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知っておきたい年金のはなし    第197号 2008年11月14日発行

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ある離婚相談を受けていて、どうしても年金分割後の年金見込額が必要でした。
おおよその金額は計算できるのですが、できるだけ正確なデータがほしいのです。
分割後の年金見込額を依頼しているのに連絡がないという本人からのお話で、私が確認の電話をしてみました。

いつごろ届くのかという確認でした。
3〜4ヵ月かかるということ。
「それほど時間がかかるのですか」とたずねると、逆に言われました。
「離婚するのに、そんなに年金額が知りたいのですか。」

この対応には驚きました。
離婚後の生活がかかっているのです。だから確認しておきたいのです。

どこの窓口かは言いませんが、きっと、生活に困っておられない方なのでしょう。
心の痛みがわからないのでしょうね。

さて、今日は、国民年金の免除制度のお話をします。

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第197号 免除と追納
★★★ 覚悟をもって免除を受ける ★★★
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靖子さんは今年60歳になります。
9年前に夫に先立たれました。その後、ずっとひとり暮らしです。
夫が亡くなるまでは、第3号被保険者として国民年金に加入していました。
夫が亡くなったあとは、遺族厚生年金を受給していますが、他にはパート収入しかなかったので、国民年金は全額免除にしてきました。
遺族厚生年金があるので、国民年金の保険料を支払う必要ないと思ってきました。

そして、9年が経過しました。

あるとき、老後の年金を考えると、全額免除では年金が少なくなるので、過去の免除分を支払ったほうがよいという話を聞きました。

生命保険の満期金を受け取りました。
そのお金で、過去に免除を受けた期間について、国民年金の保険料を納付したほうがいいのでしょうか。
靖子さんは悩んでいます。

●追納とは?

免除を受けた期間についてはあとで納めることができます。これを追納といいます。追納は10年間に限ります。たとえば、平成10年11月分が免除となっているのであれば、20年の11月末まで納付することができます。

●追納には割増つき

2年のうちに納付すると、当時と同じ保険料で納付することができますが、追納の保険料には割増がつきます。
そうですよね。何年たっても同じ保険料でよいというのはおかしいです。
(詳しいことは省略して説明していますので、実際の割増についてはご自分のケースで確認してください)

●免除のままではいけない?

靖子さんは9年間全額免除を受けてきました。このままでもいけないことはありません。
しかし、老齢基礎年金に反映されるのは、3分の1です。
9年のうち3年分は保険料納付したものとして計算されますが、6年分は未納と同じ扱いです。
満額の年金が約80万円(792,100円)なので、免除のままにしておくということは、満額から約12万円減額されるということです。

●遺族厚生年金は?

再婚しなければ、遺族厚生年金は終身もらえます。
靖子さんは自分自身の厚生年金加入期間がありませんので、65歳からは遺族厚生年金と老齢基礎年金をもらえます。

●65歳以降の年金は?

65歳までの遺族厚生年金には中高齢寡婦加算が約60万円あります。
しかし、65歳になると、それはなくなってしまいます。
ですから、65歳以降、老齢基礎年金が少ないと大変です。
中高齢寡婦加算がなくなるので、年金額が減額になることもあります。

●経過的寡婦加算があるけれど

そういったことを防ぐ意味合いで、65歳以降は経過的寡婦加算がありますが、生年月日によって異なります。
少しでも多く年金を受け取るためには、老齢基礎年金をしっかりもらえるようにしておく必要があります。

●では追納がいい?

追納しなければ年金は3分の1。
しかし、逆に考えると、追納する義務はありません。このまま保険料を納付しなくても3分の1はもらえるのです。
これをどう考えますか?

●任意加入という方法もある

60歳以降、任意加入という方法もあります。
追納し、なおかつ、不足している月数分、任意加入すればより年金は増えます。

支払う保険料とその効果をよく計算してみてください。

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追納したほうがよいかどうか、この問に対しても、答はありません。

免除という制度はよい制度のように思えますが、実は、年金が必要になるときには、このような悩みが生じるのです。
保険料を払わなくてもよい制度を利用すると、きびしい老後が待っています。

国民年金の保険料は、やはり、そのときに、払ってしまうというのが一番よいと思います。
14,410円が大変な方もたくさんあるでしょうけれど、免除には、将来、少ない年金になってもよいという覚悟が必要なのです。

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