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知っておきたい年金のはなし    第178号 2008年4月11日発行

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4月以降、送られるねんきん特別便は、通称「全員便」。(緑の封筒に入っています)
年金を受け取っている人、年金制度に加入している人、全員に送付されます。
記録に間違いのありそうな人(宙に浮いた年金のありそうな人)にはすでに特別便が送られていますが、これから受け取る人も間違いがある可能性はあります。
よく確認しましょう。

さて、60歳時など、年金を受け取る権利が発生した場合には、年金の手続き(裁定請求)をしなければなりません。手続は多少遅れても問題はありませんが、なるべく早くした方がよさそうです。
今回は、ある共働き夫婦のお話です。

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第178号 年金額の増減
★★★ 手続きのタイミング ★★★
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梅夫さん、桜子さん夫婦は、ずっと共働きでした。梅夫さんは、妻の桜子さんより一足先に60歳の定年を迎えました。
雇用保険の失業給付を受け取ったのち、梅夫さんは、桜子さんの健康保険の扶養家族になりました。桜子さんの年収は400万円ありましたし、梅夫さんの収入は約100万円の年金だけでした。

その後、梅夫さんが63歳になりました。梅夫さんは63歳で特別支給の老齢厚生年金(1階と2階の年金)をもらえる人です。
梅夫さんの年金額が変わります。年金額は200万円以上となりました。

年金も含めて年収が180万円を超える場合は、健康保険の扶養家族にはなれないので、梅夫さんは国民年金健康保険に加入しました。

そのあと、今度は、桜子さんが60歳になりました。桜子さんは年金のことはよくわからず、すぐに手続きをしませんでした。
半年後にやっと手続したのですが、桜子さんが年金をもらいはじめることによって、梅夫さんの年金額まで変わってくることがわかりました。
梅夫さんの年金は減額されて170万円になりましたが、そうなると、また、健康保険の扶養家族になれるのでしょうか。

●健康保険の扶養家族

夫でも妻でも関係ありません。
180万円未満で、被保険者の年収の半分未満が、健康保険の扶養家族になれる目安です。
収入には年金も入ります。
年金収入だけが100万円の梅夫さんは、条件を満たしているので、健康保険の扶養家族になれました。

●ところが年金の増額で

梅夫さんは63歳から特別支給の老齢厚生年金をもらえる人です。
63歳から年金が増えました。
1階と2階の年金、そして加給年金も加わりました。
年金額が180万円以上になったので、健康保険の扶養からはずれ、国民健康保険に加入しました。

●妻が60歳になると

今度は桜子さんが60歳になりました。
共働き夫婦で、ふたりとも厚生年金加入期間が20年以上あります。

●加給年金がなくなる

厚生年金加入期間が20年以上ある妻が年金をもらえるようになったとき、夫の加給年金はなくなります。
ですから、桜子さんが60歳になり年金の権利が発生すると、梅夫さんは加給年金をもらえなくなります。

●年金は請求主義

しかし、妻の年齢からコンピュータが判断して、自動的に加給年金が加算されなくなるということではありません。
妻が年金の請求をしなければ、本来もらえない加給年金が加算されたままになってしまいます。

●じゃあ、手続しないほうがいいの?

そういうことはありません。
もらいすぎた年金はあとで返すことになります。

●手続は早くしたほうがいい

まちがって年金をもらっていると、後で返還する年金も多くなりますので、早く手続きしておく方がいいでしょう。

●梅夫さんの年金は?

妻が60歳になり、梅夫さんの年金から加給年金がなくなり、年金額が減りました。
170万円になりました。
年金額変更通知書が送られてきて、わかりました。

●また健康保険の扶養家族になれる!

また、扶養に入れます。

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この夫婦の場合、妻がもっと早く年金の手続をしていればよかったのです。
年金額が下がるのなら、そのときから、健康保険の扶養家族になればよかったのです。
国民健康保険料を払う必要がありません。

年金は、その手続きが遅れても、5年間はさかのぼって、損することなく、もらえます。
梅夫さん夫婦も、年金額で損をしているわけではないのですが、年金の減額に気がつかずにいたので、払う必要のない国民健康保険料を払っていたことになりますね。

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