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知っておきたい年金のはなし    第195号 2008年10月11日発行

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「協会けんぽ」がスタートして、いろいろと混乱しているようです。
健康保険の加入手続きをすると、社会保険事務所からは「通知書」が送られ、「協会けんぽ」からは「健康保険証」が送られます。
これまでいっしょに送られてきたものが、別々に届きます。
健康保険証送付については、今までの2倍の郵送料がかかっていることになるのです。

保険証発行までずいぶん時間がかかり、社会保険事務所に「いつ送ってくるのか」と問い合わせると、「わかりません」。
「協会けんぽ」に問い合わせると、外注しているらしくて「発送日までわかりません」

保険証を待っている人にとっては、困ったものです。
なぜ、今までどおりではいけないのか、もっと、誰にでもわかる説明が必要だと思います。

困ったことといえば、年金問題においても新たな事実が発覚しています。
近いうちに取り上げたいと思いますが、今日は、年金記録の訂正についてです。

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第195号 年金記録の訂正
★★★ 訂正もむずかしい! ★★★
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60歳の茂子さんは、今年の始め頃に、「ねんきん特別便」を受け取りました。青い封筒で送られてきました。
「青い封筒の人には、間違いがあるらしいよ」と友達に言われましたが、よくわからないので、そのままにしていました。

茂子さんは障害厚生年金3級を受給しています。
5年前、お勤めをしているころ、事故にあって、それが原因で障害厚生年金3級を受給するようになりました。
障害厚生年金と老齢厚生年金は両方もらえないと言われたので、老齢厚生年金の手続はまだしていません。

しかし、障害厚生年金3級は金額も少ないので、老齢厚生年金が多ければ、多い方をもらいたいと思っています。

記録を調べてみた方がいいのでしょうか。
どのように年金を選べばよいのでしょうか。

●障害厚生年金3級とは?

国民年金の障害基礎年金は2級までですが、障害厚生年金には3級まであります。
ですから、茂子さんの障害年金には1階がなく、2階だけをもらっていることになります。

●最低保障がある

障害厚生年金3級には最低保障があります。
あまりにも少ないと障害年金の意味がないので、最低保障をしているのです。
これは3級の障害厚生年金のみです。

●どうして3級だけ?

それは3級の人には1階の障害基礎年金がないからです。
1級と2級の人は1階の障害基礎年金をもらえるので、最低保障する必要はないのです。

●年金記録がみつかったら

もし、茂子さんに、新たに厚生年金加入記録がみつかれば、当然、障害厚生年金の金額も改定されることになります。

●増えるの?

増えるとは限りません。
茂子さんは、実際の厚生年金加入期間が短いので、300月とみなして計算しています。
ですから、月数が増えても、障害厚生年金額は増えません。
それどころか、低い給料の厚生年金加入期間がみつかると、標準報酬月額の平均が下がるので、年金額が下がってしまう可能性もあります。

●記録がみつかっても意味がないね

記録がみつかったために、障害厚生年金が減額になるということもあるのです。
しかし、茂子さんの場合は、最低保障の年金をもらっています。最低保障ですから、標準報酬月額が下がっても年金額には変わりありません。
茂子さんは、減額にならないケースです。

●老後の年金はどうなる?

記録がみつかれば、年金額は増えます。

●茂子さんはどの年金を選べばよいの?

老齢厚生年金には「障害者の特例」があります。
障害厚生年金3級以上の障害の状態に該当する人は、60歳から定額部分(1階の年金)と報酬比例部分(2階の年金)を受給できます。
ただし、退職していること(厚生年金の被保険者ではないこと)等の条件を満たした場合です。

茂子さんは条件に該当しているので、請求すれば、60歳から障害者の特例により、定額部分と報酬比例部分を受給することができます。
これも含めて、年金を選択することになります。

いすれにしても、年金額を比較検討してみる必要があります。

●その都度、選択をすればよいのですね

ですから、今のうちにきちんと記録を確認して、有利なものを選択していくのが賢い方法です。

●気をつけることは?

税金も含めて考えましょう。
障害年金は非課税です。
非課税の年金を選択するほうが有利な場合もあります。

●障害が重くなれば?

障害の状態が2級以上に重くなることもあります。
そのときは、障害基礎年金と障害厚生年金をもらうことができます。
しかし、障害厚生年金2級には最低保障がありません。
過去の低い標準報酬月額が見つかった場合は、見つかる以前と比較して障害厚生年金が低くなることもあります。

●複雑ですね!

これは複雑なケースです。
過去の記録もれをみつけた方よかったのか、みつけなかった方がよかったのか、結果をみないとわからないでしょう。

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年金記録を探し出しても増えるとは限りません。
減額になることも考えて、年金を試算し、それから統合しなければなりません。
しかし、未来のことはわからないのです。
今はよくても、将来はよくないということもありえます。
そんなことを考えると、年金相談は大変むずかしいのです。

しかしながら、記録が正しければ、こんなに悩む必要もなかったのですね。
正しい記録にもとづいて年金もらうというのはあたりまえのことですから。
減額になる場合は、記録を統合しなくてもよいということで、ますます、混乱が続くのだと思います。

社会保険庁は本気で年金問題に取り組み気があるのでしょうか。
もちろん、現場で一生懸命されている職員さんはたくさんいらっしゃいます。
しかし、「これは他人の記録ですね」と全く取り合ってもらえなかったのに、別の社会保険事務所では、本人の記録と確認できて統合できたということもあります。
年金記録問題を解決しようという気持ちがあるのかどうか、疑いたくなる場面も多々あります。

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