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知っておきたい年金のはなし    第217号 2009年6月22日発行

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先週、福岡県高齢者・障害者雇用支援協会の職業生活設計セミナーで「65歳」をテーマにお話させていただきました。
これまで、ライフプラン基礎編と実践編を担当してきました。
基礎編はライフプランの立て方、実践編は具体的に役立つ内容です。
今回、はじめての応用編です。テーマは「65歳」

年金セミナーでは、年金のしくみ、60歳からの年金についてお話していたら、2時間ぐらいすぐに終わってしまいます。
確かにそれが基本になるのですが、65歳以降のことも知りたいですね。

新しいテーマでお話する機会を作ってくださったのは、私にとっても、うれしいことでした。
そこで、今回は65歳をテーマにお話します。

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第217号 次の節目年齢は65歳
★★★ 65歳で何が変わる? ★★★
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良夫さんは現在64歳です。
60歳定年後、継続雇用制度を希望し、働き続けてきました。

収入は、給与と年金と高年齢雇用継続給付といいたいところですが、高年齢雇用継続給付は対象外、年金も支給停止額が大きく、わずかです。
まあ、その分、給料をもらっているのですが。

さて、これからのことを考えています。
技術職である良夫さんは、後輩の指導のため、65歳以降も働いてほしいと言われています。
良夫さんの健康には問題がありません。病気もないし、元気です。

また、妻も働くことをすすめます。
もっとも、趣味も友達も多い妻にとって、「毎日が日曜日」の夫が家にいないほうがいいみたいなのですが・・・
良夫さんも、「毎日が日曜日」になっては心配です。

しかし、これまでたくさん保険料を払ってきたのに、年金はどうなるでしょうか。
65歳以降、働き続けたら、結局、ほとんどもらえないままになってしまうのではないでしょうか。

●65歳で変わること

65歳で変わるのは、年金、雇用保険、介護保険です。

●65歳からの年金

60歳から老齢厚生年金をもらっていた人は、65歳で年金の計算式が変わります。

老齢基礎年金と老齢厚生年金をもらうようになります。

●何もかわらないよ

金額が変わらない人もいますね。
ずっとサラリーマンとして厚生年金に加入してきた人で、すでに60歳で退職している人は、65歳以降も、年金額はほとんど変わりません。
でも、その内訳が変わっているのです。

●60歳以降働き続けた場合

60歳以降の厚生年金加入に加入し働き続けてきた人は、65歳で再計算され、年金が増えます。
増え方については、人それぞれですが、増えることには間違いありません。
働きながら、年金を増やしてきたということなのですね。

●65歳以降も働き続ける場合

65歳以降、厚生年金に加入しながら働き続ける場合、どんなに給料が多くても、老齢基礎年金はもらえます。

●年金カットの対象は、2階の年金(報酬比例部分)だけ

そのカットの方法も、65歳未満とはうってかわって、ゆるやかになります。
年金月額と給与(標準報酬月額)と賞与の12等分が48万円以下であれば、年金はカットされません。

●良夫さんは、

良夫さんは、65歳未満は、38万円の給与(ボーナスはなし)、15万円の年金ですが、実際に受け取る年金は、わずか2.5万円しかありませんでした。
しかし、65歳になれば、老齢基礎年金は全部もらえます。
そして老齢厚生年金も、基準の範囲内となりますので、全額もらえます。

●働くものいいね

年金全額もらいながら、なおかつ、給料もある!
元気であれば、生きがいのために、無理なく働くものいいですね。

●雇用保険はどうなるの?

年齢で受け取る金額がかわります。
65歳未満で(65歳の誕生日の前々日までに)退職すれば、雇用保険からの給付は150日分、65歳の誕生日以降に退職すれば、50日分です。

●100日分も変わるの?

そうです。1日あたり6000円としても、60万円の違いになりますね。
基本手当と高年齢求職者給付金、65歳でしくみがかわるのです。

●働き続けることで収入は増える

手取りで考えると、入ってくるお金は、働き続けたほうが、当然増えます。

●年金との調整

60歳から65歳になるまでは、老齢厚生年金と雇用保険の基本手当は両方もらえません。
しかし、それは、65歳になるまでです。
たとえば、64歳11か月で退職し、基本手当をもらう期間が65歳以降になると、両方もられます。

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正しい情報で判断する。
私はこれにつきると思います。
生き方に正解はありません。いろいろな迷い道にたったときに、自分で選んでいくしかないですね。
そのときの判断材料が正しい情報です。

良夫さんは、働き続けることにしました。
ただし、働く日数を少し短くすることにしました。
最大の心配であった年金も全部もらえることだし、雇用保険は、働く意思がなければもらえないものです。
どこまでできるかわかりませんが、これからの若い人たちに自分の技術を伝えてくことを、自分の生きがいにしていこうと思います。
妻も安心したようです。

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■□■ お知らせ ■□■ 
●西日本新聞社 シティリビング新聞に掲載されました
シティウェーブでご覧ください。
http://www.lisa.co.jp/citywave/webliving/0612/index.html
「知っておきたい年金基礎知識」をクリックしてください。

●アサヒSR年金研究会からのお知らせ
7月5日(日)13:00〜16:30 
会場:福岡市中央区 中央市民センター
内容:共済年金
共済年金について学ぶ機会は多くありません。
詳細な資料もありますので、ぜひ、この機会にご参加ください。
会員以外の方のオープン参加も募集しています。
お問い合わせ・お申し込みは、アサヒSR年金研究会 info@asahi-sr.com
※ 講師は社会保険労務士(大阪会会員) 小林賢介氏です。