★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第198号 2008年11月21日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 先日、セミナーで年金のお話をさせていただきました。 終わったあと、ひとりの方が感想をお話しくださいました。 「よかったのは、繰下げの話でした」 何を話したかというと、繰下げが得か、損かという視点で考えてみるのではなく、どのように生きるのかを考えて決定してほしいという内容でした。 老後はケアハウスに入って暮らしたいと希望している女性の話をしました。 65歳時点での年金では必要な金額に満たないので、70歳まで待って年金を増やし、ケアハウスに入る準備をしているというお話でした。 自分の希望があって、それに対応した年金の選択をするという事例が、大変参考になったという感想でした。 そうですね、単に得か、損かで年金を考えていると、答が出ません。 これからどんな暮らしをしていきたいのかということです。 とはいっても、きちんとした知識がないと、選択にも困ります。 今日は双子の太郎さん次郎さんのお話です。 …………………………………………………………………………………………… 第198号 繰下げ支給と加給年金 ★★★ 繰下げても増えないものは? ★★★ …………………………………………………………………………………………… 太郎さんと次郎さんは、来年1月には65歳になります。 大学卒業後、サラリーマンとして働いてきました。 ふたりとも、20歳代で結婚。 現在は、子どもたちも大きくなって、夫婦ふたりの生活です。 仲のよい兄弟です。時々、家族そろって、いっしょに食事をしています。 太郎さんは65歳で退職予定。次郎さんは昨年退職して、現在は、アルバイトです。 さて、これからどのように過ごすかという話になりました。 年金を少しでも増やすために繰下げという方法があることを知りましたが、効果はあるのでしょうか。 ●繰下げとは? 本来65歳からもらえる老齢基礎年金や老齢厚生年金を66歳以降に遅らせてもらうというしくみです。 ●どちらかひとつだけでもよい 老齢基礎年金と老齢厚生年金は、同時に繰下げする必要はありません。 どちらかひとつだけ、繰下げすることもできます。 「老齢基礎年金は65歳から受け取り、老齢厚生年金を遅らせる」などです。 ●割増がつく! 繰下げのメリットは割増がつくこと。 66歳で8.4%。70歳で42%の割増です。 1ヵ月あたり遅れるごとに0.7%増えます。 ●繰下げはお得? 必ずしもお得であるとも言えません。 繰下げを待っている間は、年金はもらえませんし、長生きしないと、繰下げの効果はありません。 また、加給年金は待っても増えないし、もらえなくなることもあるのです。 ●太郎さんの妻は年下 太郎さんの妻は、5歳年下で、専業主婦です。 サラリーマン生活の長い太郎さんの年金には、配偶者加給年金額が加算されています。約40万円(396,000円)です。 妻は5歳年下なので、あと5年間、妻が65歳になるまで加算されます。 ●太郎さんが繰下げしたら? 太郎さんが老齢厚生年金を繰下げすると、加給年金もストップします。 70歳で繰下げ請求するのなら、これから先、加給年金はもらえません。 確かに、割増はつきます。 しかし、5年分で約200万円の加給年金がもらえなくなるので、それを取り戻すためには、どれだけ長生きしなければならないことか・・・ ●次郎さんの妻は年上 次郎さんの妻は年上で、すでに66歳です。 すでに、妻が65歳になった翌月から加給年金はなくなりました。 繰下げを選択しても、太郎さんのように、「加給年金分もったいない」と悩む必要はありません。 ●太郎さんの妻が3歳年下であったとしたら? 太郎さんが70歳まで繰下げを待っている間に、太郎さんの妻は、65歳になります。65歳になれば、加給年金はなくなり、妻の年金に振替加算として加算されます。 太郎さんが繰下げのために年金を受け取っていなくても、妻は振替加算をもらえます。 ただし、妻自身が65歳から年金を受け取るという前提での話です。 ●妻自身の繰下げ 振替加算のある妻が、自分自身の老齢基礎年金を繰下げすると、振替加算もストップします。しかも振替加算には割増がつきません。 ●もう一度、繰下げはお得? 寿命しだいです。 加給年金や振替加算のことも考えて選択してください。 …………………………………………………………………………………………… 何のために繰下げをするかという目的でしょうね。 場合によっては効果的になりますし、反対に、繰下げしなければよかったということになるかもしれません。 どういう生活設計を描いて、生活資金をどうするのかだと思います。 私ならどうするか? このまま自営業で65歳以降も仕事を続けているのなら、繰下げするかもしれません。 私自身、受け取れる年金が少ないことはよくわかっています。 それに、加給年金や振替加算のことは考えなくてよいので、収入があれば繰下げして、働けなくなったときに備えるという方法を取ろうと考えています。 しかし、まだ、ずっと先のことですから、そのときになってみないとわかりませんよね。 …………………………………………………………………………………………… ■□■ お知らせ ■□■ ●筑後市 ライフセミナー 第1回 12月5日(金)19:00〜12:00 ねんきん特別便はもう返送されましたか? 第2回12月12日(金)19:00〜12:00 知ってお得! 社会保障と税金のおはなし 参加費無料。講師は菅野美和子です。 申込み・お問い合わせ 福岡県VA筑後市勤労者家庭支援施設(サンコア) 0942-53-2516 |