★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第185号 2008年6月20日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 今、私が楽しんでいるドラマは、NHKの大河ドラマ「篤姫」です。 はまっています。 日曜日の18時、20時、22時と3回「篤姫」が放送されているのですが、3回みてしまうことも・・・ 篤姫公式ホームページをみていると、当時の大奥についてもいろいろ説明があって、興味を持って読んでいます。 大奥の女性たちは今で言う「キャリアウーマン」かもしれません。どのくらいの地位にあったかにもよるのでしょうが、彼女たちは「退職」すると、その後の生活の保障もあったようです。 江戸時代に、今の年金のような考え方があったのでしょう。 調べたことはありませんが、退職後にも生活費を受け取れるようなことは、もっと昔からあったのかもしれません。 年金という考え方のルーツ、歴史から調べてみると、おもしろいでしょうね。 今は、ドラマの展開がおもしろくて、目が離せません。 (決して暇ではないのですが・・・) それはさておき、今日の話を始めましょう。 …………………………………………………………………………………………… 第185号 年金と雇用保険の調整 ★★★ 退職の時期によって ★★★ …………………………………………………………………………………………… 太郎さんはもうすぐ63歳です。 いったん60歳で定年をむかえました。その後、継続雇用です。 給料はダウンしましたが、年金が満額もらえる63歳まで働く予定でした。 報酬比例部分だけの年金では生活していけませんでした。 働くことによって少ない年金がカットされ、さらに少なくなりました。 しかし、雇用保険から高年齢雇用継続給付ももらえましたし、働くことによって実質的な手取りは増えました。 さて、ほんとうの退職を控えて、太郎さんはいろいろと準備を始めます。退職後は、まったく仕事をしないというわけではなく、アルバイト的に短時間で働ける仕事を探そうと思っています。 雇用保険から失業給付を受ければ、その間年金は止まるけれど、それはしかたがないとわかっていました。 ところが、一足先に退職した同僚が、「雇用保険は少ない。年金の方が多いので、雇用保険はまったく受け取らなかった」と話しています。 そんなことがあるのかと太郎さんは思います。 60歳の定年のときに、いろいろ調べています。雇用保険の方が多かったのです。 太郎さんはどうなるのでしょうか。 ●雇用保険からの基本手当 失業中にもらえる雇用保険からの給付金が「基本手当」です。 基本手当は退職前6ヵ月の賃金で決定されます。6か月分の賃金を足して、180で割ったものが賃金日額です。ボーナスは入りません。 その賃金日額の45%〜80%が基本手当日額、つまり、失業1日につきもらえる給付金額です。 ●賃金が多いほど、基本手当も増えるの? そういうことになります。 失業中の生活を支えるという目的から、給与の低い人は80%、高い人はだんだん率が減っていきます。大きな差が出ないようなしくみです。 しかし、退職前の賃金が多いほど、基本手当も多くなります。 ●継続雇用後の退職 賃金はダウンするが60歳以降も働き続けることができるというしくみを多くの企業が取り入れています。 そのことから考えると、60歳で退職したなら、基本手当は賃金の高い6ヵ月で計算されますが、63歳で退職するのなら、ダウン後の低い賃金6ヵ月で計算されます。 ●退職時期が違えば だから、太郎さんのように、60歳で計算したことが63歳で当てはまるとは限りません。 太郎さんの基本手当は、60歳で退職するときに比べてずいぶん少なくなります。 ●63歳からの年金 太郎さんは63歳から2階分の年金をもらえる人です。 63歳になるまでは2階だけ、63歳以降は、1階と2階の年金です。 専業主婦の妻がいるので、年金の妻手当とも言える加給年金も上乗せされます。 ●さてどちらが多い? 太郎さんは調べてみました。年金は加給年金含めて約240万円で、月額20万円です。 基本手当(1日分)は5,000円ほどになる予定。1ヵ月約15万円。 雇用保険の方が少ないのです。 年金と5万円の差があります。 ●税金を考えてみても 雇用保険は非課税。老齢厚生年金は課税対象です。 非課税の給付を選んで、月額5万円の差は埋められるでしょうか。 やはり、年金が多いでしょう。 ●雇用保険はあきらめる? 基本手当をもらえば、年金はストップします。 もったいないと思いますが、しかたないですね。 ●延長申請 定年等で退職した場合で、少し休んでから仕事をみつけたいという場合は、雇用保険の受給資格期間を延長することができます。 最大1年の延長、つまり、基本手当を受給することができるのは、退職後2年までとなります。 ●太郎さんが64歳で退職すると 太郎さんは63歳なので対象外ですが、もう1年働いて、64歳で退職したとします。 64歳でもやはり同じ計算になりますが、受給期間を延長すればどうでしょう。 ●1年後から求職開始 64歳の太郎さんが、65歳になってから求職活動を開始すると、65歳以降は、基本手当と年金の調整はありません。 つまり、太郎さんは、65歳以降、基本手当と年金の両方をもらうことができます。 65歳までは基本手当をもらえないが、65歳になってから基本手当をもらうと年金は調整されず、どちらも全額もらえるということです。 …………………………………………………………………………………………… 受給期間の延長を行うには、退職後2ヵ月以内に手続する必要があります。 雇用保険と年金を両方もらいたいから延長するとうのではなく、一定期間休養して、その後、仕事を探すということですから、誤解のないようにしてください。 こんなこともできるということです。 私は、雇用保険や年金で損だ、得だというのではなく、自分が何をしたいのかということを大切にしてほしいと思います。 よい仕事がみつかれば、それが一番いいのです。 雇用保険をもらえずに損したという気持ちはわかりますが、自分の生きがいを大切にした方が、もっと楽しい人生を送れるのではないでしょうか。 私も10年以上雇用保険料を支払い、自営業をはじめたので、まったく給付は受けていません。 確かに、当時は損をした気にはなりましたが、しばらくすると、忘れてしまいました。 …………………………………………………………………………………………… ハートフォード生命さんの「セカンドライフの達人のマネー術」で、年金など社会保険に関するコンテンツ作成のお手伝いをさせていだきました。年金コラムも担当しています。 お役に立つ内容がたくさんありますので、ぜひ、ごらんください。 自分の年金を簡単に試算できるページもあります。 http://money.hartfordlife.co.jp/index.html …………………………………………………………………………………………… ■□■ お知らせ ■□■ 福岡県高齢者障害者雇用支援協会就業支援コーナー 「ねんきん特別便の見方」 6月28日 10時〜12時 北九州ウェル戸畑にて 参加費は無料 http://www.f-shien.org/seminarInfo/index.html |