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知っておきたい年金のはなし    第215号 2009年5月7日発行

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最近、昔の年金のテキストを引っ張り出すことが多いです。
年金の歴史がわかっていないと、年金問題には対応できません。
当時の法律で判断するのですから。
いつ、何がどのように改正されたかがわかっていないと、とんでもない間違いをしてしまうこともあります。

古いテキストを処分しないでよかったと思うことも、たびだびです。
調べるのは大変ですけれど・・・

今日のお話には、老齢基礎年金をもらう条件についてです。
「こんな基本的なこと?」と思われるかもしれませんが、大切なことをしっかり理解したいと思います。

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第215号 老齢基礎年金の受給資格要件
★★★ 無年金は私のせい? ★★★
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加代子さんは昭和6年生まれです。
現在、無年金者です。これからも年金をもらえません。

加代子さんは24歳で結婚しました。昭和30年のことでした。
それまで加代子さんは、近所の商店で働いていました。
厚生年金には加入していない、小さな商店でした。

24歳で結婚した加代子さんは、ずっとサラリーマンの妻でした。
そして昭和53年に離婚。47歳でした。
そのあと、年金制度へは未加入のままになっていました。

一度、年金について、問い合わせに行きましたが、「今から加入してももらえません」と言われ、あきらめてしまいました。
現在78歳です。
一度も保険料を払っていなかったので、もらえないのはしかたないと思いますが、ほんとうにもらえる方法はなかったのでしょうか。

●昭和6年生まれの女性

昭和6年生まれの人は、国民年金だけでは25年の受給資格期間が必要です。
生年月日による期間短縮の特例もありますが、昭和5年4月2日以降生まれの人は25年となっています。

●受給資格期間

受給資格期間としては、保険料納付済期間・免除期間・合算対象期間(カラ期間)があります。
加代子さんには、保険料納付済期間と免除期間はありません。
カラ期間はどうでしょうか。

●サラリーマンの妻

加代子さんは結婚してから離婚するまで、23年間サラリーマンの妻でした。
しかし、カラ期間となるのは、国民年金制度が発足した昭和36年4月以降の期間です。
つまり、昭和36年から昭和53年(離婚)までの17年間については、カラ期間となります。

●あと8年?

47歳で離婚した加代子さんに、あと8年、国民年金保険料納付済(免除)期間があれば、25年の受給資格期間を満たしました。

●手続きしておけばよかった

離婚当時、国民年金への加入手続きをしておけばよかったのです。
60歳になるまであと13年ありました。
カラ期間を加えると、少ないながらも年金をもらうことができたのです。

●保険料を払えなかった

加代子さんは自分の生活を支えるのが大変で、保険料を払える状態ではありませんでした。
そんなときは、免除を受ければよかったのです。

●旧法では

昭和61年前は、すべての被保険者が60歳になると国民年金被保険者の資格を喪失していました。
つまり、60歳以後に国民年金の被保険者になることはできませんでした。
昭和61年改正後に、60歳以降、任意加入できるようになったのです。

●65歳以降の任意加入

さらに、平成7年4月から、年金をもらう資格のない人は、70歳に達するまで、任意加入できるようになりました。(詳細は省きますが、生年月日など要件に該当している人です)

●相談もしたけれど

加代子さんは一度、国民年金課に相談に行ったことがあります。
時期は定かではありませんが、相談に行ったときはすでに遅く、それから保険料を納付しても、25年を満たすことができないと言われました。

それで、そのままになってしまい、現在は、無年金者です。

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離婚から60歳まで13年ありました。
そのうちの8年、保険料納付済期間や免除期間があればよかったのです。
さらに法改正で65歳までの任意加入ができるようになりました。
57歳で気がついて、8年保険料を納付すれば、65歳で、ぎりぎり、8年分の老齢基礎年金をもらうことができたのです。

加代子さんは、年金制度を知りませんでした。
確かに一度も保険料を納付せず、年金がほしいとは言えません。

でも、もし加代子さんが離婚せず、そのまま妻であったのならどうでしょう。
昭和61年4月からは第3号被保険者となります。
一度も保険料を払わないということは同じですが、老齢基礎年金をもらうことができたのです。
しかも、サラリーマンの妻には、振替加算があります。

知らなかった責任はあるでしょうけれど、離婚という選択で、年金においては大きな不利益を受けることになりました。

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