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知っておきたい年金のはなし    第243号 2010年5月17日発行

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日本年金機構がスタートして約半年。
社会保険関係の手続きの流れはかわりました。

窓口への持参から郵送へ(あるいは電子申請)
郵送というのは便利ですが、書類を送る、事務センターから返送する、保険証は協会けんぽから送られる、と少なくとも3つの送付作業があります。
おまけに受付票などの添付もあり、郵送料に加えて、消費される紙資源は中途半端ではないと思います。
人件費削減になっているのでしょうか。

スピードは遅くなりました。
サービス改善になっているのか、なっていないのか、これからですね。

今日は在職老齢年金のおはなしです。

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第243号 在職老齢年金への影響
★★★  長く働き続けると・・・ ★★★
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武夫さんは、個人事業主です。
開業して5年。経営も安定してきて、税理士さんからは、法人化をすすめられています。
税金対策としては法人化がよいのでしょう。
しかし、社会保険はどうでしょうか。

武夫さんは、サラリーマン時代、厚生年金に17年加入していました。
退職し、開業しましたが、そのあとは国民年金に加入し、保険料はきちんと納めています。
法人化で、再び、厚生年金に加入しなければなりません。
厚生年金加入でメリットはありますか?

●法人化

個人事業主の場合は、従業員数や事業の種類によっては、社会保険への加入は強制ではありません。
しかし、法人化すれば、健康保険・厚生年金には強制加入です。
社長ひとりの会社であっても!

●厚生年金加入で

厚生年金に加入することで、年金額は増えます。
1階の年金は国民年金でも厚生年金でも同じ増え方ですが、2階の年金、報酬比例部分が加算されます。
国民年金では、どんなにがんばっても1階の年金だけですからね。

●保険料は?

標準報酬月額によりますが、標準報酬月額が高ければ保険料も高くなります。
しかし、それだけ年金も多くなるということです。
保険料に応じた年金が受け取れます。
年金額を増やすと言う意味では、厚生年金に入るメリットはあります。

●支給開始年齢

武夫さんは昭和32年5月生まれです。
63歳から2階の年金(報酬比例部分の年金)をもらえます。そして65歳から1階(老齢基礎年金)と2階の年金(老齢厚生年金)がもらえます。

●60歳以降の働き方

武夫さんは、事業主ですので、働き続けなければなりません。
後継者をみつけるとしても、65歳でリタイアなどとは考えていません。
まして63歳までは年金もないので、働かねばなりません。

●在職老齢年金

報酬が高いので、63歳から年金を受け取れるといっても、全額支給停止になるでしょう。
65歳からも、老齢基礎年金のみで、老齢厚生年金は全額停止になるでしょう。
(老齢厚生年金のうち、経過的加算は支給されます。詳細は省きます)
つまり、高い報酬で働き続けている限り、2階の年金は受け取れないのです。

●そうなると?

老齢基礎年金だけを受け取るのなら、国民年金に加入しているのと、なんらかわりありません。
元気で働き続けたとしたら、今後加入する厚生年金の保険料を取り戻せないかもしれません。

●健康保険は?

武夫さんは現在国民健康保険の最高額を納付しています。
しかし、健康保険に加入すれば、事業主負担分も合わせれば、さらに負担は多くなります。
健康保険ではどれだけたくさん保険料を納付しても、病気でもしないかぎり、メリットはありません。

●得か、損か

社会保険への加入が得か、損か、簡単に答はできないようですね。
事業主として働き続ければ、在職老齢年金のしくみで受け取れる年金額は少ない。
そうなると、国民年金のままで、その他の方法で確実に受け取れる老後資金に準備をしたほうがよいというもの間違いではありません。
しかし、働けなくなることもあるし、障害年金、遺族年金を考えると、厚生年金加入にはメリットがあります。

さて、どうしますか?

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武夫さんはわからなくなってきました。
結局、年金とは、収入がない人への保障なのですね。
収入があれば、在職老齢年金という形で、年金は支給停止されます。
しかし、元気でいつまでも働けるという保証はなく、リタイア後は、少しでも年金が多い方がありがたいのです。

元気で高い報酬を受け取れるのなら、これまで払った保険料は寄付したようなもの。
あくまでも「保険」であると認識し、何をリスクとして考えるかだと思います。

いつもお伝えてしていることですが、損得で考えると、答が出ません。

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■□■ お知らせ ■□■
●エフピー研究所の継続教育講座
5時間でわかる公的年金 年金達人FPになるために
5月29日(土)福岡にて(その他、全国の日程は下記HPを参照してください)
福岡会場では、菅野美和子が担当いたします。
内容としましては、事例をたくさん入れる予定です。
事例研究は年金の復習・理解への早道です。
http://www2.fplabo.co.jp/school/school922_nenkinseido3_apply.html
リピーター割引、早期申込割引などの割引制度がありますので、HPをご覧ください。
お席に限りがありますので、ご連絡はお早目に。満席の場合は、ご容赦ください。

●アサヒSR年金研究会からのお知らせ
5月30日(日)13:00〜16:30
福岡市中央区 中央市民センター
「ビジネスにつながる年金(年金業務で収入を得て食べていけるか)」
アサヒSR年金研究会は大阪の社会保険労務士小林賢介氏の主催です。
会員外のオープン参加も受け付けています。
お問い合わせは アサヒSR年金研究会 → info@asahi-sr.com