようになれば、利用しない手はありません。

●会社の経営者なら

会社の経営者なら、定年はないですね。70歳でまだ年金をもらえない、あともう少しという場合は高齢任意加入被保険者というしくみを使えるでしょう。

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吉雄さんはこのままでは何もありません。
過去に納めた保険料も無駄になります。
気の毒ですが、それが現実です。

国民年金は満額であっても月に66000円程度。
これでは生けていけません。
ばかばかしいからは払わない?
でも、そのお金さえなかったらどうするのか?
将来、お金に困らないという保証はありません。

年金制度は生きていく「私」のために制度です
今は困らないかもしれない、保険料がもったいないかもしれない、しかし、命ある限り生きていかねばならない、生き続けていくために今準備できることなのです。
私はそう思います。