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知っておきたい年金のはなし    第208号 2009年2月12日発行

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いつまでも「やりたいことがたくさんある」っていいことですね。

先日、お話しさせていただいた75歳の女性。
今からやりたいことがいっぱいあって、忙しいそうです。
今の仕事をすぐに辞めるわけにはいかないのであと1年仕事を続け、それからは、やりたいことをするとお話しされます。
「忙しくてたまらない!」
そんな話を聞くと、元気になれます。

やりたいことは、どんどん口にしたほうがいいとおっしゃいます。
誰かに話すと、実現しようって気持ちになりますよね。

私の夢は、直木賞受賞作家になること。
これには、定年も締切りもありません。

最近は、「直木賞候補作品」に入るだけでもいいかあと思いつつ、実際には小説は書けず、書くのは年金のはなしです。

さあ、今日も年金のはなしを始めます。

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第206号 60歳以降の厚生年金加入
★★★ 働いても年金は増えない? ★★★
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もうすぐ60歳を迎える雪江さんは、社会保険事務所へ行きました。
年金額を調べておきたかったのです。

社会保険事務所は大変混雑していて、2時間も待ちました。
年金額は確認できました。
しかし、社会保険事務所の人は、
「60歳以降働いても、年金は増えませんよ。ご主人の年金を上回ることはありませんからね」
というのです。

雪江さんには意味がわかりませんでした。
もっと聞きたいと思いましたが、まだまだ人が待っているので、あきらめて帰りました。
しかし、どういう意味なのでしょう。気になります。

雪江さんは、これからも働く予定でした。
働いても年金は増えないのでしょうか。

●雪江さんの年金加入歴

これまで厚生年金加入期間が全部で18年ほどあります。
若い頃の期間と、50歳を過ぎてからの期間です。
国民年金の未納期間もありますが、老齢基礎年金をもらうのに必要な25年は満たしています。

●厚生年金加入期間が長くなれば年金は増える

老齢厚生年金も老齢基礎年金も加入期間が長ければ年金は増えます。
雪江さんのように、過去に国民年金の未納期間がある人は、60歳以降厚生年金に加入することで、未納分をカバーすることもできます。
(老齢基礎年金が増えるということではありません)

●損することはあるの?

雪江さんの年上の夫は、40年間のサラリーマン生活を送ってきました。
すでに退職し、現在は年金生活です。
妻がいるので、加給年金が加算されています。

●厚生年金加入期間が20年以上になると?

雪江さんの厚生年金加入期間が20年以上になった場合、加給年金は加算されません。
(特例に該当すると、15年〜19年で加算されないこともあります)
その上、65歳以降、雪江さんの年金に上乗せされる予定の振替加算もなくなってしまいます。

●だから増えない!

厚生年金加入期間が20年になると、振替加算がつかないということを言っているのです。
雪江さんの振替加算額は年額88,200円。これ以上に自分の厚生年金額を増やせますかということです。

●遺族年金は?

万が一、雪江さんの夫が亡くなったとしましょう。
そうなると、雪江さんは遺族厚生年金をもらえるわけですが、65歳以降は、自分の老齢厚生年金を優先してもらうことになります。
つまり、自分の老齢厚生年金が増えても、その分、遺族厚生年金が減額されるので、結局、同じことだというのでしょう。

●働いても損?

雪江さんは、加給年金と振替加算、遺族年金のことで、今後働いても年金では有利にならないと言われたのです。

●ほんとに損?

遺族年金については、あくまでも夫が死亡したらという話です。
夫婦ふたりで長生きするかもしれないし、妻が先に死亡するかもしれません。
わからないことを取り上げて、損得を考えるのは賢明でしょうか。

●加給年金・振替加算はどうなる?

確かに、加給年金・振替加算の問題では、振替加算がもらえるような状況のうちに退職した方が、結果として年金が多いことになります。
でも、65歳前に離婚したら、振替加算はもらえません。
振替加算のために退職しても、結局もらえなかったということもあります。

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最初の話に戻りますが、「自分の夢はなんですか」ということなのですね。
今の仕事を続けたいのか、何をして暮らしたいのか。
振替加算がつかなくても、働けば、自分の年金は増やせるし、その間、給料という収入を得られます。
年金で給料分、埋められますか。
やりたい仕事があるのなら、それを続けるということが幸せではないでしょうか。

社会保険事務所が、とやかく言うことではないのです。
自分の生き方は自分で決める!
年金のために、自分の生き方をあきらめることはないと思います。
75歳になっても人生これからと思えるような生き方を選んでほしいと思います。
私もそうありたいものです。

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