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知っておきたい年金のはなし    第242号 2010年5月6日発行

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4月から雇用保険の加入基準が変更になっています。
パートタイマーなど、通常の従業員より短い時間で働く人は、週20時間以上、31日以上の雇用の見込みがある場合、雇用保険に加入となります。
「6ヵ月以上」が「31日以上」に改定されました。
でも、失業給付(基本手当)をもらうためには、通常1年間(会社都合は6ヵ月)は働かなくてはなりません。
2ヵ月の契約で、契約終了後は働く予定がないのに、雇用保険には加入。
もらえないとわかっているのに、保険料は払うということになります。

この改正は、働く人にとって、有利になったのでしょうか。

救済される人もあるでしょう。
しかし、雇用保険の手続きだけが増えて、ハローワークはますます混雑し、保険料だけ払って、結局はもらえない・・・
そんな気もします。

年金制度も改正が必要ですが、プラスになることばかりではありません。
年金確保支援法案もあり、目がはなせません。

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第242号 保険料の納付
★★★  2年から10年へ? ★★★
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信夫さんは65歳になりましたが、年金をもらえません。
20歳から15年間、厚生年金に加入しました。
そこで失業。
そのあと自分で事業をはじめましたが失敗し、病気にもかかり、苦しい日々でした。
目の前の生活に精一杯で、年金のことなど、考えたことがありませんでした。

何の手続きもせず、60歳になりました。
そのとき、年金の相談をしたところ、保険料を払ってくださいと言われて、また、そのままになりました。

65歳、これからのことが心配になってきました。
遅すぎたと思いましたが、自分の年金について再度調べました。
やはりもらえない!
今から70歳まで5年間、国民年金に加入しても、年金をもらうのに必要な25年を満たしません。
期間が不足しています。

老後はどうなるかわからないので、無年金はつらいなあと思うようになりました。
幸い、今は個人事業で、収入もあり、保険料は払えます。
昔の未納分を支払ってもよいので、なんとか、年金をもらうようにできないでしょうか。

●保険料の納付は2年が時効

国民年金の保険料を納付できるのは2年間に限ります。
2年を経過すると納付できません。

●徴収されることもない

これは、2年をすぎれば保険料は徴収されることはないということです。
もし、時効がなければ、未納のままになっている人は、いつまでも請求されることになります。
納付もできないが、請求されることもないということです。
(時効の中断の場合は別ですが、説明は省略します)

●信夫さんのケース

信夫さんは現時点で保険料納付済期間が15年。途中で生活保護を受けた期間があり、法定免除が4年あります。60歳時点で任意加入していれば66歳でもらえるようになったのです
でも、よくわからず、何もしていませんでした。

●国民年金の特例任意加入

65歳から特例で任意加入できます。
しかし、任意加入は70歳までです。
不足は6年。5年加入しても受給権を満たさないので、任意加入も無理です。

●他に方法は

今から厚生年金に加入すればあと5年で20年となりますので、特例で年金をもらえるようになります。
しかし、今からどこかへお勤めするということはできるでしょうか。
信夫さんの個人事業を法人化して、厚生年金に加入するという手はあります。
法人化は、年金のことだけでは決められませんが。

●法改正

年金確保支援法案が出されています。
これによると、未納の場合の納付可能期間を10年に延長し、希望により保険料を納付して、年金受給につなげることができるようになります。

●法律が施行されば

10年以内に未納期間があればまず納付し、それでも不足する分は任意加入する。
(特例任意加入は70歳まで)
そうすることによってなんとか25年になるかもしれません。

●過去分には加算あり

追納の場合でも、2年を超える分については、割増があります。
割増は覚悟の上!
現在、お金があり、保険料を納付できるのなら、法改正後は制度を利用して、年金につなげることができます。
ただ、信夫さんがどの時期滞納していたのかが重要です。
任意加入できる期間も限られますので、25年を満たすかどうか、検討が必要です。

●今しておくべきこと

とにかく、記録を確認しましょう。抜けている記録があるかもしれません。
カラ期間がとれるかもしれません。
カラ期間を含めて25年になればよいのです。
平成3年3月までの学生の期間はカラ期間です。
夫だって、配偶者に扶養されていた期間はカラ期間になります。

それでも不足する期間があるかどうかです。
法改正をみて、必要な手続きをとりましょう。
国民年金の納付可能期間の延長については、法案では、施行日が平成23年10月1日までの間に政令で定める日となっています。

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年金はリスクにそなえるもの。
貯金ではないのですね。
貯金だと考えると、もらえなければもったいないということになりますが、リスクに備えると考えると、もったいないとはならないでしょう。
そこから出発して考えないと、答はできません。

保険料をさかのぼって納付しても、その直後に死亡しれば、納付しないほうがよかったということになります。
長生きにどう備えるかと考えていきましょう。
損か、得かで考えると、いつまでたっても、行動できませんよね

…………………………………………………………………………………………… ■□■ お知らせ ■□■
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5時間でわかる公的年金 年金達人FPになるために
5月29日(土)福岡にて(その他、全国の日程は下記HPを参照してください)
福岡会場では、菅野美和子が担当いたします。
内容としましては、事例をたくさん入れる予定です。
事例研究は年金の復習・理解への早道です。
http://www2.fplabo.co.jp/school/school922_nenkinseido3_apply.html
リピーター割引、早期申込割引などの割引制度がありますので、HPをご覧ください。

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5月30日(日)13:00〜16:30
福岡市中央区 中央市民センター
「ビジネスにつながる年金(年金業務で収入を得て食べていけるか)」
アサヒSR年金研究会は大阪の社会保険労務士小林賢介氏の主催です。
会員外のオープン参加も受け付けています。
お問い合わせは アサヒSR年金研究会 → info@asahi-sr.com