★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第170号 2008年1月11日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 「社会保険事務所の前で車が渋滞していたけれど、何かあるのですか」 昨日、こんなご質問がありました。 そうなんです! ねんきん特別便が始まり、社会保険事務所は毎日混雑しています。 私も年金記録の確認を依頼されることが多くなりましたが、社会保険事務所での待ち時間をいかに少なくするか、タイミングが難しいです。 今日は、まず社会保険事務所に行き、午後からハローワークへ行ったら、ハローワークでも50人待ちになっていたので、もうあきらめて帰りました。明日の朝、一番で行くことにします。 ところで、最近ご相談を受けた事例で、みなさんにも知っておいてほしいことがあります。 死亡時に、国民年金の保険料滞納のために、もらえないと言われた遺族厚生年金。 ところが、死亡後に遺族が保険料を納付してもらえるようになることがあるのです。 …………………………………………………………………………………………… 第170号 遺族厚生年金と国民年金保険料 ★★★ 死亡後に保険料を納付できる? ★★★ …………………………………………………………………………………………… 佳恵さんの夫は半年前に死亡しました。 夫は20歳から22歳まで国民年金加入(2年)。22歳から40歳まで厚生年金加入(18年)。退職後、国民年金に加入し、4年6ヵ月は保険料を納付しましたが、病気になってからは保険料を払っていなかったので、死亡時の保険料納付済期間は合計で24年6ヵ月でした。 佳恵さん夫婦には子どもはいません。 子どものいない妻は、遺族基礎年金はもらえません。 それはわかっていましたが、佳恵さんは、遺族厚生年金だけでももらえないかと思いました。 ところが相談に行った社会保険事務所では、遺族厚生年金はもらえないと言われました。 要件に該当しないというのです。 ほんとに佳恵さんは遺族厚生年金をもらえないのでしょうか。 それでは、遺族厚生年金をもらうのが「妻」であるとして考えていきます。 ●遺族厚生年金をもらえる条件 まず、夫が在職中に死亡すれば、妻は遺族厚生年金をもらえます。 ●初診日から5年以内の死亡 退職後であっても、初診日が厚生年金加入中にあって、その病気が原因で初診日から5年以内に死亡した場合、妻は遺族厚生年金をもらえます。 ●保険料を納めていること ただし、保険料を納めていなければなりません。 ここでは簡単に説明しますが、亡くなる前1年間に保険料を滞納していなければよいと考えてください。(詳細は省きます) ●障害厚生年金をもらっている夫 その他に、障害厚生年金1級あるいは2級をもらっている夫が死亡した場合も、妻は遺族厚生年金をもらうことができます。 ●老齢厚生年金をもらっている夫 すでに老齢厚生年金をもらっている夫が死亡した場合も、妻は遺族厚生年金をもらえます ●老齢厚生年金の受給資格期間を満たした夫 受給資格期間とは、老齢厚生年金をもらうのに必要な「25年」のことです。 保険料納付済期間、免除期間、カラ期間などが25年ある人のことです。 ●保険料納付要件は関係なし 障害厚生年金をもらっている人、老齢厚生年金をもらっている人、老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人については、保険料納付要件を問うことはありません。 ●佳恵さんの夫の場合は? 在職中の死亡ではありません。 初診日から5年以内に死亡でもありません。 障害厚生年金も老齢厚生年金ももらっていません。 可能性のあるのは、「老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている人」に該当するかどうかです。 ●25年ありません! 佳恵さんの夫は、死亡前に保険料を滞納していたので、全部で保険料納付済期間は24年6ヵ月でした。 この他に免除期間もないし、カラ期間もありません。 これでは、受給資格期間を満たしていません。 つまり、佳恵さんの夫が国民年金年金の保険料を滞納していなければ、保険料納付済期間が25年となって、受給資格期間を満たすことができました。 ところが、あと6ヵ月足りないばかりに、受給資格期間を満たすことになりませんでした。 ●それでは、遺族厚生年金はもらえないの? このままではもらえません。 しかし、もらえる方法があります。 ●死亡後に保険料を納付する! 国民年金の保険料は2年前の分までさかのぼって納付することができます。 死亡後であっても、遺族が、死亡した人の保険料を納付することができるのです。 ●遺族厚生年金をもらえる! 佳恵さんがあと6ヵ月分の保険料を納付すると、亡き夫は25年の受給資格期間を満たしていることになって、遺族厚生年金をもらうことができます。 ●いつからもらえるの? あとで気がついて保険料を納付したとしても(2年以内に納付)、死亡時にさかのぼって、遺族厚生年金の権利が発生します。 …………………………………………………………………………………………… 実は、このようなケースに出会うまで、死亡した人の保険料をあとで納めて、遺族厚生年金につなげることができるとは、私も思いませんでした。 社会保険事務所でも、はじめは「もらえません」との回答。しかし、調べていくうちに、もらえることがわかりました。 なぜこのようなことになるかというと、死亡した人の国民年金保険料を納めることができないという規定がないからです。 だから、死亡後に保険料を納めることによって、遺族年金につながるということになります。 ただし、勘違いしないでください。 保険料納付要件が必要となっている場合は、死亡後にあわてて保険料を納付しても遺族年金はもらえません。佳恵さんの夫のように、「受給資格期間を満たした人」という要件で遺族厚生年金をもらう場合です。 「もらえない」と言われて、もらっていない人もいるのでは? 心配になって、今回、メルマガで取り上げてみました。 …………………………………………………………………………………………… ■□■ お知らせ ■□■ ●福岡県生活協同組合連合会 ライフプランセミナー 1月26日(土)10:00〜15:00 「知らなきゃ損! これからのライフプランのはなし」(AM) 「60歳以降の働き方と年金・雇用保険」(PM) 講師は菅野美和子です。 ※限られた方へのご案内となります。福岡県の生協にお勤めの方(パートやアルバイトの方も含む)が対象です。 セミナーは午前のみ、午後のみの参加も可能です。参加費は無料。 福岡市博多区博多駅南1-3-11博多南ビル9階 TEL:092-472-7338 ●アサヒSR年金研究会からのお知らせ 実務テキストをご紹介! 「手続き実務マニュアル」 マネーマーケット社 630円 シルバー取引を主体とした手続き必携! 公的年金の新規裁定請求手続き、退職時・相続時・その他の生活手続きのダイジェスト。 社労士、FPの方へおすすめです。 相談業務でお役に立ちます。アサヒSR年金研究会で受け付けています。(一般の書店では購入できません)送料実費で送付します。 お問い合わせはメールで → アサヒSR年金研究会 info@asahi-sr.com |