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知っておきたい年金のはなし    第241号 2010年4月2日発行

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海外に住んでおられる方からご相談のメールをいただくことがあります。
最近もご相談があり、
「時差があるので日本への電話はかけにくい。メール相談でたすかりました」とのこと。
年金事務所に行くことのできない海外に住む日本人の方には、メール相談が利用しやすいのではないかと思います。

さて、こんなニュースがありました。

●結婚・出産後も障害年金の加算が可能に(4/10)
障害年金受給者の加算制度を拡充する国民年金法などの改正案が衆議院厚生労働委員会で可決された。
障害年金受給後に結婚・出産しても加算が受けられる内容で、約7万人が対象となる見通し。
今国会で成立後に2011年4月から適用される予定。

どういった内容なのか、お話ししましょう。

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第241号 障害年金の加算額
★★★ あとになっての結婚や出産 ★★★
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幸一さんは27歳のとき、不慮の事故に遭い、足が不自由になりました。
22歳から会社にお勤めしていた幸一さんは、その後、障害基礎年金と障害厚生年金を受給するようになりました。

なんとか生活しているだけのお金は入ってくるようになりましたが、お金の問題だけではありません。
これからいろいろなことをやってみたかった幸一さんは、身体が不自由になったことで、自暴自棄になった時期もありました。
幸一さんには婚約者がいたのですが、この事故のため、婚約を解消しました。

その後、障がい者のボランティアとして活動していた、春美さんと知り合いました。
そして、春美さんと結婚。
身体の不自由な幸一さんを受け入れてくれる職場にもめぐりあい、再び、働くようになりました。
うれしいことに、幸一さんと春美さんには赤ちゃんが誕生します。

障害年金には、扶養する家族があると、加算がありますが、幸一さんに子どもが生まれたら、加算額はプラスされるでしょうか。

●障害基礎年金額

障害基礎年金額は、障害等級によって金額が決まります。
2級は792,100円。1級は25%増しです。
子どもがいる場合、加算額があります。

●子どもの条件

子どもとは、18歳の年度末までの子。障害等級1、2級に該当する子は20歳未満の子。
そして、障害年金の権利が発生したときに、扶養していた子(年金用語では、生計維持関係にある子)です。

●受給権発生

通常は、初診日から1年6ヵ月が障害認定日となりますので、その時点で、扶養していた子があれば、加算されるということです。
もちろん、その後も、扶養していないと加算対象になりません。

●受給権発生当時、お腹の中にいた赤ちゃんは?

赤ちゃんが生まれたその翌月から、障害基礎年金に加算額がプラスされます。

●そのあとに妊娠・出産した子は?

加算額の対象にはなりません。

●扶養している妻はどうなる?

妻への加算は、障害基礎年金にはありません。
障害厚生年金の権利が発生したとき、生計を維持している妻があれば、加給年金額がプラスされます。

●配偶者の加算は障害厚生年金で

妻は、障害厚生年金での加算対象です。
ただし、この場合も受給権発生当時で判断します。
幸一さんのように、障害年金をもらえるようになってから結婚した妻は、加給年金額の対象にはなりません。

●特別加算はない

対象となる妻がある場合は、加給年金額は加算されますが、老齢厚生年金のように、特別加算はありません。
妻への加算は、396,000円ではなく、227,900円だということです。

●改正案の内容は

今回の改正案は、幸一さんのようなケースが対象になります。
障害年金をもらうようになってから結婚し、子どもが生まれた場合、妻や子を加算の対象にしようというのです。

●老齢厚生年金の配偶者加給年金

ただし、改正案は、障害年金に限っています。
老齢厚生年金にも配偶者への加算(加給年金)がありますが、該当する年齢で対象となる配偶者がいなければ、その後に結婚しても、加給年金はもらえません。

●65歳以降に結婚しても、もう遅い!

長年、厚生年金に加入しているサラリーマンが60歳で離婚し、66歳で再婚したといっても、再婚した妻に対しての加給年金はないのです。

改正案は、障害年金だけに限っていますので、お間違いなく。

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最近の年金法改正、あるいはその取扱いの変更についてみていると、結局、法律は、どうにでも変更できのだというふうに感じます。

年金記録問題で騒がれてからは、いろいろな取扱いが、受給者に有利になりました。
「今まで、なんだったの!」と思いたくなることもあります。
なんだ、できるじゃないの・・・
そんな思いをしたことがたくさんあります。

かつて、社会保険事務所(現在:年金事務所)が「できません」と言っていたことが、いとも簡単に変更されていくのです。

はやり、声の大きさかもしれません。
「これはおかしいよ」と声をあげていくと、もっと私たちにとってよい制度になるでしょう。
ただ、財源の問題はありますが・・・

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■□■ お知らせ ■□■
●エフピー研究所の継続教育講座
5時間でわかる公的年金 年金達人FPになるために
5月29日(土)福岡にて(その他、全国の日程は下記HPを参照してください)
福岡会場では、菅野美和子が担当いたします。
内容としましては、事例をたくさん入れる予定です。
事例研究は年金の復習・理解への早道です。
http://www2.fplabo.co.jp/school/school922_nenkinseido3_apply.html

●アサヒSR年金研究会からのお知らせ
5月30日(日)13:00〜16:30
福岡市中央区 中央市民センター
「ビジネスにつながる年金(年金業務で収入を得て食べていけるか)」
アサヒSR年金研究会は大阪の社会保険労務士小林賢介氏の主催です。
会員外のオープン参加も受け付けています。
お問い合わせは アサヒSR年金研究会 → info@asahi-sr.com