★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

知っておきたい年金のはなし    第176号 2008年3月21日発行

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

4月から後期高齢者医療制度がスタートします。
しかし、自分とどうかかわってくるか、わからない人が多いように思います。
実は、これは高齢者にとってはきびしい制度なのです。

年金とは少し内容がずれると思いますが、今回は後期高齢者医療制度についてお話しまししょう。

……………………………………………………………………………………………
第176号 後期高齢者医療制度
★★★ 保険料は年金から天引き! ★★★
……………………………………………………………………………………………

76歳の一郎さんと74歳の初子さん。夫婦ふたりで暮らしています。
一郎さんは現役の会社役員です。
第一線では若い人たちが動いていますが、今も、補佐役として、毎日、仕事をしています。
収入は役員報酬と年金です。

70歳以上の人も在職老齢年金のしくみで年金がカットされるようになりました。
一郎さんの取引先の社長さんは老齢厚生年金が全額支給停止になり、不満でいっぱいです。しかし、一郎さんは制度が始まるときには、すでに70歳を超えていたので、カットされることなく、年金をもらっています。

一郎さんは、健康保険にも加入しています。
後期高齢者医療制度が始まると聞きましたが、一郎さんはどうなるのでしょうか。
現在、妻の初子さんは健康保険の扶養家族ですが、初子さんはどうなるのでしょうか。

●75歳以上の人が対象

4月1日時点で75歳以上の人は、これまでの医療保険制度からはずれて、後期高齢者医療制度に加入することになります。
一定の障害のある人は、65歳〜74歳未満でも対象となります。

●保険料は?

所得に応じて計算され、年金から天引きされます。毎月15,000円(年額18万円)以上年金をもらえる人は、天引きです。
保険料は全国一律ではありません。

●介護保険と同じですね?

そうです。介護保険と同様、年金から天引きするしくみになっています。

●健康保険に加入している人は?

一郎さんのように75歳以上で健康保険の被保険者となっている人は、4月1日で資格を喪失します。
そして、4月1日より後期高齢者医療制度に加入することになります。

●扶養家族の妻はどうなるの?

夫が健康保険の被保険者でなくなるので、妻も健康保険の扶養家族でなくなります。
初子さんも4月1日以降はこれまでの健康保険証を使えません。

●75歳未満の人は?

初子さんは74歳です。74歳の人は後期高齢者医療制度に加入できませんので、国民健康保険に入ることになります。

●保険料は?

初子さんは国民健康保険に加入し、前年の所得に応じた保険料を負担します。

●これまで負担はゼロだったのに?

国民健康保険ですから、そのような人にも保険料が発生します。

●75歳になったら?

来年、初子さんが75歳になれば、国民健康保険からはずれ、後期高齢者医療制度に移り、年金から保険料が引かれます。

●75歳以上の人はすべて保険料を払うの?

特別措置として、現在健康保険の扶養家族になっている人は、4月から9月までの半年間、後期高齢者医療制度の保険料はゼロです。10月以降は、減免はありますが、保険料の負担が発生します。

●初子さんは?

初子さんは、74歳で国民健康保険に加入するので、そういった減免措置はありません。

……………………………………………………………………………………………
先日、社会保険事務所で家族を扶養に入れる手続きをしている人をみました。
すでに75歳以上の家族を扶養に入れようとしていました。
「後期高齢者医療制度が始まるので、今のうちに扶養の手続きをしておかないと損をする!」という言い分でした。
今、扶養に入れておくと、4月から9月までの半年間、後期高齢者医療制度で保険料を払わなくてもすむからということです。
だから、あわてて3月に扶養に入れていたのです。

確かにそうでしょう。
扶養に入れるには条件がありますので、条件を満たさないと健康保険の扶養家族として認定されません。
しかし、今のうちに認定されれば、少なくとも半年間の保険料を節約することにはなります。

……………………………………………………………………………………………
■□■ お知らせ ■□■
●アサヒSR年金研究会からのお知らせ
年金相談研修 「年金相談(老齢編)の手順」」
4月13日(日)福岡市中央区 中央市民センター会議室
これからますます増える年金相談の研修です。
講師は、社会保険労務士 小林賢介氏(大阪府社会保険労務士会 会員)
社会保険労務士、FPの方へおすすめします。
→ お問い合わせは、アサヒSR年金研究会 info@asahi-sr.com