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知っておきたい年金のはなし    第245号 2010年6月1日発行

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「ねんきん定期便がよくわかる本」は電子書籍としても販売されています。
海外に住む方にもご購入いただいています。

海外に住む日本人の方にとっても年金は気になるだろうと思います。
すぐに電話相談などできないので、心配も多いでしょう。

電子書籍は、どこからでも購入可能ですので、どうぞご利用ください。
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さて、ねんきん定期便も2年目に入りました。
2回目の定期便が届くと、また、別の疑問がわいてきます。

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第245号 2回目の定期便
★★★  理解できない年金額 ★★★
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4月生まれの奈々子さんは30歳になりました。
素直にお祝いできないような気分でしたが、彼とふたりで誕生祝いをしました。
また、バースデイカードのように、ねんきん定期便が届きました。

昨年の定期便と比べてみました。
年金見込額は増えています。
奈々子さんは1年ごとに増えていくのだなあと思いました。

奈々子さんのお父さんは、今年58歳で、同じ4月生まれです。
お父さんにもねんきん定期便が届きましたが、両親は年金額が減っていると大騒ぎをしています。

お父さんは会社員です。
昨年も今年も同じ会社員で、引き続き厚生年金の保険料を払っているのに、年金見込額が減るってことがあるのでしょうか。

加入期間が長くなっているのに、年金額が減るのであれば、なんのために保険料を払っているのかわからないですよね。

●3種類の定期便

ねんきん定期便には3種類あります。
50歳未満の人用、50歳以上の人用、年金受給者で被保険者である人用です。

●50歳未満の人

定期便に記載されている年金見込額は、定期便作成時点での実績にもとづくものです。
奈々子さんは、厚生年金に加入しています。
昨年よりも加入期間が1年伸びていますので、実績にもどつく年金額も増えています。

●50歳以上の人

50歳以上の人の年金見込額は、60歳まで現在の年金制度に加入した場合の見込み額です。
奈々子さんのお父さんの昨年の見込み額は、60歳まで加入した場合の見込み額。
今年届いた見込額も、60歳まで加入した場合
最初から60歳まで加入として計算してあるので、期間が延びても、金額が増えるわけではありません。

●条件が変わらなければ同じ

昨年と同じ条件であれば、金額も同じになります。
厚生年金は、給料(標準報酬月額)とボーナス(標準賞与額)によって計算されます。
現在の給料と過去1年間のボーナスを12等分した額を合わせて平均額を出して、この金額が続くとすればという仮定で計算しています。

●不況でボーナスなし

奈々子さんのお父さんは、ここ1年ボーナスがありません。
給料も下がりました。
会社はなんとか持ち直してきましたが、しばらくはボーナスも期待できません。

●見込額が下がった原因

昨年の定期便作成時点と、今年では、給料などの条件が下がったのです。
平均額が下がれば年金額も下がります。

●増えていくことは実感できない

50歳以上の人は、ねんきん定期便で、年金額が増えていくことが実感できません。

●国民年金の場合

国民年金の場合は、なおさらです。
奈々子さんのお母さんは、ずっと国民年金です。
若い時から保険料を納付し、今は第3号となっていますが、昨年54歳だったお母さんの老齢基礎年金の見込み額は792,100円。今年もやはり、同じです。
来年も同じです。

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ねんきん定期便をみて、「どうして増えないの?」と思ってしまう人が多いかもしれません。
2回目の定期便は、年齢によっては、ますます混乱を招くかもしれません。
実績と見込を両方記載するなど、工夫がほしいところです。

しかしながら、毎年、定期便を送付する必要があるのだろうかという気もします
コストや資源の無駄であるようにも思います。
よい方法はないものでしょうか。

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■□■ お知らせ ■□■
●高齢者雇用のための月刊誌 エルダー6月号
高齢者雇用事業所の職場紹介等最新の雇用好事例や助成金制度を中心に、身近な高齢者雇用問題を取り上げた事業主向けの啓発誌です。
(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 発行 定価480円)
6月号に、年金記事を執筆しました。「60歳以降の働き方と年金」
しばらくすると、WEB上でご覧いただけます。
http://www.jeed.or.jp/data/elderly/elderly01.html#01