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知っておきたい年金のはなし    第238号 2010年3月11日発行

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3月分から健康保険料も介護保険料も上がります。
大幅なアップです。

4月分から雇用保険料も上がります。

保険料のアップが、景気にも影響を与えるのではないでしょうか。

でも、年金額は上がりません。
そして、在職老齢年金の計算が変わります。
ほんの少し。
年金受給者にとっては、よい話ではありません。

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第238号 4月からの年金額
★★★ 在職老齢年金の計算が変わる ★★★
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俊彦さんは66歳。会社の代表取締役です。
そろそろ、次の世代にまかせたいとは思っていますが、まだまだ気を抜けません。

俊彦さんは、現在、役員報酬と年金で暮らしています。
65歳以上の人は、役員報酬(標準報酬月額)と年金月額が48万円以下であれば、老齢厚生年金は全額もらえると言われました。
それにあわせて役員報酬を決めました。
役員報酬を下げ、その分、次の世代の給与を厚くしました。
なんといっても、俊彦さんには年金があるのですからね!

ところが、4月以降、在職老齢年金の計算式が変更になると聞きました。
もしかすると、年金が減額されるのではと、俊彦さんは気になってきました。

俊彦さんは、年金を少しばかり減額されても困るようなことはありません。
しかし、これまで長い間保険料を払ってきたのに、年金がカットされるのは、なんだか、納得できないのです。

●65歳台後半の在職老齢年金

65歳をすぎると、それまで老齢厚生年金が全額支給停止になっていた人も、老齢基礎年金は全部もらえます。

●65歳以降の支給停止対象は

65歳以降は、2階の年金、報酬比例部分が支給停止の対象となるのです。

●基準額48万円

ここで登場するのが48万円という基準額です。
俊彦さんには賞与がありませんので、役員報酬と年金月額を足したものが、48万円を超えるかどうかが問題なのです。

●48万円を超えると

総報酬月額相当額(標準報酬月額と直近賞与の12分の1)と年金月額を足したものが48万円以下であれば、年金は全部もらえます。 48万円を超えれば、超えた分の2分の1がカットされます。

●48万円が47万円に

この48万円を、支給停止調整額といいます。
言葉は難しいですが、何が変わるかということ、この48万円が47万円に変更されるのです。

●きびしくなるの?

そうですよね。
48万円、ぎりぎりのラインにいる人は、これまでカットされなかった年金がカットされることになります。

●誰がこんなことを決めたの?

これは以前から決まっていること。
平成16年に48万円という基準額が出てきましたが、毎年、名目賃金変動率で計算しなおすということもすでに決まっていること。
今になって決まったのではなく、変動率を掛けた結果です。

●でも今までずっと同じだったよね?

1万円単位で変更するのです。
これまでも毎年計算されてきたのですが、変更にまで至らなかったということです。

●もう決まったの?

名目賃金変動率は発表されています。
それにもとづいての政令は、3月末に出される予定です。
政令はまだですが、変動率は確定しているので、来年4月からは変更となります。

●俊彦さんの年金

どうしてもカットされるのがいやであれば、役員報酬を下げて調整するしかありません。
しかし、今から役員報酬を変更しても4月の年金にはまにあわないです。
また、役員報酬の変更については、取締役会での決定など、所定の手続きが必要です。

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48万円×1.003×0.996×1.002×0.998×1.011×0.976
手元に電卓のある人は計算してみてください。
答は473,152円
この計算式が47万円の根拠なのです。
計算の結果、5000円未満は切り捨て、5000以上は切り上げとしているため、今回1万円下がることになりました。
こんなめんどうな計算をしているので、普通の人にはわかりませんね。

48万円は60歳台前半の在職老齢年金の計算式にも登場します。
(支給停止調整変更額も47万円になります)

4月からの年金額は変わりません。しかし、変更になることもあるのです。
政令が出たら、再度、確認してください。

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■□■ お知らせ ■□■ 
●アサヒSR年金研究会からのお知らせ
次回の福岡での勉強会の日程が決まりました。
5月30日(日)13:00〜
福岡市中央区 中央市民センター
「ビジネスにつながる年金(年金業務で収入を得て食べていけるか)」
アサヒSR年金研究会は大阪の社会保険労務士小林賢介氏の主催です。
会員外のオープン参加も受け付けています。
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●マイアドバイザーでコラムを担当しています。
テーマは「社会保険」です。
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