★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

知っておきたい年金のはなし    第181号 2008年5月12発行

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

「ずっと同じ会社、ずっと独身。何も変化がないのに、なぜ、ねんきん特別便が来るのですか。」
「ねんきん特別便が届いてびっくりしたけれど、何も間違っていなかった。」

このように、間違いがないのに、早々にねんきん特別便が届いたというお問い合わせもよくあります。
3月までに届いた特別便には、間違いのある可能性があるわけですが、すべて間違っているというわけではありません。
同姓同名で生年月日までも同じという記録もあるのです。
別人かもしれないけれど、本人かもしれない、間違いの可能性もあるので、お知らせは届きます。
長時間、社会保険事務所の窓口で並んで、何も間違っていなかったと怒らないでくださいね。
確かに待ち時間は問題ですが・・・

深刻な問題は、4月以降特別便が届く人にあると思います。結局、間違っていると思える場合でも、確認できる記録をみつけないといけないのです。
単に「旧姓」などでみつかる場合はよいのですが、昔のことを思い出して証明しなければならないというのは、実は大変なことなのです。

今日は、誤解の多い「加入月数」についてのお話です。

……………………………………………………………………………………………
第181号 合計が合わない!
★★★ 加入月数 ★★★
……………………………………………………………………………………………

洋子さんの夫は63歳で亡くなりました。何度か転職をしています。妻の洋子さんだって、そんなに覚えてはいません。まして結婚前のことはわかりません。

遺族年金を受給している洋子さんに夫の年金記録が送られてきました。
しかし、夫の記録をみて、わからないことがたくさんあります。
まず、「国民年金の加入月数の合計」と「国民年金の合計」があわないのです。国民年金の加入月数は98月と書いてあるのに、国民年金の合計は60月となっています。
これは、未納期間なんですよね?

また、厚生年金の加入月数と加入期間も同じではありません。これはどういうことなのでしょうか。

●国民年金の加入月数とは?

国民年金に加入すべき期間が加入月数です。
20歳から60歳までずっと自営業という場合は、加入月数は480月となります。
しかし、その間、国民年金保険料を滞納すると、年金をもらえるかどうかの受給資格期間には、カウントされません。
受給資格期間につながる月数が「国民年金」の「計」に表示されています。
加入月数=保険料を納めた期間でありません。

●厚生年金の加入月数と加入期間

多くの人の場合、厚生年金の加入月数と加入期間は同じになります。
しかし、洋子さんの夫の厚生年金期間をみると、加入月数と加入期間が合いません。
加入期間が多いのです。
加入月数は24月、加入期間は32月、これはどういうことでしょうか。

●坑内員・船員の場合

洋子さんの夫は、昔、炭鉱で働いていたことがあります。坑内員の期間は、昭和61年3月までは3分の4倍、昭和61年4月から平成3年3月までは5分の6倍します。
実際の加入月数を割増して、年金をもらう権利につなげていくというしくみです。
だから、加入月数と加入期間が合わないのです。

●船員保険

船員保険に加入していた人も同様です。
上記と同様に、3分の4倍、5分の6倍するので、加入月数と加入期間は同じではありません。

●加入月数より納付月数が多い?

59歳の洋子さんはこれまで国民年金の保険料の滞納はありません。自分で納付すべき保険料は納めてきましたし、第3号被保険者期間については手続をしています。
夫が亡くなってからは第1号被保険者として国民年金保険料を納めています。
ところが、今月調べてみた自分の加入記録をみてみると、加入月数よりも保険料納付月数が多いのです?
これって、保険料を納め過ぎているということでしょうか。

●前納した人

洋子さんは国民年金の保険料を前納しました。
前納した人には、このようなことがあります。
1年分の保険料を先に納めているので、記録確認の時期によっては、加入月数より納付月数が多いということもあります。

……………………………………………………………………………………………
このようにねんきん特別便を読むのは、そう簡単ではありません。
20歳以降の空白期間のない人は問題が起こることはないと思いますが、転職したり、結婚したり、人生に変化のあった人は、年金にも変化があります。
人生の変化と年金の変化、しっかり確認しておきましょう。

私が気になっていることは、年金記録を確認しようとしても、あまりにも時間が経過して、証明できないこともたくさんあるということです。
高齢者で、思い出すことが困難な方もいます。
ねんきんダイヤルに電話をかけることすらできない人たちもいます。
「社会保険事務所で相談してください」と言いますが、自分で歩けない、外出できない人たちは、タクシー代を使って社会保険事務所に行くことになります。
その交通費さえも出せないというケースもあるのです。

また、遺族年金になるともっと困ります。本人は亡くなっているので、思い出すといってもどうしようもありません。

若い人におすすめします。
今、確認しておきましょう。そして、不明な点は、今、解決しておきましょう。

……………………………………………………………………………………………
■□■ お知らせ ■□■
●福岡県高齢者・障害者雇用市園協会 啓発支援課の「職業生活設計セミナー」
5月24日10:00〜12:00 (福岡市博多区博多駅前)
退職後の生活設計・ライフプラン実践編
安心セカンドライフのための対策、病気や介護への備え、保険に見直しなど
講師は菅野美和子です。
受講料は無料です。お申込は092-433-1068 福岡高齢期雇用就業支援コーナー