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知っておきたい年金のはなし    第210号 2009年3月23日発行

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年金記録の確認には時間がかかるとは言われていますが、今のように時間がかかると、国は本当にやる気があるのかと思います。

一昨年の12月に年金記録を問い合わせた方の例です。
半年後(昨年の5月)なって、記録はみつからなかったと社会保険事務所から連絡がありました。
そして、すぐに年金記録確認第三者委員会へ。
社会保険事務所の調査を経て、第三者委員会へまわったのが、7月。
その年の12月に届いた第3者委員会からの連絡では、担当者も決まらず、保留しているとのことです。
1月にやっと担当者が決まり、調査を開始。
今月、しびれを切らして問い合わせると、まだ、調査中でした。

戦争中の古い記録なので、簡単には調べられないとのこと。
簡単でないのはわかります。
しかし、このような結果を招いたのは、国の責任です。
その責任の取り方とは、少しでも早い解決です。
そのためには、人員を増やすとか、関係各所の協力体制を整備するとか、やるべきことはあるはずです。

これで記録が見つかったとしても、年金として受け取るのに、また、1年以上待たされるのです。
その前に、命がつきてしまうかもしれません。

さて、今日は、遺族年金のお話です。

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第210号 妻が受給する遺族厚生年金
★★★ 障害厚生年金から遺族厚生年金へ ★★★
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幸恵さんは、先月、37歳の夫を亡くしました。
昨年、夫は病気のために退職、その後、療養を続けていました。病状は悪化していましたが、実は、病気が原因ではなく、不慮の事故で亡くなったのです。
幸恵さん夫婦には子どもはいません。
あとに残された幸恵さんは、遺族年金はどうなるのか社会保険事務所でたずねました。
しかし、何ももらえないというのです。

子どもがいないので、遺族基礎年金は対象外です。
遺族厚生年金も要件に該当しないというのです。
夫は大学卒業後、ずっとサラリーマンでした。退職後は、国民年金の保険料免除を受けてきました。
滞納などなかったのに、何ももらえないと言われたのです。
40歳の幸恵さんは、これから働くことを考えていますが、ずっと専業主婦だったので、今後の収入を考えると不安です。
ほんとうに遺族年金をもらうのは無理なのでしょうか。

●遺族基礎年金の要件

子どものいる妻ではないともらえません。子どもとは、18歳の年度末までの子(一定の障害ある場合は20歳未満)という要件があります。
子どものいない幸恵さんはもらえません。

●遺族厚生年金の要件

亡くなった夫の要件として、いくつかあります。
そのうち、ひとつでも要件を満たしていればよいのです。

●在職中の死亡

在職中であればよかったのですが、夫はすでに退職していました。
ですから、在職中の死亡には該当しません。

●初診日から5年以内の死亡

幸恵さんの夫の場合は、これにも該当しません。
病気が発見されてから、1年8か月。
初診日から5年以内の死亡ですが、死亡の原因は、病気とは関係のないことでした。
ですから、初診日から5年以内の死亡という要件にも該当しません。
病気で亡くなったのであれば、この要件に該当しました。

●受給資格期間を満たした者

老齢厚生年金の受給資格期間を満たした者とは、まだ年金をもらえる年齢ではないけれど、すでに老齢厚生年金をもらうのに必要な25年(生年月日による特例あり)を満たしている人ということです。
しかし、幸恵さんの夫は、37歳で亡くなりましたので、この要件も満たしていません。

●1級、2級の障害厚生年金

1級、2級の障害厚生年金の受給権のある人が亡くなった場合は、遺族厚生年金の要件に該当します。
これはどうでしょう。
幸恵さんの夫は障害厚生年金を受給していませんでした。
病気が重いので、障害厚生年金について問い合わせてみようと思っているときに、亡くなってしまいました。

●障害厚生年金はもらえる?

幸恵さんの夫の初診日は、厚生年金加入中です。
保険料納付要件にも問題はありません。
死亡の2か月前が障害認定日にあたる1年6か月でした。
障害認定日において、1、2、3級に該当しているのであれば、障害厚生年金を受給できます。

●1、2級であれば

1、2級の障害厚生年金の受給権者の死亡であれば、幸恵さんは遺族厚生年金をもらえます。
死亡原因は問いません。

●障害厚生年金を請求し、遺族厚生年金につなげる

すでに夫は死亡していますが、認定日請求をします。
夫の障害厚生年金を未支給年金として幸恵さんが受け取ることになります。
それは、遺族厚生年金につながります。

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障害厚生年金とは本人の生活のために必要な年金ですが、他の要件では、遺族厚生年金をもらえない人にとっては、遺族厚生年金へとつなげていける年金なのです。
ただし、障害の状態が1、2級に該当しなくてはなりません。
3級であれば、遺族厚生年金にはつながりません。

幸恵さんの場合も、障害厚生年金については、亡き夫の主治医とよく相談してみなければなりません。

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