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知っておきたい年金のはなし    第192号 2008年9月11発行

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ねんきん特別便はもう届きましたか。
もう9月ですから、多くの人が受け取っていると思います。
11月になっても届かない場合は、社会保険事務所に連絡してみましょう。
届かない人は、年金の記録がすべて消えてしまっているということではありませんよ。
住所違いで届かないということもよくあります。

さて今日は、その年金から引かれるものについて考えてみたいと思います。
年金から天引き、つまり、年金から強制的に引かれているものは、所得税、介護保険料、後期高齢者医療制度の保険料です。
年金から引くということは、徴収する側からいえば、取りはぐれのないしくみです。
しかし、年金を受け取る側にとってはどうなのでしょう。
単に年金のことだけを考えていればよいのではありません。

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第192号 後期高齢者医療制度の保険料
★★★ 年金天引きと口座振替 何が変わる? ★★★
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菊代さんは77歳です。夫は80歳です。
夫婦ふたりで年金暮らしです。

現在、菊代さんの少ない年金からも、医療保険料が天引きされています。
年金から天引きするなんてとんでもないことだと騒がれていましたが、年金天引きも悪いことではないと、菊代さんは思います。

3月までは国民健康保険に加入し、保険料は納付書で払っていました。
払わなければならないのが同じなら、年金天引きも手間がはぶけてよいと思います。
確かに、お金のやりくりはできないでしょう。
しかし、天引きでなければ、そのまま払わなくてもよいということではないですよね。

菊代さんは娘から言われました。
「お父さんの口座振替にした方が得らしいよ」
でも、娘さんもよくわかりません。
菊代さんも、さっぱりわかりません。
何がどうお得になるのでしょうか。

●年金天引きとは?

年金から保険料が引かれるということは、年金を受け取っている人がその保険料を支払っているという意味です。

●それはあたりまえではないの?

本人の年金が少ない場合、保険料を夫や子どもが払うというケースもありますね。
国民健康保険は世帯主が払います。
夫が世帯主の場合、夫が支払いますが、その保険料の中には、妻に対する保険料も含まれているわけです。
妻の分も夫が払っていると言えます。

●本人以外が払えない

年金天引きとは、本人以外の人が払ったことにならないということです。

●口座振替にできる

年金天引きだった保険料を口座振替にすることが可能となりました。(条件あり)
つまり、本人以外の人が替わりに払えるということです。
例えば、妻の医療保険料を夫の口座から引き落としできるということなのです。

●誰が払っても金額は同じでしょう?

そうです。割引になるわけではありません。

●金額は同じでも所得税が変わる!

夫の口座から妻の保険料を引き落とすということは、夫が保険料を払うということです。
つまり、所得税を申告する場合に、夫の所得から控除できるということになります。

●それがどうしてお得?

菊代さんは年額40万円程度の老齢基礎年金です。少ない金額ですので、所得税はかかりません。
ところが、夫は会社勤めが長く、老齢厚生年金も多いので、所得税を払っています。

●所得税が少なくなる!

ですから、妻の医療保険料を夫が負担することにより、夫の所得控除となり、夫の所得税が少なくなるということなのです。

●誰でも口座振替にできるの?

誰でもではありません。
後期高齢者医療制度が始めるまで、国民健康保険料をきちんと納付していたことなどの条件があります。
できるか、できないかは、窓口へ問い合わせてみてください。

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菊代さん夫婦のように、妻は年金が少なく所得税ゼロ、夫は課税されているようようなケースでは、口座振替にすることによって、節税となることがあります。
年金天引きと口座振替、実は同じではないのですね。

年金天引きとは、他の誰でもなく本人が保険料を支払っているという証拠なのです。
だから、年金天引きでは、保険料を他の家族の所得から控除することはできません。

口座振替も可能となりましたので、このように節税できる人は、変更しましょう。

しかし、多くの高齢者の方がこのようなしくみを理解できるのでしょうか。

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■□■ お知らせ ■□■
●アサヒSR年金研究会からのお知らせ
9月23日(火曜日) 福岡開催
13:00〜16:30 福岡市中央市民センターにて
今回は障害年金です。
障害年金は老齢、遺族とは比べ物にならないくらい制限や条件があるため、年金の専門家の支援を必要としています。
会員外のオープン参加を募集しています。
お問い合わせはアサヒSR年金研究会へ
info@asahi-sr.com
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