★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第187号 2008年7月22日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 国民年金の制度がスタートしたのは昭和36年4月から。 ところが、国民年金の加入手続はその前から受け付けていて、昭和35年10月に手続をした人もいます。 しかし、保険料納付は36年4月からです。 ねんきん特別便を見た人が社会保険事務所に来られます。 「昭和35年から国民年金に加入しているのに、どうして、記録は36年4月からとなっているのですか。」 「保険料の記録が消えているのでは?」 特別便に国民年金の保険料徴収は36年4月からだと書いておけばよかったのです。 さて、今日は、障害厚生年金と老齢厚生年金の調整についてです。 …………………………………………………………………………………………… 第187号 障害厚生年金と老齢厚生年金 ★★★ 子どもと妻の加算 ★★★ …………………………………………………………………………………………… 一郎さんは中学を卒業して44年間会社で働きつづけてきました。 ところが退職直前、事故にあって、大きなケガをしました。 その事故で障害の状態になり、障害厚生年金の手続をすることにしました。 しかし、老齢厚生年金と障害厚生年金は両方もらえないとの説明です。 どちらか有利なものを選択すればよいということでしたが、何を基準に選べばよいのか、一郎さんにはわかりません。 一郎さんには、54歳の妻(専業主婦)と16歳の娘がいます。 どのように考えたらよいのでしょうか。 ●長期加入者の特例あり 一郎さんは44年厚生年金に加入していた人ですので、長期加入者の特例があります。 ●長期加入者の特例とは? 44年以上厚生年金に加入している人が退職すると、60歳から老齢厚生年金の報酬比例部分と定額部分の両方がもらえます。 一郎さんの年代は、本来は63歳から1階の年金(定額部分)がスタートとなりますが、長期加入者の特例で、60歳から1階の年金と2階の年金をもらえるのです。 ●加給年金がある! 18歳年度末までの子どもと妻がいるので、加給年金額が加算されています。 加給年金額は227,900円ですが、妻には特別加算があり。396,000円です。 ●障害年金はどうなる? 一郎さんは、障害基礎年金・障害厚生年金をもらう要件は満たしています。初診日から1年6ヵ月後に障害年金の手続をします。 障害等級が1級になるか、2級になるかは、まだわかりません。 ●障害年金への加算は? 一郎さんには、子どもがいます。現在16歳です。障害基礎年金には子の加算があります。54歳の妻に対しては、障害厚生年金に加給年金額が加算されます。 どちらも227,900円です。 ●障害厚生年金では妻の加給年金額には特別加算はない 老齢厚生年金では、妻の加給年金には特別加算があります。 しかし、障害厚生年金では、特別加算はありません。 ●もう一度、老齢厚生年金を確認してみると 定額部分と報酬比例部分、そして加給年金は妻と子が加算の対象です。 妻に対する加給年金は特別加算付きです。 ●障害年金は 子の加算がついた障害基礎年金と妻の加給年金額(特別加算なし)が加算された障害厚生年金です。 ●どちらが有利? 60歳以降の一郎さんにとっては、2級であるなら、老齢厚生年金も障害厚生年金(障害基礎年金も含む)も金額は大きくかわりません。長期の人は、遺族厚生年金が多くなるでしょう。計算上の乗率が異なるからです。 妻に対する加給年金額は、老齢には特別加算があり、396,000円、障害年金には特別加算がなく、227300円。 ●老齢厚生年金が有利? 加給年金額も異なるし、老齢厚生年金額が多くなるでしょう。 ●障害等級が1級になったら? 1級になったら、障害基礎年金も障害厚生年金も25%増しになるので、障害年金を選択したほうが多くなるでしょう。 ●障害年金のメリットは 非課税であるということです、住民税や国民年金保険料も下がってきますね。 …………………………………………………………………………………………… ふたつの年金の選択は意外にむずかしいものです。 しかし年金額が変化する節目節目に、しっかり比較して有利なものを選択するということをすればよいのです。 選択届は何度出しても問題ありません。 選択する場合は、年金額だけではなく、所得税、住民税、国民健康保険料なども考慮します。 税金については、社会保険事務所で相談はできません。 総合的な相談は、社会保険労務士やファイナンシャルプランナーなどの専門家を活用してください。 …………………………………………………………………………………………… ■□■ お知らせ ■□■ ●アサヒSR年金研究会からのお知らせ 年金相談員研修「年金相談(障害編)の相談手順」 9月23日(火)13:00〜16:30(開場15分前) 福岡市立中央市民センター 会員は無料です。会員以外のオープン参加も募集します。 非会員の方の参加費用は5,000円(レジュメ付き) 申し込みは、アサヒSR年金研究会(代表 社会保険労務士 小林賢介氏) info@asahi-sr.com 全国各地でも開催していますので、詳しいことはメールでお問い合わせください ●福岡県高齢者障害者雇用支援協会就業支援コーナー 7月29日(火) 13時〜15時 福岡市博多駅前 セミナールームにて 「ねんきん特別便の見方」 講師:菅野美和子 来年4月からはじまる「ねんきん定期便」の情報もお伝えします。 参加費は無料です。 |