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知っておきたい年金のはなし    第180号 2008年5月1日発行

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女性のための年金相談室で無料相談を受けるようになって、7年になります。
いろいろなご相談を受けることによって、はっと気がつくこともあります。
そして、みなさんにお伝えしたいということも出てきます。
同じことで悩んでおられる方も多いかと思うのです。

今回は、最近受けた相談からです。
たった1日違うだけでも、大きな違いになります。
間違いやすい事例でもありました。

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第180号 国民年金の種別変更届
★★★ 離婚の届出 ★★★
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留美子さんは、子どもを引き取って離婚しました。

出産までは金融関係の会社で働いていたのですが、出産で退職しました

そのあとは、サラリーマンの妻として、夫の扶養家族となっていました。
専業主婦の暮らしに、なじめなかった留美子さん。
子どもはかわいいけれど、1日子どもと2人でいると、社会から取り残されるような気がしていました。
近所の「ママ友」とのおつきあいも、留美子さんにとっては、楽しいものではありませんでした。
うつ状態になっていく留美子さん。そして、夫との関係も悪くなってきました。

いろいろあった末に、離婚することになりました。
離婚時の年金分割はしないことにしました。
専業主婦であった期間が短期間だったので、分割したとしても受け取れる年金はわずかであることがわかりました。
年金分割をしないかわりに、養育費の取り決めをしました。
将来もらえるかもらえないかわからない年金のために必死になるより、養育費をきちんともらう方がよいと思ったからです。

話し合いがついて、3月31日に離婚届を出しました。

留美子さんは4月1日から働くことが決まっていました。
ですから、3月31日までは第3号被保険者、4月1日からは第2号被保険者だと思っていました。

ところが、3月分の国民年金保険料を払うようにと言われたのです。

●国民年金加入は60歳まで

20歳から60歳までは国民年金へ強制加入です。
自営業などは第1号被保険者、会社員は第2号被保険者、サラリーマンの配偶者は第3号被保険者となりますが、必ず加入しなければなりません。

●種別変更

第3号から第2号になったり、第1号から第3号になったり、被保険者の種別が変更になることがあります。そのときは種別変更届を出します。
第3号被保険者になるときは、会社を通じて届を出しますが、それ以外は、自分で変更届を出します。

●黙っていたらどうなるの?

会社をやめて第2号被保険者から第1号被保険者になる人は、黙っていたとしてもわかります。保険料の請求はきます。
届を出さないから見逃されるということはありません。

●4月1日から会社勤め

留美子さんは4月1日から第2号被保険者となります。これはいいですね。

●3月31日に離婚届

離婚届を出した日から扶養(生計維持)されていないとみなされます。
つまり、3月31日に離婚届を出すと、その日から生計維持されている妻ではなくなります。3月31日から第1号被保険者となります。

●3月分の保険料

同じ月に被保険者の種別に変更があった場合は、あとの種別の被保険者であった月とみなされます。
つまり、3月分は、第1号被保険者として国民年金の保険料を納めることになります。

●たった1日でも?

そうです。1日だから納付しなくてもよいということはありません。

●では4月1日に離婚届を出したらよかったの?

その場合、3月は第3号被保険者となり、保険料を納付する必要はありません。

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ただし、注意することがあります。
年金は、事実関係で判断します。たとえ戸籍上の妻であっても、扶養しているという事実がなければ第3号被保険者とは認定されません。

生計維持関係がない場合は、戸籍上の妻であっても、第3号被保険者とはなれません。
しかし、そんなことまでわからないので、戸籍の届出で判断するのです。
また、離婚後も事実婚関係にあるのなら、第3号被保険者となれます。

留美子さんは3月分の保険料を納付しないと、未納期間となってしまいます。
保険料は納めてください。
4月からは仕事も決まっているので、新しい人生を踏み出せてよかったと思って、出発した方がいいでしょう。

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