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知っておきたい年金のはなし    第223号 2009年9月11日発行

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昨年の5月に第三者委員会へ出した申立て。
先日、やっと結果が届きました。
1年以上かかったわけですが、社会保険事務所での調査期間を含めると、かれこれ2年ほどかかっています。

よい結果であれば、「待った甲斐があった」となりますが、不本意な結果であれば、ますます、怒りが高まります。

現在の第三者委員会の判定基準であれば、救われない人が多いでしょう。
保険料を払っていないのに払っているという人もあるでしょうから、証拠は必要でしょう。
しかし、「証拠主義」(状況証拠も含めます)が変わらなければ、永久に救われない人も出てきます。

政権交代したので、ぜひ、年金記録問題を見直してほしいと思います。

今日は第三者委員会への申立てについてのお話です。

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第223 第三者委員会からの通知
★★★ これで救われますか?  ★★★
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75歳の梅子さんは、年金がありません。
自分の年金は期間が不足してもらえませんでした。
それはわかっていますが、「どうして遺族年金をもらっていないの?」と聞かれます。
夫は、若いころから自営業をはじめるまで船員でした。ずっと船に乗ってきました。

梅子さんは夫が亡くなったときに、社会保険事務所で問い合わせたのですが、「もらえない」とのこと。
だから、もられないものと思ってきました。

しかし、年金記録問題が表面化して、まわりの人から「それはおかしいよ」と言われて、記録を調べてみました。
そうすると、6年ほどの記録が出てきました。
しかし、これでは遺族年金はもらえません。
その他にも夫は働いていましたので、さらに調査を依頼しました。

第三者委員会への申立てをしましたが、長い間待って、結局、認められませんでした。
これからもずっと年金なしで暮していくのかと、梅子さんは不安でなりません。

●勤務証明があったのに!

梅子さんの夫が大事に持っていたものがあります。
A社の勤務証明書です。
戦争中の話になりますが、いつからいつまで働いていたという証明書を持っていたのです。

●大企業だったから

梅子さんは、大企業で働いていたので、保険に加入していないことはないだろうと思いました。
だから勤務証明書を第三者委員会へ提出しました。

●働いていたことは認める

でも、年金にはつながらなかったのです。
通知には、「働いていたことは認める」と書いてあります。
しかし、「働いていたこと」と、「保険料を納めていたこと」は違うというのです。

●保険料を納めていたこと

旧台帳も探した、会社にも問い合わせた、しかし、どこにも被保険者として確認できるものはなかったということです。
だから記録の訂正はできないということです。

●証拠がない

梅子さんは「証拠はありませんか」「同僚などの証言してくれる人はありませんか」と第三者委員会の担当者に聞かれました。 しかし、勤務証明以外に何もありません。
当時の給与明細は残っていません。
戦争中のことで、戦後は、身ひとつで故郷へ引き上げてきた人が、給与明細など、持っているはずもありません。
勤務証明は頼りになる証拠だと思ったのですが・・・

●当時の同僚

亡くなった夫は、生きていれば100歳を超えます。
当時の同僚が何人、生きているでしょうか。

●証言してくれそうな人

それでも、梅子さんには当時のことを知っていると思える人に心当たりがあります。
居場所もわかりました。
しかし、認知症で、何もわからないそうです。
どう考えても証言は無理です。

●会社に記録がない

会社にも何も残っていないようです。
残してないからといって、会社の責任でもありません。

●旧台帳にもない

社会保険事務所の台帳にもないということでした。
火事で焼失していたり、処分していたりで、ないものもあるでしょう。
ないからないで、すまされますか。

●保険料が決め手

第三者委員会は保険料を納めていたことが確認できるかどうかで判断していると思われます。
直接的な証拠があればよいのですが、状況証拠でも認められているケースがあります。
しかし、なんであれ、「証拠ありき」には変わりありません。

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真実はわかりません。
記録がないといっても、もともと記録がなくて今もないのか、あった記録がなくなっているのか、それはわからないのです。
あった記録がなくなっているから、問題となっているのです。
行政が紛失した記録を「ないからない」と言われたら、たまったものではありません。

亡くなった人の記録を確認する場合、本人がいないので、確認のしようがありません。
このようなケースでは、政治的な判断に期待するしかないですね。

年金記録確認第三者委員会へ期待できることと、期待できないことがよくわかりました。
しかし、このままでは、梅子さんは救われません。

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