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知っておきたい年金のはなし    第240号 2010年4月2日発行

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福岡では桜がきれいに咲いています。
でも、まだ寒くて、お花見という感じではありません。

「女性のための年金相談室」もたくさんの方にご利用いただいています。
もちろん、男性でも女性でも、ご利用いただけます。

ご相談をいただく中で、知らないで損をしていたということがよくあります。
知っているか、知らないか、年金ではその違いが大きな金額の差となってしまうのです。

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第240号 第3号被保険者特例届出
★★★ 気がつくのが遅かった ★★★
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菊子さんは73歳です。
自分の年金記録に疑いを持ったことはありませんでした。

菊子さんは、23歳からずっと働き続けてきました。
30歳で結婚し、その後、出産、育児と続きましたが、母親と同居していたこともあり、仕事を続けてきました。

そして、母親の介護のため、57歳で退職。
菊子さんは58歳から老齢厚生年金を受け取っています。
昭和12年5月生まれの菊子さんは、58歳からもらうことができました。

おかあさんはそれからまもなく、亡くなりました。
そして、菊子さんが61歳のときに、夫が65歳で亡くなりました。
これから、ふたりでゆっくり旅行にも行こうねと言っていた矢先、脳梗塞で亡くなってしまったのです。

菊子さんには夫の遺族厚生年金の権利も発生しました。
遺族厚生年金の方が多かったので、遺族厚生年金を受け取り、65歳からは自分の老齢基礎年金と遺族厚生年金を受け取っています。
(注意:現在は法改正により、自分自身の老齢厚生年金を優先して受け取ります)

年金記録には何の問題もないと思っていましたが、あるとき、第3号被保険者期間の届出もれがあるとわかり、手続きをしました。
手続きは問題なくできました。
ところが、年金はさかのぼって支給されないのです。
納得できません。

●3号被保険者

第3号被保険者とは、第2号被保険者に扶養されている配偶者です。
夫がサラリーマン、妻(20歳以上60歳未満)が専業主婦といったケースでは、妻は第3号被保険者として国民年金に加入します。
保険料の負担はありません。

●届出が必要

第3号被保険者は昭和61年4月からスタートしたしくみです。
届出を出さないと第3号被保険者にはなれません。

●菊子さんの場合

菊子さんは57歳で退職しました。平成6年のことです。
当時、夫は会社員でしたので、すぐに健康保険の扶養家族になりました。
しかし、自分自身の年金受給を間近に控えて、菊子さんは国民年金への加入が必要だとは思いませんでした。

●第3被保険者になれたのに

菊子さんは、57歳から60歳までの3年間、第3号被保険者になれたのに、なりそびれてしまったのです。

●そんなことはわからないよ

そうとは知らない菊子さんは、73歳まで気がつきませんでした。
年金記録問題が騒がれて、念のためにと調べてみたところ、57歳から60歳まで年金記録に空白があることがわかりました。
空白期間は、第3号被保険者期間であったことがわかりました。

●特例届出

そこで、第3号被保険者の特例届出をしました。
当時、政府管掌健康保険に加入していた夫の扶養家族でした。
その記録があったので、手続きは簡単でした。

●増える年金

3年分の老齢基礎年金が増えます。
6万円弱ですね。
手続きひとつで、これだけ年金が増えるのかと、菊子さんはびっくりしました。

●本来なら

57歳当時に手続きしていたのなら、65歳から正しい年金がもらえていたのです。
また、特例届出のしくみができたのは平成17年でした。
そのときに、手続きしていれば、少なくとも、その時点から増額された年金をもらえていました。
すでに73歳の菊子さんは、8年間も少ない年金をもらっていたことになります。

●年金額は増えたのに!

年金額の改定は、手続きした翌月からです。
第3号被保険者の特例届出では、過去にさかのぼって、再計算されるわけではありません。
もっと早く気がついて手続きしておけばよかったのです。

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第3号被保険者の届出もれがある場合、まだ年金を受給していない人については、手続きが多少遅れても影響はありません。
しかし、すでに65歳をすぎて老齢基礎年金を受給している場合は、1月でも早い方がよいのです。

考えてみれば、さかのぼって訂正してもよいような気がします。
知らなかったというのは、本人の責任だけはないでしょう。

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■□■ お知らせ ■□■
●アサヒSR年金研究会からのお知らせ
次回の福岡での勉強会は
5月30日(日)13:00〜
福岡市中央区 中央市民センター
「ビジネスにつながる年金(年金業務で収入を得て食べていけるか)」
アサヒSR年金研究会は大阪の社会保険労務士小林賢介氏の主催です。
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