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知っておきたい年金のはなし    第209号 2009年3月12日発行

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週に1度は社会保険事務所に行きます。
なるべく出向かないでよい方法で手続き業務を行っているのですが、窓口で確認したいことも出てきます。

最近、待ち時間が長いのです。(私の地域での話です)
人数はそうでもないのに、やたらと待たされます。
よく観察すると、健康保険の資格証明書の発行に手間取っているようです。

協会けんぽがスタートし、社会保険事務所では、健康保険証を発行しません。 社会保険事務所から協会けんぽへ書類を送るので、健康保険証の発行に、1週間から10日程度かかります。
その間に保険証が必要なこともありますね。
そのときには、資格証明書を発行してもらうのですが、これに時間がかかるのです。

証明書を発行するのなら、健康保険証を出したほうが早いのにと思ってしまいます。
協会けんぽがスタートして、どういうメリットがあったのか、私にはわかりません。

先日、協会けんぽの都道府県別保険料が発表されていました。
北海道が最高で、8.26%。長野が最低で7.25%。
現在、全国一律8.2%の保険料が、変更されるのです。
また、これで、いろいろと問題が起こると思います。

さて、今日は、遺族年金についてのお話です。

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第209号 妻が受給する遺族厚生年金
★★★ 同居人でも遺族年金をもらえるか? ★★★
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先月、智子さんの夫が死亡しました。64歳でした。病気療養中でしたが、元気になるものと思っていたし、こんなに早く逝くとは予想もしていませんでした。

智子さんはなんとも言えない気持ちで過ごしていましたが、死亡後のいろいろな手続きをしなくてはなりません。
「遺族年金の手続きは早くしたほうがいいよ」と周囲の人はいいます。
しかし、智子さんには心配なことがあります。

それは、戸籍上の夫婦でなかったことです。
さまざまな事情から離婚をしましたが、別れるつもりはなく、ずっといっしょに暮してきました。
再び、籍を入れてもよかったのですが、そのままになっていました。

夫が病気になってからは、収入は夫の年金だけ。
健康保険料の負担も大きかったので、智子さんだけ、同居している息子の健康保険の扶養家族となっていました。

こんな状況で智子さんは遺族年金をもらえるのでしょうか。
戸籍も別、健康保険も別で、妻として認められるのでしょうか。
しかも、住民票の続柄は「同居人」となっていました。

夫が世帯主、智子さんは同居人です。

●死亡した夫の要件

智子さんの夫は、老齢厚生年金受給中に死亡しましたので、その妻は、遺族厚生年金を受給できます。

●遺族である妻の要件

妻であれば、遺族年金の対象となりますが、生計同一、生計維持関係にあることが要件です。
簡単にいうと、「いっしょに暮していること」ですね。
ただし、妻の年収850万円未満という要件があります。
収入が850万円以上ある人は、生計維持関係がある妻とはみなされません。

●法律婚の場合

法律婚の場合は、戸籍謄本で証明できます。
しかしながら、戸籍上の夫婦であっても、必ずしも生計が同じとはいえないので、住民票でいっしょに暮していることを確認します。

●住民票が別

単身赴任とか、親の介護とか、諸事情で住民票が別になっていることもあります。
そのような場合は、事情を申立てします。

●事実婚の場合

法律婚はもちろんのことですが、事実婚でも問題ありません。
ただし、事実婚の場合は、婚姻関係にあるということを証明しなければなりません。

●住民票の続柄

証明のために一番よいのが、住民票で「未届の妻」「未届の夫」となっていることです。
「同居人」では、いっしょに暮していることを証明できても、妻であることを証明できません。

●同居人となっていた

智子さんの場合は、「同居人」となっていました。
智子さんは、「未届の妻」なる続柄があることさえ、知らなかったのです。

●健康保険も別

智子さんは、健康保険も夫とは別でした。
息子の扶養家族となっていました。
これでは、息子に扶養され、夫には扶養されていなかったとみられるかもしれません。

●健康保険の扶養が条件ではない

健康保険の扶養家族になっていないと、生計維持関係が認められないと思う人もいるようです。
生計維持関係を証明できるもののひとつとして、健康保険の扶養家族となっていることがありますが、それは絶対条件ではありません。

●妻であることをどうして証明する?

申立書で事情を説明し、妻であることを申し立てます。
また、第三者の証明も出します。
その他、葬儀の喪主になっていたので、会葬御礼状などの証拠品を出します。

●結局、どうなった?

智子さんは、同居人という続柄でしたが、妻であったことが証明でき、遺族年金を受給できることになりました。

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社会保険の窓口では、「同居人ではむずかしいですよ」「健康保険が別になっていたのは問題です」などと言われました。
年金の知識がない一般の人であれば、もらえないのではないかと、とても不安になります。
智子さんもそうでした。
心配でしかたなかったのです。

しかし、智子さんは、亡き夫の「妻」でした。
事実をきちんと証明すればよいのです。
妻であったという事実を、わかるように示せばよいのです。

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